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キュウリの葉に白い斑点がある──原因はキュウリうどんこ病?写真で診断・防除ガイド

1. はじめに


温室で育てているキュウリの葉に白い粉をふいたような斑点が出る──そんなとき、多くの農家さんがまず疑うのがうどんこ病です。放置すると光合成が阻害されて収量や果形に深刻なダメージが及びますが、初期のうちに正しく診断し対策を取れば、被害は最小限に抑えられます。本記事では ①症状写真からの診断フロー②24時間以内に取るべき応急措置③環境・薬剤・生物防除を組み合わせたIPM管理 まで、実践的な手順を解説します。予防チェックリストも掲載しているので、栽培メモと合わせて活用してください。



キュウリうどんこ病



2. 症状チェック|うどんこ病の特徴


観察部位

初期症状

進行症状

備考

葉表面

1〜3 mm の白い粉状斑点が点在

斑点が融合し葉面を覆う。葉が黄化・早期落葉

高湿度でも葉が濡れない環境で顕著

葉裏面

病斑と同位置にわずかな胞子塊

葉表同様に白粉が拡大

肉眼で確認しづらい場合はルーペ使用

茎・葉柄

初期は無症状

発病が激しいと節間に白粉

施設栽培で光量不足時に多い

初期症状
初期症状

葉裏
葉裏
ポイント: うどんこ病は葉が濡れた状態を嫌うため、“乾いたまま白い粉が広がる” のが大きな特徴です。



3. 考えられる原因(病害虫)一覧

病害虫 / 障害

典型症状との一致度

発生環境

確認ポイント

うどんこ病

★★★

日照不足・20〜25 ℃・湿度60〜80 %

白粉は乾燥状態。葉裏にも胞子。

灰色かび病

★☆☆

15〜25 ℃・多湿

灰色のカビ、葉が湿って軟化。

ハダニ類

★☆☆

高温乾燥

葉裏にハダニ、葉表に黄白色〜褐色小斑点。

窒素過多による生理障害

★☆☆

過度の追肥

斑点が粉状でなく、葉肉が厚い。



4. 対策ガイド


4-1. 緊急措置(24時間以内)

  • 感染源となる白粉が目立つ葉を切除し、ハウス外で密閉廃棄。

  • 発生株を作業列の最後に回し、作業動線を汚染区域→健全区域にしない

  • FRACコードを確認のうえ、EBI剤 (例: ラリー水和剤) または SDHI剤 (例: ケンジャフロアブル) を散布容量 200 L/10aで全面処理。






4-2. 環境調整(IPMの基礎)

管理項目

目安値

効果

日平均気温

22 ℃

菌の増殖速度を抑制

相対湿度

60 % 前後

胞子発芽を抑制

夜間 CO₂

600 ppm

過剰施肥を抑え葉肉肥大を防止

送風/換気

常時微風

葉面の結露防止、胞子飛散抑制


4-3. 生物的防除

  • マイコタール発病早期1,000倍で散布

  • バチスター水和剤発病早期1,000倍で散布

  • 併用NG薬剤: 銅剤・強アルカリ性資材は菌体を失活させるため、生物農薬翌日以降に散布。




4-4. 化学的防除

分類

商品名

有効成分

希釈倍率

散布適期

ストロビルリン系

アミスター20フロアブル

アゾキシストロビン

1000倍

初発時〜発病初期

ニトリル系

ダコニール1000

テトラクロロインソフタロニトリル

1500倍

発病拡大期

EBI剤

トリフミン水和剤

トリフルミゾール

2000倍

ローテーション入り口

SDHI剤

ケンジャフロアブル

イソフェタミド

1500倍

気温20 ℃以上で効果高


注意:

登録内容は地域・作型で異なるため最新ラベルを必ず確認。




5. 予防と管理のチェックリスト(具体的に)


☐ 定植前に健苗判定 (下葉に白斑がないか)。

☐ 週1回、青色粘着トラップでハダニ飛入をモニタリング。

☐ 夜温設定と湿度ログをデータロガーで記録・見える化

☐ 窒素施肥は土壌診断後に追肥量を決定し、過繁茂を防ぐ。



6. 失敗しがちなNG例


  1. うどんこ病が出た株のみ薬剤処理 → 胞子は空気伝搬するため圃場全体散布が基本。

  2. 生物農薬と硫黄剤を同日散布 → アクティブ菌が失活し効果半減。

  3. 高温期に硫黄剤を散布 → 薬害で葉焼け、収量減。



7. FAQ


Q1. うどんこ病は放っておけば自然に治りますか?

A. 自然治癒は期待できません。早期に被害葉を除去し、薬剤・環境調整を同時に行うことが必要です。

Q2. 収穫期でも使える薬剤はありますか?

A. トリフミン水和剤は収穫前日で登録があります。



8. まとめ


  • 白い粉をふく症状の8割以上はうどんこ病。乾いた白粉が葉に広がるかどうかをまず確認。

  • 24時間以内に被害葉除去と薬剤散布、温湿度・施肥管理を見直して再発防止

  • 生物農薬と化学薬剤をFRACコードでローテし、耐性発達を防ぐ。

  • 記事内の症状チェックとチェックリストを印刷し、毎週の巡回に活用しましょう。

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