スピノエース顆粒水和剤はどうやって使う?─アザミウマ、ハモグリバエ、オオタバコガを防除するスピノエース顆粒水和剤の使い方を徹底解説!
- 爽 花香
- 9月18日
- 読了時間: 5分

アザミウマやハモグリバエ、オオタバコガ、コナガは、施設・露地の野菜で収量と品質を大きく落とす厄介者です。
スピノエース顆粒水和剤(有効成分:スピノサド、IRAC グループ5)は、これらの害虫に選択的かつ迅速に作用し、多くの作物で収穫前日まで使用可能な薬剤です。多くの作物に登録があり、10a当たり100~300Lの十分な水量で葉裏まで確実に付着させることで高い効果が期待できます。
本記事では、希釈倍率・散布適期・使用回数から薬剤ローテーションのメニューまで、ラベル準拠で実務に役立つ使い方をまとめました。
こんな方におすすめ
トマト・ピーマン・ナス等のアザミウマ/ハモグリバエ/オオタバコガに悩んでいる
スピノエース顆粒水和剤の希釈倍率・使用回数・散布方法を確認したい
散布適期やIPM・ローテーションの考え方を知りたい
1. 商品概要
分類 | 選択性殺虫剤/微生物由来(IRAC 5:スピノサド) |
---|---|
主な対象害虫 | アザミウマ類、ハモグリバエ類、オオタバコガ・コナガ(チョウ目幼虫) |
使用場面 | 発生初期、若齢幼虫期/育苗段階(ハモグリバエ類に対する育苗灌注適用あり:レタス類) |
提供形態 | 顆粒水和剤/100g包装 |
2. スピノエース顆粒水和剤の特長・メリット
2‑1.主要害虫に高い効果(アザミウマ・ハモグリバエ・オオタバコガ)
スピノサドは経口・接触で作用し、若齢幼虫に特に有効。
2‑2.作物に合わせた柔軟な設計(散布・育苗灌注)
・散布: 多くの野菜で2500〜5000倍(作物・害虫で異なる)。10a当たり100〜300L。
・育苗灌注: レタス類(非結球含む)などで500〜1000倍、セル1箱当たり500mLの適用があり、定植前まで1回の使用が可能。
2‑3.IPM・ローテーションに組み込みやすい
IRAC 5(スピノサド)で別系統剤との交互防除がしやすい。アザミウマ・ハモグリバエの耐性管理に有効なローテーションの軸になります。
3. スピノエース顆粒水和剤の導入例
トマト(施設栽培):アザミウマ、ハモグリバエ、オオタバコガの発生初期に5000倍で100〜300L/10a。新葉・花房・葉裏へ丁寧に散布。
ピーマン(施設):アザミウマ5000倍、オオタバコガ2500〜5000倍。発生予察(青色粘着板/フェロモントラップ)で初発生を早期把握。
ナス(施設):アザミウマ2500〜5000倍、オオタバコガ5000倍。葉裏への付着を最優先。連用を避け、他系統の薬剤と交互散布で抵抗性発達リスクを低減。
※トマト、ピーマン、ナスについて使用回数はいずれも2回以内、収穫前日まで使用可能。
4. スピノエースの使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
計量器、攪拌器、散布機、展着剤(必要に応じ)、保護具(防護マスク・手袋・ゴーグル)。
希釈倍率 or 設置個体数:
2500〜5000倍(作物・害虫によって異なる)(一部10000倍/20000倍の作物もあり、要確認)。育苗灌注は500〜1000倍でセル1箱当たり500mL(レタス類など)。
タイミング:
発生初期/若齢幼虫期。トマト・ナス・ピーマンでは開花期〜収穫期に収穫前日まで使える場面が多い。
手順ステップ:
所定の倍率に希釈し、10a当たり100〜300Lを目安とし、葉裏・新芽・花房にも満遍なく散布。薬液の蒸発しにくい夜〜早朝の静穏時に散布し、均一付着を狙う。
注意点:
ミツバチ・蚕へ影響があるため、巣箱撤去・飛散防止に配慮。空容器・残液の適正処理を徹底。
Tip:
効果を最大化する環境:ハモグリバエは新葉に産卵→若齢幼虫が潜行するため、初発直後〜若齢期に処理。オオタバコガは産卵盛期〜ふ化直後が要所。アザミウマは開花期の花器内にも発生するため要注意。発生予察(粘着板/フェロモン)と併用し、初期散布で害虫密度を落とす。
スピノエース顆粒水和剤 作物別適用表(作物抜粋)
作物名 | 適用害虫名 | 希釈倍数(散布) | 使用液量 | 使用時期 | 本剤使用回数(内訳) | 成分総使用回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
トマト/ミニトマト | アザミウマ類/ハモグリバエ類/オオタバコガ | 5000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内(作物区分により上限差あり) |
ナス | アザミウマ類 | 2500〜5000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
ナス | オオタバコガ | 5000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
ピーマン | アザミウマ類 | 5000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
ピーマン | オオタバコガ | 2500〜5000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
レタス(育苗)/非結球レタス(育苗) | ハモグリバエ類 | 500〜1000倍(灌注) | 500mL/セル1箱 | 定植前まで | 1回 | (作物区分により異なる) |
きゅうり | ハモグリバエ類/アザミウマ類 | 5000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2〜3回以内 | (作物区分により異なる) |
5. 関連資材との相乗効果
資材名 | 目的 | 使用タイミング |
---|---|---|
粘着トラップ(青色/黄色) | アザミウマ(青色)/ハモグリバエ(黄色)の発生予察 | 定植直後から常設、週間捕獲の推移で散布判断 |
コテツフロアブル(IRAC:13) | アザミウマ/オオタバコガに対するローテーション剤 | スピノエース散布2週間後or散布2週間前 |
アファーム乳剤(IRAC:6) | ハモグリバエ/オオタバコガに対するローテーション剤 | スピノエース散布2週間後or散布1週間前 |
6. FAQ
Q1:スピノエース顆粒水和剤はミツバチに影響がありますか?
A:影響があるため、巣箱や周辺にかからないこと、放飼中の施設では使用を避けること、養蜂の有無を事前確認し情報提供することが求められます。ラベルのミツバチ注意事項を必ず確認してください。
Q2:葉裏までかける必要はありますか?浸透移行性は?
A:本剤は植物体上での浸透移行性がありません。葉裏・新芽・花器など、虫が潜む部位にムラなく付着させることが効果の鍵です。
Q3:収穫直前でも使えますか?
A:作物ごとに前日まで/3日前までなどの収穫前使用可能日数が定められています。トマト・ナス・ピーマンなどは収穫前日まで使用可能(ラベル準拠)。
7. まとめ
スピノエース顆粒水和剤は、アザミウマ/ハモグリバエ/オオタバコガに強く、幼虫の初発生時の散布+葉裏への散布で安定した効果が出せます。他系統剤とのローテーション散布を基本とし、ミツバチ・蚕へ配慮した上で使用しましょう。