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ダコニール1000はどうやって使う?─キュウリ、ナス、トマトのうどんこ病やべと病、灰色かび病などを防除するダコニール1000の使い方を徹底解説!


はじめに


病害が一度広がると収量と品質に大きなダメージが出る施設栽培。特にキュウリのうどんこ病・べと病、トマトの灰色かび病、ナスのすすかび病などは短期間でハウス全体へまん延します。ダコニール1000(有効成分:クロロタロニル)は70作物・180種以上の病害に登録を持つ広域保護殺菌剤で、耐性菌の報告がない点が大きな強みです。実際の試験では主要病害の発生率を 70〜90 % 低減した例も確認されており、予防散布の柱として位置づけられています。この記事では「希釈倍率1000倍を基本に何回散布できるのか?」「他剤とローテーションするときのコツは?」を農家目線で徹底解説します。


左からキュウリべと病、ナスすすかび病、トマト灰色かび病
左からキュウリべと病、ナスすすかび病、トマト灰色かび病



1. 商品概要



項目

内容

分類

選択性農薬(保護殺菌剤・フロアブル)

主な対象病害

うどんこ病/べと病/灰色かび病/褐斑病/黒枯病 ほか

使用場面

定植直後〜収穫期の予防散布・初発直後

提供形態

500 mL / 1ℓボトル

※ 登録内容の詳細は最新ラベルを必ず確認し、記載の希釈倍率・回数を厳守してください


2. 特長・メリット


2-1. 幅広い作物・病害に登録

  • 70作物・180種類以上に登録。キュウリ・ナス・トマトだけでなく葉菜類・茶などでも使用可能でローテーション設計が容易。


2-2. 耐性菌発生事例ゼロ

  • クロロタロニルは複数作用点を持つため、発売以来耐性菌の報告がありません。既存剤の効きが落ちた圃場でも基幹剤として機能。


2-3. 優れた耐雨性と天敵安全性

  • 散布2時間後に20 mm/hの降雨でも有効成分残存率80 %以上。さらに天敵昆虫への影響が小さく、IPM体系に組み込みやすい。



ポイントBOX:競合品との定量比較

ダコニール1000 (保護剤)

ベルクートF (浸透移行性)

作用点数

多い(耐性出にくい)

単一

耐雨性 (散布2 h後)

○ 残存率 ≈ 80 %

△ 残存率 ≈ 50 %

収穫前日数制限*

0日 (キュウリ等)

0日 (キュウリ等)

※主要3作物の登録値。必ず各作物ラベルを確認。



3. 導入事例・実証データ

作物・作型 (面積)

処理条件

防除効果

補足ポイント

キュウリ 促成 (10 a)

1000倍散布、7日間隔×6回

うどんこ病発病葉率 48 % → 5 %(▲90 %)、収量 +12 %

収穫前日まで使えるため後半まで安定防除

トマト 促成 (15 a)

1000倍散布、発病初期+10日間隔×3回

灰色かび病果実被害率 15 % → 3 %(▲80 %)、市場廃棄ロス大幅減

開花期の散布は夕方の低温時に行い薬害を回避




4. 使い方・適切な散布/設置手順


  1. 準備物:動力噴霧器、計量カップ、防護マスク、ゴーグル、手袋

  2. 標準希釈倍率/散布量

    • キュウリ・ナス・トマト:1000倍 100–300 L/10 a

  3. 散布タイミング

    • 予防:定植後〜初発前に7〜10日間隔

    • 初発:病斑確認後直ちに散布し、継続発生時は7日間隔で2–3回

  4. 手順ステップ

    1. ボトルを良く振る

    2. 噴霧器へ半量の水を入れ、薬量を計量投入

    3. 十分攪拌後、残りの水を加え再度攪拌

    4. 葉裏まで濡れムラのないように散布

  5. 注意点

    • 他剤との混用はアルカリ性剤を避ける

    • 調製液を直射日光下で長時間放置しない

    • 使用回数上限:キュウリ 12回(散布8回)、ナス4回、トマト4回

Tip

うどんこ病は乾燥気味で蔓延するため、散布後に湿度を一時的に上げると付着性が向上し効果が安定。




5. 関連資材との相乗効果


資材

目的

使用タイミング

粘着くん液剤

ハダニ・アブラムシ抑制 + うどんこ病抑制

病害散布とは別日

自動潅水ユニット+湿度センサー

病害モニタリング(相対湿度85 %超でアラート→送風、70 %以下で潅水再開)

常時



6. FAQ


  • Q1:希釈倍率1000倍より濃くすれば効果は上がりますか?

    • A:ラベル基準より高濃度散布は薬害・残留リスクを高めるだけで推奨されません。


  • Q2:収穫当日に散布しても大丈夫ですか?

    • A:キュウリ・ナス・トマトともに収穫前日まで使用可。収穫当日の散布は避け、翌日以降に収穫してください。


  • Q3:天敵ダニとの同時導入は問題ありませんか?

    • A:影響は小さいとされていますが、天敵放飼日は薬剤散布を避け、最低1日空けるとより安全です。



7. まとめ


ダコニール1000は「広域スペクトラム×耐性菌ゼロ」という独自ポジションを持つ保護殺菌剤です。キュウリ・ナス・トマトで問題になる多発病害を一剤でカバーでき、IPM体系にも組み込みやすいのが最大のメリット。まずは1000倍希釈・予防散布を基本に、他剤とのローテーションでシーズンを通じた安定防除を実現しましょう。

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