ダントツ水溶剤はどうやって使う? ─ アザミウマ、カメムシ、チョウ目害虫、アブラムシ、ウンカを防除するダントツ水溶剤の使い方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 8月15日
- 読了時間: 7分

アザミウマやアブラムシ、ウンカ・ヨコバイ、カメムシ類は発生初期の見逃しが収量と品質低下に直結します。
ダントツ水溶剤(有効成分:クロチアニジン/IRAC 4A ネオニコチノイド系)は、浸透移行性とトランスラミナー(葉裏へ移行)作用により、葉裏や新葉に潜む吸汁害虫まで狙える選択性殺虫剤。野菜・果樹・茶・水稲・花きなど幅広い作物で登録があり、発生初期からの予防的散布で被害拡大を抑えます。
さらに顆粒タイプの水溶剤で粉立ちが少なく調製が容易。本記事では、適用作物と害虫、希釈倍率の目安(例:2000〜4000倍)、使い方のコツ、ミツバチ等への配慮まで、信頼できる公的情報に基づいて解説します。
こんな方におすすめ
施設・露地でアザミウマ、アブラムシ、カメムシ、ウンカ・ヨコバイに悩んでいる
ダントツ水溶剤の適用作物・害虫や希釈倍率を一目で把握したい
ローテーション(作用機構)や安全使用の注意点を整理したい
1. 商品概要
分類 | 選択性殺虫剤/ネオニコチノイド系(IRAC 4A) |
|---|---|
有効成分 | クロチアニジン(クロチアニジン水溶剤) |
主な対象害虫 | アザミウマ類/アブラムシ類/カメムシ類/ウンカ・ヨコバイ類/コナジラミ類/ハモグリバエ類 ほか(作物により異なる) |
主な適用作物 | 野菜・果樹・茶・水稲・花き など |
使用場面 | 発生初期〜予防的散布/新葉展開期/果樹の幼果期前後/水稲の本田初期 など(作物・害虫で異なる) |
提供形態 | 顆粒タイプの水溶剤(青緑色水溶性細粒) |
2. 特長・メリット
2-1. 浸透移行+トランスラミナーで葉裏・新葉まで届く
茎葉から吸収され作物体内へ浸透移行。さらに葉表→葉裏へ移行するため、葉裏に潜むアブラムシ・アザミウマにも効果を発揮。
2-2. 幅広い作物・害虫で使える
野菜・果樹・茶・水稲・花きなどで適用あり。アザミウマ/アブラムシ/ウンカ・ヨコバイ/カメムシに強く、作物によりハモグリバエ・ハモグリガなどにも有効。
2-3. 調製しやすく作業性が良い
顆粒タイプ水溶剤で粉立ちが少なく、薬液調製が容易。作物体の汚れが少ないのも利点。
ポイント:(ローテーションの考え方)
ダントツ水溶剤は IRAC 4A。連用は抵抗性リスクを高めるため、5(スピノシン)や28(ジアミド)、23(テトラミン酸系)など作用機構の異なる剤とローテーションを。
3. 導入例
作物 | 導入規模 | 導入目的 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
イチゴ | 30a(施設) | アザミウマ/アブラムシ初期密度の抑制、等級A比率向上 | 発生密度対照比 -65%、等級A +8pt、収量 +5%、薬害なし |
ピーマン | 50a(施設) | 花器加害(アザミウマ)低減、防虫ネット・粘着トラップ併用検証 | 被害果率 -55%、モニタリング捕獲数 -40%、作業時間横ばい |
ナス | 40a(施設) | コナジラミ/アブラムシ抑制→すす病軽減 | すす病発生葉率 -40%、果実外観改善、薬害なし |
茶 | 2ha(露地) | チャノキイロアザミウマ・チャノミドリヒメヨコバイ対策 | 摘採前7日前散布で等級低下クレーム0件、黄化葉率 -50% |
水稲 | 8ha(本田) | 初期のウンカ・ヨコバイ侵入抑制 | 初期密度 -45%、株間ムラの縮小を確認(ドローン少量散布) |
かんきつ | 3ha(園地) | 新梢期のアブラムシ/アザミウマ抑制、幼果保護 | 新梢被害指数 -60%、果面のスス汚れ減少 |
バラ | 20a(施設) | つぼみ奇形(アザミウマ)抑制、出荷規格安定 | 規格外花率 -35%、蕾の変形減少、作業者評価良 |
トマト | 30a(施設) | コナジラミ管理(ローテーション内の役割) | トラップ捕獲数 -45%、ウイルス媒介リスク低減の一助 |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
計量器/展着剤(必要時)/動噴・SS 等/個人防護具(手袋・保護眼鏡・マスク)。
希釈倍率の目安:
多くの場面で2000〜4000倍。作物・害虫により1000倍等の例外あり。
タイミング:
害虫発生初期。アザミウマは新葉・新芽期、アブラムシはコロニー形成前、水稲は初期発生時。
手順:
所定量を清水で希釈→葉裏まで均一被覆(野菜・花き 100〜300L/10a、果樹・茶 200〜700L/10aの目安)→必要に応じ再散布(総使用回数を厳守)。
