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最新版・トマトIPM超実践ガイド――4つの重点対策で病害虫をまとめて抑え込む!

更新日:7月2日



はじめに― なぜ“総合防除”か


農林水産省の新マニュアルは「予防・判断・防除」を組み合わせ、化学農薬への依存を減らしながら経営リスクも下げる“総合防除(IPM)”を推奨しています。ポイントは ①環境づくり ②土壌病害対策 ③害虫の侵入遮断 ④天敵の活用。以下では現場ですぐ実践できる要点だけを抜粋しました。


1.環境づくりと日常管理(予防の基本)


チェック項目

具体的な行動

効果

換気・風通し

側窓・天窓をこまめに開閉し湿度を下げる

灰色かび病・うどんこ病の発生抑制

適正な肥培管理

窒素過多を避け、生育を“締め気味”に

病害虫の被害を受けにくい株に

病葉・残渣の速やかな除去

花弁・落果・感染葉はこまめに片付け

二次感染源を断つ

健全苗の確保

ウイルスフリー苗+土壌病害検査

初期感染をブロック

コツ 作業前後にハサミを次亜塩素酸で消毒し、病害の持ち込み・持ち出しを防ぐ。


2.青枯病・萎凋病に効く"土壌還元消毒"+"抵抗性台木"


2-1. 土壌還元消毒

  • 時期:6~9月上旬、地温30 °C以上を確保できるとき

  • 手順概略

    1. 糖蜜吸着資材または糖含有珪藻土を10aあたり約1t散布し、土壌と混和。

    2. 灌水チューブ設置→透明フィルムで土壌を被覆。

    3. 湛水状態になるまで灌水。

    4. ハウスの開口部を全て閉じて密封状態にする。消毒期間を20日間以上維持。

    5. 被覆を剥がし、土壌を乾燥&耕うん酸素供給

  • コスト:10~15万円/10 a

  • 失敗パターン:湛水不足・地温不足→効果激減。必ず温度と水位を毎日確認

2-2. 抵抗性台木の利用

  • 対象:青枯病・萎凋病の侵入阻止

  • 価格感:普通苗の1.5~2倍

  • ポイント

    • 接合部は地上に来るよう浅植え

    • 湿度と温度を高めに保ち活着促進

    • 土壌還元消毒処理との併用で長期安定



3.害虫の“入口”を塞ぐ防虫ネット(物理的防除)


仕様

推奨目合い

目安コスト*

標準白ネット

≤ 0.4 mm

約16万円/10 a

赤色ネット

0.8 mm

約12万円/10 a

*施工費別途


  • 設置のコツ

    • 出入り口は二重カーテンにし“開けっぱなし”を防止

    • 細目ネットはハウス内温度が上がりやすい。換気扇や遮光で温度管理

    • 黄色粘着板・誘殺灯と併用し侵入モニタリング



4.タバココナジラミ対策の切り札「タバコカスミカメ+バンカー植物+天敵のごちそう」


項目

推奨値・作業

根拠

放飼タイミング

定植直後に2 週間間隔×2回

苗期に定着させるのが鍵

放飼量

トマト2株あたり成虫1頭

バンカー植物

バーベナorクレオメ 60 cmプランター/1 a

天敵定着資材

天敵のごちそう

放飼前に1回 + 放飼10日後に1回

コスト

天敵製剤7万円/10 a + バンカー植物約500~1000円/10 a

注意点

放飼前に薬剤でコナジラミ密度を下げる/天敵に影響する農薬は使用回避

天敵の定着率向上に必須


5.IPM早見チェックリスト


 □ 健全苗を確保した

 □ 側窓・天窓の開閉スケジュールを決めた

 □ 0.4 mmネットをすき間なく展張、二重カーテンを確認

 □ 土壌還元消毒の準備(資材・地温・人員)完了

 □ 接ぎ木苗の接合部が地上に出ている

 □ 定植後すぐにバンカー植物を置き、天敵のごちそうを散布して天敵を放飼

 □ 湿度・害虫トラップを週1回モニタリング



6. まとめ


4つの対策は単独ではなく組み合わせてこそ最大効果を発揮します。防虫ネットで侵入を抑えつつ、コナジラミが増えない間にタバコカスミカメを定着させ、土壌病害は土壌還元消毒と抵抗性台木でブロック――この“多層防御”がIPMの核心です。地域ごとの発生状況や施設条件で細部は変わるため、最終的な判断は地元普及指導員・JA営農センターの助言を必ず仰いでください。


「予防で7割、判断で2割、防除で1割」――マニュアルの基本精神を頭に入れ、今年こそ病害虫に振り回されないトマト栽培を実現しましょう!



参考サイト



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