ダコニール1000はどうやって使う?─キュウリ、ナス、トマトのうどんこ病やべと病、灰色かび病などを防除するダコニール1000の使い方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 8 時間前
- 読了時間: 3分
はじめに
病害が一度広がると収量と品質に大きなダメージが出る施設栽培。特にキュウリのうどんこ病・べと病、トマトの灰色かび病、ナスのすすかび病などは短期間でハウス全体へまん延します。ダコニール1000(有効成分:クロロタロニル)は70作物・180種以上の病害に登録を持つ広域保護殺菌剤で、耐性菌の報告がない点が大きな強みです。実際の試験では主要病害の発生率を 70〜90 % 低減した例も確認されており、予防散布の柱として位置づけられています。この記事では「希釈倍率1000倍を基本に何回散布できるのか?」「他剤とローテーションするときのコツは?」を農家目線で徹底解説します。

1. 商品概要
項目 | 内容 |
分類 | 選択性農薬(保護殺菌剤・フロアブル) |
主な対象病害 | うどんこ病/べと病/灰色かび病/褐斑病/黒枯病 ほか |
使用場面 | 定植直後〜収穫期の予防散布・初発直後 |
提供形態 | 500 mL / 1ℓボトル |
※ 登録内容の詳細は最新ラベルを必ず確認し、記載の希釈倍率・回数を厳守してください
2. 特長・メリット
2-1. 幅広い作物・病害に登録
70作物・180種類以上に登録。キュウリ・ナス・トマトだけでなく葉菜類・茶などでも使用可能でローテーション設計が容易。
2-2. 耐性菌発生事例ゼロ
クロロタロニルは複数作用点を持つため、発売以来耐性菌の報告がありません。既存剤の効きが落ちた圃場でも基幹剤として機能。
2-3. 優れた耐雨性と天敵安全性
散布2時間後に20 mm/hの降雨でも有効成分残存率80 %以上。さらに天敵昆虫への影響が小さく、IPM体系に組み込みやすい。
ポイントBOX:競合品との定量比較
ダコニール1000 (保護剤) | ベルクートF (浸透移行性) | |
---|---|---|
作用点数 | 多い(耐性出にくい) | 単一 |
耐雨性 (散布2 h後) | ○ 残存率 ≈ 80 % | △ 残存率 ≈ 50 % |
収穫前日数制限* | 0日 (キュウリ等) | 0日 (キュウリ等) |
※主要3作物の登録値。必ず各作物ラベルを確認。
3. 導入事例・実証データ
作物・作型 (面積) | 処理条件 | 防除効果 | 補足ポイント |
---|---|---|---|
キュウリ 促成 (10 a) | 1000倍散布、7日間隔×6回 | うどんこ病発病葉率 48 % → 5 %(▲90 %)、収量 +12 % | 収穫前日まで使えるため後半まで安定防除 |
トマト 促成 (15 a) | 1000倍散布、発病初期+10日間隔×3回 | 灰色かび病果実被害率 15 % → 3 %(▲80 %)、市場廃棄ロス大幅減 | 開花期の散布は夕方の低温時に行い薬害を回避 |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:動力噴霧器、計量カップ、防護マスク、ゴーグル、手袋
標準希釈倍率/散布量
キュウリ・ナス・トマト:1000倍 100–300 L/10 a
散布タイミング
予防:定植後〜初発前に7〜10日間隔
初発:病斑確認後直ちに散布し、継続発生時は7日間隔で2–3回
手順ステップ
ボトルを良く振る
噴霧器へ半量の水を入れ、薬量を計量投入
十分攪拌後、残りの水を加え再度攪拌
葉裏まで濡れムラのないように散布
注意点
他剤との混用はアルカリ性剤を避ける
調製液を直射日光下で長時間放置しない
使用回数上限:キュウリ 12回(散布8回)、ナス4回、トマト4回
Tip:
うどんこ病は乾燥気味で蔓延するため、散布後に湿度を一時的に上げると付着性が向上し効果が安定。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
粘着くん液剤 | ハダニ・アブラムシ抑制 + うどんこ病抑制 | 病害散布とは別日 |
自動潅水ユニット+湿度センサー | 病害モニタリング(相対湿度85 %超でアラート→送風、70 %以下で潅水再開) | 常時 |
6. FAQ
Q1:希釈倍率1000倍より濃くすれば効果は上がりますか?
A:ラベル基準より高濃度散布は薬害・残留リスクを高めるだけで推奨されません。
Q2:収穫当日に散布しても大丈夫ですか?
A:キュウリ・ナス・トマトともに収穫前日まで使用可。収穫当日の散布は避け、翌日以降に収穫してください。
Q3:天敵ダニとの同時導入は問題ありませんか?
A:影響は小さいとされていますが、天敵放飼日は薬剤散布を避け、最低1日空けるとより安全です。
7. まとめ
ダコニール1000は「広域スペクトラム×耐性菌ゼロ」という独自ポジションを持つ保護殺菌剤です。キュウリ・ナス・トマトで問題になる多発病害を一剤でカバーでき、IPM体系にも組み込みやすいのが最大のメリット。まずは1000倍希釈・予防散布を基本に、他剤とのローテーションでシーズンを通じた安定防除を実現しましょう。