注意点:
ミツバチ/マルハナバチに影響あり。放飼中の施設・果樹園では使用回避、周辺の養蜂確認、散布情報の提供を徹底。
甲殻類等の水産動植物に影響。水域への飛散・流入防止。
無人航空機散布は各機種基準を順守。散布液の飛散・漏れに注意。
育苗箱処理・水稲の少量散布など特殊処理は適合装置を使用。
作物ごとの希釈倍率・使用液量
作物 | 主な対象害虫(例) | 希釈倍率の目安 | 使用液量の目安(10aあたり) | 使用時期の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
イチゴ(施設) | アザミウマ/アブラムシ | 2000〜4000倍 | 100〜200L | 発生初期〜開花期前後 | 花器・新芽を重点被覆。マルハナバチ放飼時は使用回避 |
トマト(施設) | コナジラミ/アブラムシ | 2000〜4000倍 | 100〜300L | 生育初期〜下葉整理期 | 葉裏の密着被覆。展着剤で付着性補強 |
ピーマン(施設) | アザミウマ | 2000〜4000倍 | 100〜200L | 発生初期(蕾期含む) | 花周り・果梗部を丁寧に |
ナス(施設) | コナジラミ/アブラムシ | 2000〜4000倍 | 100〜300L | 発生初期 | ワックス強めの葉は展着剤併用 |
キュウリ(施設) | アザミウマ/アブラムシ | 2000〜4000倍 | 100〜200L | 発生初期〜収穫期前半 | 下位葉〜新葉まで均一被覆 |
茶(露地) | チャノキイロアザミウマ/チャノミドリヒメヨコバイ | 2000〜4000倍 | 200〜500L | 摘採前の適期(※摘採前日数はラベル確認) | 被覆ムラに注意。SSで均一散布 |
かんきつ(露地) | アブラムシ/アザミウマ/ミカンハモグリガ | 2000〜4000倍 | 200〜700L | 新梢期〜幼果期 | 収穫前日まで可の区分あり/なしは品目で異なるため要確認 |
水稲(本田) | ウンカ/ヨコバイ | (処理方法により異なる) | 少量散布:30〜50L/通常:100L前後 | 初期発生時〜本田初期 | 本田散布/少量散布/箱処理で倍率・液量が異なる(最新ラベル必読) |
花き・観葉(施設) | アザミウマ/アブラムシ | 2000〜4000倍 | 100〜200L | 発生初期 | つぼみ・新芽を重点的に |
注:下表は運用設計のための代表的な目安です。作物・害虫・時期・散布方法(地上/SS/ドローン等)で異なります。最終判断は最新ラベル・地域指導に従ってください。
※総使用回数・収穫前日数は品目・部位で異なります。最新ラベルで必ず確認。
※ミツバチ・マルハナバチへの影響に配慮し、放飼・巣箱設置中は使用を避ける。
Tip:
アザミウマは花器や新芽に潜むため、花周り・芽先を重点的に被覆。高温・乾燥条件では展着剤で付着性を補強。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
|---|---|---|
スピノエース顆粒水和剤(スピノサド/IRAC 5) | アザミウマのローテーション剤 | ダントツと交互(発生初期→ピーク前) |
プレバソンフロアブル5(クロラントラニリプロール/IRAC 28) | チョウ目幼虫対策 | 葉齢の若い時期 |
モベントフロアブル(スピロテトラマト/IRAC 23) | アブラムシ追加対策 | コロニー拡大前 |
アビオン-E/ダイン | 薬液の付着・浸達向上 | 乾燥条件・葉面ワックスが強い作物 |
6. FAQ
Q1:ミツバチやマルハナバチを放飼しているハウスで使えますか?
A:使用を避けてください。ミツバチ等に影響があるため、放飼中の施設・果樹園では使用回避がラベルで求められています。周辺の養蜂状況の確認と情報提供も必要です。
Q2:収穫直前でも使えますか?
A:作物により異なります。かんきつ等で収穫前日まで使用可の区分がありますが、他作物では◯日前まで等の制限があるため、作物別の最新登録を確認してください。
Q3:希釈倍率はどれくらい?
A:多くの場面で2000〜4000倍が目安ですが、水稲の一部処理などで1000倍等の例外があります。使用液量(10a当たり)も作物で異なります。
Q4:ローテーションはどう組めば良い?
A:ダントツはIRAC 4A。5・23・28など異なるMoAと交互に使用し、同系統の連用を避けることが推奨です。
7. まとめ
ダントツ水溶剤は、浸透移行+葉裏到達という特性で吸汁害虫に強い、使い勝手の良い選択性殺虫剤です。
2000〜4000倍を中心に、作物・害虫ごとの使用時期・回数とミツバチ等への配慮を守れば、収量・品質の落ち込みを未然に防げます。
最新の登録内容を確認のうえ、異なるMoAとのローテーションで、安定した防除体系を組みましょう。









