イチゴの葉が白く粉をふいたら注意!イチゴで疑うべきうどんこ病と今すぐできる対策
- hinatamagawa5j
- 6月5日
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更新日:7月4日

ハウスや露地で育てているイチゴの葉が突然“白い粉”をまとったように見えたら、それは収量と品質を脅かすうどんこ病(Sphaerotheca aphanis )のサインかもしれません。放置すると葉が光合成できず株勢が急激に弱り、果実にも白い粉が付き、裂果や糖度低下などの被害が及びます。本記事では、簡単に判別できる症状チェック表と、24時間以内に実行できる緊急措置・環境調整・生物的/化学的防除までを体系化。最後に予防チェックリストとよくある質問もまとめ、農家さんが“今すぐ”動けるよう具体策を提示します。
2. 症状チェック|うどんこ病の特徴
観察部位 | 初期症状 | 進行症状 |
葉 | 赤褐色の斑点、葉面に白い粉状の菌糸が点在、葉裏より表面に発生しやすい、下葉から発生することが多い | 葉全体が白化、小葉が上向きに巻縮してスプーン状になる、黄化、早期落葉 |
果房・果実 | (ほぼ無症状) | 白い粉が付着、種子部が茶変しコルク化、裂果・糖度低下 |
ランナー | 白いかび状被膜 | 新葉の展開不良、株勢減退 |


3. 考えられる原因(病害虫)一覧
病害虫 | 典型症状との一致度 | 発生環境 | 確認ポイント |
うどんこ病※S. aphanis | ★★★ | 15〜28 ℃・中湿度・弱光 | 葉・果実に白色粉状のかび、擦ると落ちる |
灰色かび病 | ★★☆ | 15〜25 ℃・高湿度・結露 | 花弁・果実に灰色のかび |
ハダニ類 | ★☆☆ | 高温乾燥 | 葉裏に赤褐色の吸汁斑点 |
窒素過多による生理障害 | ★☆☆ | 過度の追肥 | 斑点が粉状でなく、葉肉が厚い。 |

4. 対策ガイド
4-1. 緊急措置(24時間以内)
病斑のある葉・ランナーはハサミで切除→密閉袋に入れてハウス外で焼却または密閉廃棄。
処分する際、病葉の搬出動線を決め、作業後は必ず手指と道具をアルコール消毒。
**殺菌剤(トリフミン水和剤、スコア顆粒水和剤など)**を罹病株周辺の葉裏まで到達するようスポット散布。
**農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
4-2. 環境調整(IPMの基礎)
管理項目 | 目安値 | 効果 |
温度 | 18〜25 ℃ | 胞子発芽・菌糸伸長を抑制 |
相対湿度 | 60〜75 % | 胞子形成を抑えつつ結露を防ぐ |
風速 | 0.3m/s 前後(風通しを良くする) | 葉面の乾燥を均一化・胞子飛散抑制 |
4-3. 生物的防除
Beauveria bassiana(ボタニガードES):1,000倍、発生前、または発生初期に散布
Bacillus subtilis(ボトキラー水和剤):1,000倍、発生前、または発生初期に散布。
併用NG薬剤例:イオウフロアブル、ダニコール1000など硫黄剤・広域殺虫剤は菌体を失活させやすい。
4-4. 化学的防除
商品名 | 有効成分 | 希釈倍率 | 散布適期 |
トップジンM水和剤 | チオファネートメチル | 1,000〜1,500倍 | 初発〜収穫開始21日前まで |
アミスター20フロアブル | アゾキシストロビン | 1,500〜2,000倍 | 発病後〜収穫前日まで |
カリグリーン | 炭酸水素カリウム | 800~1,000倍 | 発病後〜収穫前日まで |
注意: 登録内容は地域・作型で異なるため最新ラベルを必ず確認してください。
5. 予防と管理のチェックリスト
☐ 定植前に苗浸漬(トップジンM水和剤5分)を実施。
☐ 圃場ごとの湿度ログを毎日記録し、夜間の加温換気を自動化。
☐ 週1回、ランダム10株を調査し、発病度を調査。
☐ 窒素の過剰な追肥を控え、密植を避けて株間を確保。
6. 失敗しがちなNG例
高湿度対策にミスト散布を併用 → 葉面が濡れて硫黄剤の付着効果が低下。
同一成分を4回以上連用 → うどんこ病は耐性化が早く、翌シーズンの薬剤選択肢が減少。
病葉を株元に放置 → 胞子源が温床となり全棟へ急拡大。
7. FAQ
Q1. うどんこ病に罹った果実は食べられますか?
A:見た目や風味が劣るうえ、表面に菌糸が残るため出荷・自家消費とも避けるのが無難です。
Q2. 灰色かび病との簡単な見分け方は?
A:うどんこ病は葉表側に白粉、灰色かびは花や果実に灰色綿状のかびが出るのが決定的です。
Q3. 生物農薬だけで完全に防げますか?
A:発生初期なら抑制可能ですが、多発条件下では化学防除との併用が推奨されます。
8. まとめ
イチゴのうどんこ病は、白い粉状の病斑をいかに早く見つけるかが被害最小化のカギです。本記事のチェック表と24時間以内の緊急措置で初期感染源を排除し、温湿度管理とローテーション防除で“発生させない環境”を作りましょう。最後に、診断チャートと散布ローテ表をプリントし、作業台に貼っておくと次回の発生リスクをぐっと下げられます。








