ディアナSCはどうやって使う? ─ ヨトウムシやオオタバコガ、アザミウマを防除するディアナSCの使い方を徹底解説!
- 秋介 永田
- 9月12日
- 読了時間: 6分

施設・露地を問わずヨトウムシ/ハスモンヨトウ/オオタバコガなどのチョウ目害虫やアザミウマ類・ハモグリバエ類・コナジラミ類に困った経験はありませんか?
これらの害虫は被害拡大が速く、対応が遅れがちです。
ディアナSC(有効成分:スピネトラム、IRACグループ5・スピノシン系)は摂食阻害を迅速に起こし、害虫による被害・増殖を抑制します。また、収穫前日まで使える作物が多いのが強みです。
発生初期に2,500〜5,000倍で確実にかけ切ることで、被害の進展を抑えつつ安定した収量を得る運用が可能です。本記事では最新ラベル情報を基に、適用作物と希釈倍率/使用液量/回数、散布のコツ、ローテーション散布例まで解説します。この記事を読んだ上で導入を検討してみてはいかがでしょうか?
こんな方におすすめ
レタス・キャベツ・トマト・ねぎ・いちご・ナス等でヨトウムシ・オオタバコガ・アザミウマに悩んでいる
ディアナSCの導入効果と使い方を把握したい
ローテーション(IRAC)や収穫前日使用の注意点を整理したい
1. 商品概要
分類 | 選択性殺虫剤 |
|---|---|
主な対象害虫 | ヨトウムシ・ハスモンヨトウ・オオタバコガ・コナガ・アオムシ等のチョウ目、アザミウマ類、ハモグリバエ類、コナジラミ類 など |
使用場面 | 発生初期~増殖前の早め散布/収穫期も可(作物により収穫前日まで) |
提供形態 | ボトル |
2. ディアナSCの特長・メリット
2‑1. 幅広い殺虫スペクトラムで“同時発生”に強い
チョウ目+微小害虫(アザミウマ・ハモグリバエ・コナジラミ)を一本で幅広くカバー。
2‑2. 速やかな摂食阻害で被害進展を抑制
散布後早い段階で食害停止→被害拡大を抑える。
2‑3. 収穫直前まで使いやすい運用性
多くの野菜で収穫前日まで使用可。回数上限を守れば計画に組み込みやすい。
ポイントBOX:ディアナSCと他系統薬剤の比較
系統 | ディアナSC(IRAC5) | ジアミド系(IRAC28) | マクロライド系(IRAC6) |
|---|---|---|---|
主対象 | チョウ目+微小害虫 | 主にチョウ目(幼虫) | 主にチョウ目 |
速効性(食害停止) | 速い | 中~速 | 速い |
収穫前使用 | 可の作物多い | 作物により可 | 作物により可 |
抵抗性管理 | 28・6・11A(BT)等と輪番 | 5・6・11A等と輪番 | 5・28・11A等と輪番 |
3. ディアナSCの導入例
レタス(施設):初期のアザミウマ+オオタバコガ混発を確認。ディアナSC2,500〜5,000倍、200L/10aで7〜10日間隔×2回を計画。黄色粘着板で発生推移を見ながらローテーション(次回はIRAC28/11Aなどへ)。
トマト(施設):トマトキバガ・オオタバコガ+アザミウマ。開花期はミツバチの影響回避に配慮し、授粉資材停止・巣箱退避の上で夕方散布を徹底。100〜300L/10aのかけ切りを優先。
ねぎ(露地):ネギコガ・ネギハモグリバエ中心。作物特性上付着性が課題のため、ノズル角度と吐出量を見直し、株元〜葉鞘のかかりにくい部位まで届かせる設計に。必要時は機能性展着剤の適否を地域指導資料で確認。
実証データは作物・地域で異なるため、各県の防除基準/JA資料と最新ラベルで必ず整合を取ってください。
4. ディアナSCの使い方・適切な散布
準備物:
ディアナSC、水、噴霧器、ノズル(微小害虫は霧状〜細粒が届きやすい)、保護具。
希釈倍率・使用液量:
2,500〜5,000倍(作物・害虫で異なる)。100〜300L/10aを基準に、作物の茂り・葉裏到達性で調整。
タイミング:
発生初期〜幼虫主体の時期。増殖期は7〜10日間隔で上限回数内に2回を目安。
手順ステップ:
所定の希釈倍率に調整。かけ残しを作らない動線で、葉裏・株元・新芽へ到達させる。
注意点:
ローテーション:同系統(IRAC5:スピノサド等)と連用しない。
