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チリトップはどうやって使う? ─イチゴに付くハダニを防除するチリトップの使い方を徹底解説!

更新日:7月2日


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イチゴ栽培ではハダニによる被害がたびたび問題となります。ハダニは葉にかすれ状のキズをつけて光合成を妨げ、収量や糖度を落とすうえ、薬剤抵抗性がつきやすく防除が難しい害虫です。そこで頼りになるのが、ハダニだけを狙う天敵製剤「チリトップ」。ボトルの中のチリカブリダニPhytoseiulus persimilis)は、ハダニの卵から成虫までを旺盛に捕食し、化学農薬とは異なる作用機作のためIPM(総合的病害虫管理)に組み込みやすく、有機JAS圃場でも使用可能です。この記事では、放飼のベストタイミングや適正頭数、効果を引き出すハウス環境づくりまで、失敗しないコツを解説します。


1. 商品概要



分類

天敵農薬(捕食性カブリダニ剤)

主な対象害虫

ハダニ類(ナミハダニ・カンザワハダニなど)

使用場面

発生初期(葉あたりハダニ3匹以下が目安)

提供形態

500 mLボトル/1ボトル2,000頭


2. 特長・メリット


2‑1.卵〜成虫まで全ステージを捕食

  • チリカブリダニはハダニの全発育ステージを捕食。卵密度が高い初期でも即効性を発揮。試験では放飼7日後にハダニ密度を82 %低減。

  • 25 ℃条件下では卵から成虫まで約5日と世代交代が早く、ハダニの増殖速度を上回って圃場内で優勢になります。


2‑2.イチゴにやさしい選択性

  • チリカブリダニはハダニを専門的に捕食し、天敵カブリダニなど他生物をほとんど捕食しないため、生態系のバランスを崩しにくい。

  • イチゴの果実や花房をほとんど徘徊しないため、収穫時に本剤が混入するリスクが低い。


2‑3.IPM・有機JAS適合で薬剤回数削減

  • 化学農薬の散布回数削減により収穫前インターバル短縮と防除コスト最適化が可能。有機JAS認証圃場でも利用可。

  • 散布作業が減ることで、作業時間を平均30 %短縮した導入事例(千葉県0.3 ha)の報告もあります。


ポイントBOX:ミヤコカブリダニとの定量比較

製剤

チリカブリダニ

ミヤコカブリダニ

捕食速度

★★★★☆

★★★☆☆

ハダニ専食性

★★★★★

★★★☆☆

花粉餌

×



3. 導入事例・実証データ



ケース

作物・栽培方式

投入量・時期

結果

千葉県・0.3ha

イチゴ・高設ベンチ

6,000頭/10a(ハダニ初発生時)

放飼14日後:ハダニ葉当たり15→2匹、商品秀品率96 %

栃木県・0.2ha

イチゴ・土耕

8,000頭/10a(ハダニ発生初期)

放飼21日後:被害葉率20 %→4 %、農薬散布回数50 %減

佐賀県・0.5ha

イチゴ・高設ベンチ

8,000頭/10a(ハダニ初発生時)

放飼10日後:ハダニ密度90 %減、糖度0.8°Brix向上





4. 使い方・適切な散布/設置手順


  1. 準備物:チリトップ

  2. 設置個体数:2-6頭/㎡

  3. タイミングハダニ発生初期。朝または夕方の17-22℃で風の弱い時間帯。

  4. 手順ステップ使用直前に容器をゆっくり回転させて均一化→各株にひと振りずつ、満遍なく放飼(目安:株あたり3頭)

  5. 注意点放飼前後3日間は影響の長い殺虫剤を避ける。相対湿度60-80%を維持。

Tip

室温28 ℃超では遮光ネットや白色被覆剤で葉面温度を下げると捕食活性が維持されます。



5. 関連資材との相乗効果


資材

目的

使用タイミング

ミヤコトップ(ミヤコカブリダニ剤)

ハダニ潜伏期の予防

定植直後

マイトコーネフロアブル

ハダニ多発時の補助的防除

チリトップ放飼2週間後

アカリタッチ乳剤

ハダニ多発時のリセット(速効性防除)

チリトップ放飼の3~5日前


6. FAQ


  • Q1:チリトップと化学農薬は併用できますか?

    • A:殺ダニ活性の強いアバメクチン・クロルフェナピル系は放飼前後3日空けてください。それ以外の殺虫剤との混用影響は少ないと報告されていますが、ラベル記載を必ず確認してください。


  • Q2:乾燥気味のハウスでも効きますか?

    • A:チリカブリダニは湿度依存性が高いため、乾燥条件ではミヤコトップ(ミヤコカブリダニ剤)との併用を推奨します。



7. まとめ


チリトップはハダニ専食性の天敵資材。発生初期に放飼し、湿度60–80 %を維持すれば薬剤散布を抑えながら収量と秀品率を守れます。予防にはミヤコトップを、多発時にはアカリタッチでバックアップし、安定した防除を持続しましょう。



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