バコトップの使い方は? ─ トマトやナスに付くコナジラミ、アザミウマを防除する天敵製剤バコトップを徹底解説!
- daikihirayama3z
- 5月12日
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更新日:2 日前
トマトやナスのハウス栽培では、コナジラミ類やアザミウマ類が作期を通じて品質と収量を脅かします。しかも薬剤抵抗性の発達が早く、殺虫剤散布回数の増加は作業負担・コスト・残留リスクを高める悪循環に。こうした課題を解決する切り札の一つが、天敵製剤 「バコトップ」 です。有効成分は捕食性カメムシ Nesidiocoris tenuis(タバコカスミカメ)の幼虫・成虫。施設内へ放飼するとコナジラミ・アザミウマを探索して捕食し、薬剤依存度を大幅に下げられます。愛知県のナス圃場では化学農薬散布回数が年間22回→3回に削減、高知県のトマトでもコナジラミ密度を経済被害閾値以下に維持できた実証例が報告されています。本記事ではバコトップの特長・使い方・導入事例まで、最新の知見を基に徹底解説します。

1. 商品概要
分類 | 天敵農薬(生物農薬) |
---|---|
主な対象害虫 | コナジラミ類(トマト・ミニトマト)、アザミウマ類(キュウリ・ナス) |
使用場面 | 定植直後〜害虫発生初期 |
提供形態 | 100 mLカップ(約100頭封入) |
2. 特長・メリット
2‑1. 幅広い捕食対象と速やかな防除効果
コナジラミ成虫・幼虫を1日あたり20〜30頭捕食(25 ℃条件)
アザミウマにも高い捕食性を示し、混合発生圃場で同時防除が可能
2‑2. 自己増殖・定着性が高く低ランニングコスト
バンカー植物(クレオメ・ゴマ)を併用すると、1回の放飼で密度をシーズン通じて維持
冬期8 ℃でも活動報告があり、連作温室で継代利用できる
2‑3. 化学農薬依存からの脱却
ナス圃場で殺虫剤散布22回→3回、労力・コスト50%削減
トマト圃場でコナジラミによる黄化葉巻病媒介率をゼロに維持
ポイントBOX:化学殺虫剤との比較例(10a 当たり)
指標 | 従来化学防除 | バコトップ+選択性農薬 |
年間散布回数 | 18回 | 4回 |
防除コスト | 52,000円 | 28,000円 |
作業時間 | 21h | 6h |
3. 導入事例・実証データ
作物・地域・面積 | 放飼設計 | 成果 害虫密度・薬剤散布・評価 |
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ナス|愛知県|0.3 ha (連棟ハウス) | 定植直後1頭/株(約9,000頭)+クレオメを通路端3 m間隔で定植 | アザミウマ密度85%減、殺虫剤散布3回、防除費半減 |
トマト|高知県|1.0 ha (冬春作) | 害虫初発前に2株あたり1頭(登録基準) | コナジラミ最大0.4頭/葉、黄化葉巻病ゼロ、薬剤散布6回→半減 |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
希釈倍率 or 設置個体数:
登録基準は2株あたり1頭(100 mL/100頭入り=約200株分)。
タイミング:
定植時または害虫発見初期。
定植7日以内+ゴマ/クレオメ播種同時がおすすめ。
手順ステップ:
作物近くでバコトップのフタを開封。タバコカスミカメ成虫が飛翔し作物に移動する。
容器内の植物片を1つずつつまみ、作物に乗せていく。
最後に植物片が1つ残ったカップを作物の株元に設置する。
1週間後に捕食痕+生存を調査し、必要に応じ追加放飼。
注意点:
放飼後1週間は葉面散布剤や農薬の散布を避ける。
Tip:日平均温度20〜30 ℃、相対湿度60〜80%で捕食活動が最も活発。夜温10 ℃以下が続く場合は暖房設定を見直すと定着率が向上します。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
---|---|---|
クレオメ・ゴマ(バンカー植物) | タバコカスミカメの温存・増殖 | 定植1週間前に播種 |
スワルスキー・スワマイト(スワルスキーカブリダニ剤) | アザミウマ抑制の補完 | 気温25 ℃以上の盛夏期 |
天敵のごちそう(天敵定着促進剤) | 初期の天敵定着ブースト | 放飼直後〜2週間 |
6. FAQ
Q1:放飼後に農薬を散布してもいい?
A:選択性の薬剤(IGR・BT剤など)は影響が小さいですが、散布は放飼の1週間後以降に実施してください。
Q2:タバコカスミカメが作物を加害することは?
A:高密度になると吸汁痕が点状に出る可能性がありますが基本的には心配ありません。葉面100 cm²あたり3頭以下を維持するとリスクは低いです。
Q3:冬場の利用は可能?
A:10 ℃前後でも活動しますが、増殖速度が遅いため、スワルスキーとの併用を推奨します。
Q4:一度放飼すればシーズン無補給でいける?
A:バンカー植物(クレオメ、ゴマ)や天敵のごちそうを併用すれば原則1〜2回の追加で持続しますが、害虫大量侵入時は再放飼してください。
7. まとめ
バコトップは、「捕食範囲の広さ × 自己増殖 × IPM適合性」 でコナジラミ・アザミウマ対策を根本から変える資材です。導入ポイントは①発生初期の低密度で放飼、②バンカー植物+天敵音ごちそうで定着強化、③選択性農薬で最小限のバックアップ。殺虫剤散布の回数・コスト・作業負担を同時に削減しながら、品質ロスを抑えられます。ぜひ一度ハウスで試し、効果を実感してください。