ミツバチ等:巣箱にかからないように、周辺養蜂への周知。
混用・展着剤:地域の混用表・県資料を確認。作物・薬剤により効果が向上する場合/低下する場合がある。
Tip:
微小害虫は葉裏など薬剤がかかりくい場所にも潜むため、角度変更・吐出量増などでかけ残しを作らない。
作物別適用表(作物・害虫抜粋)
作物名 | 適用害虫名 | 希釈倍数(散布)・使用液量 | 使用時期 | 本剤使用回数(内訳) | 成分総使用回数 |
|---|---|---|---|---|---|
キャベツ | アザミウマ類・コナガ・アオムシ・ハイマダラノメイガ・ヨトウムシ・ハスモンヨトウ・ウワバ類・オオタバコガ・ハモグリバエ類 | 2,500–5,000倍 100–300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内(育苗期1回・定植後2回) | スピネトラム 2–3回目安 |
トマト・ミニトマト | アザミウマ類・ハモグリバエ類・コナジラミ類・ハスモンヨトウ・トマトキバガ・オオタバコガ | 2,500–5,000倍100–300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
レタス/非結球レタス | アザミウマ類・ハモグリバエ類・オオタバコガ・ハスモンヨトウ | 2,500–5,000倍100–300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
ねぎ | アザミウマ類・ネギハモグリバエ・ネギコガ・シロイチモジヨトウ | 2,500–5,000倍100–300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
いちご | アザミウマ類・ハスモンヨトウ・コナジラミ類・クロバネキノコ・バエ類 | 2,500–5,000倍 2,500倍 100–300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
なす | コナジラミ類・アザミウマ類・ハモグリバエ類・ハスモンヨトウ・オオタバコガ | 2,500–5,000倍 2,500倍 100–300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
Tip:
実際の適用一覧・回数は作物で細かく異なるため、最新ラベルと地域の防除基準で必ず確認。
5. 関連資材との相乗効果
資材名 | 目的 | 使用タイミング |
|---|---|---|
アファーム乳剤 | ローテーション散布 (チョウ目、アザミウマ類など幅広い対象) | ディアナSCの前後 |
プレバソンフロアブル5 | 主にチョウ目、ハモグリバエ類を対象としたローテーション散布 | ディアナSCの前後 |
ダントツ水溶剤 | 主にアザミウマ類、コナジラミ類を対象としたローテーション散布 | ディアナSCの前後 |
6. FAQ
Q1:ディアナSCはハダニにも効きますか?
A:対象はハダニではなく、チョウ目・アザミウマ・ハモグリバエ・コナジラミ等です。ハダニ対策には殺ダニ剤を使用してください。
Q2:スピノサド(同IRAC5)との違いは?
A:いずれもIRAC5のスピノシン系。作物・害虫で登録や使用回数が異なるため、ラベルでの使い分けと連用回避が基本です。
Q3:展着剤は加用したほうが良い?
A:作物・害虫・剤によって効果が上がる事例/下がる事例が報告されています。県資料や混用表に従い、必要時は小面積で事前確認してください。
Q4:ミツバチ・マルハナバチへの配慮は?
A:巣箱・周辺への飛散回避、放飼中の施設では使用回避・周辺養蜂への周知など、ラベルの安全使用を厳守してください。
7. まとめ
ディアナSCは、チョウ目と微小害虫の同時多発に対応でき、収穫前日まで使いやすい運用性が魅力です。発生初期の徹底散布とIRACに基づくローテーション、ミツバチ配慮を押さえれば、現場でのリスクを抑えられます。チョウ目や微小害虫にお困りの方は、是非一度使用を検討してみてはいかがでしょうか。












