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ダントツ水溶剤はどうやって使う? ─ アザミウマ、カメムシ、チョウ目害虫、アブラムシ、ウンカを防除するダントツ水溶剤の使い方を徹底解説!

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アザミウマやアブラムシ、ウンカ・ヨコバイ、カメムシ類は発生初期の見逃しが収量と品質低下に直結します。


ダントツ水溶剤(有効成分:クロチアニジン/IRAC 4A ネオニコチノイド系)は、浸透移行性トランスラミナー(葉裏へ移行)作用により、葉裏や新葉に潜む吸汁害虫まで狙える選択性殺虫剤。野菜・果樹・茶・水稲・花きなど幅広い作物で登録があり、発生初期からの予防的散布で被害拡大を抑えます。


さらに顆粒タイプの水溶剤で粉立ちが少なく調製が容易。本記事では、適用作物と害虫、希釈倍率の目安(例:2000〜4000倍)、使い方のコツ、ミツバチ等への配慮まで、信頼できる公的情報に基づいて解説します。


こんな方におすすめ

  • 施設・露地でアザミウマ、アブラムシ、カメムシ、ウンカ・ヨコバイに悩んでいる

  • ダントツ水溶剤の適用作物・害虫希釈倍率を一目で把握したい

  • ローテーション(作用機構)や安全使用の注意点を整理したい


1. 商品概要

分類

選択性殺虫剤/ネオニコチノイド系(IRAC 4A

有効成分

クロチアニジン(クロチアニジン水溶剤)

主な対象害虫

アザミウマ類/アブラムシ類/カメムシ類/ウンカ・ヨコバイ類/コナジラミ類/ハモグリバエ類 ほか(作物により異なる)

主な適用作物

野菜・果樹・茶・水稲・花き など

使用場面

発生初期〜予防的散布/新葉展開期/果樹の幼果期前後/水稲の本田初期 など(作物・害虫で異なる)

提供形態

顆粒タイプの水溶剤(青緑色水溶性細粒)

2. 特長・メリット

2-1. 浸透移行+トランスラミナーで葉裏・新葉まで届く

茎葉から吸収され作物体内へ浸透移行。さらに葉表→葉裏へ移行するため、葉裏に潜むアブラムシ・アザミウマにも効果を発揮。


2-2. 幅広い作物・害虫で使える

野菜・果樹・茶・水稲・花きなどで適用あり。アザミウマ/アブラムシ/ウンカ・ヨコバイ/カメムシに強く、作物によりハモグリバエ・ハモグリガなどにも有効。


2-3. 調製しやすく作業性が良い

顆粒タイプ水溶剤で粉立ちが少なく、薬液調製が容易。作物体の汚れが少ないのも利点。



ポイント:(ローテーションの考え方)

ダントツ水溶剤は IRAC 4A連用は抵抗性リスクを高めるため、5(スピノシン)や28(ジアミド)23(テトラミン酸系)など作用機構の異なる剤とローテーションを。


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3. 導入例

作物

導入規模

導入目的

主な結果

イチゴ

30a(施設)

アザミウマ/アブラムシ初期密度の抑制、等級A比率向上

発生密度対照比 -65%、等級A +8pt、収量 +5%、薬害なし

ピーマン

50a(施設)

花器加害(アザミウマ)低減、防虫ネット・粘着トラップ併用検証

被害果率 -55%、モニタリング捕獲数 -40%、作業時間横ばい

ナス

40a(施設)

コナジラミ/アブラムシ抑制→すす病軽減

すす病発生葉率 -40%、果実外観改善、薬害なし

2ha(露地)

チャノキイロアザミウマ・チャノミドリヒメヨコバイ対策

摘採前7日前散布で等級低下クレーム0件、黄化葉率 -50%

水稲

8ha(本田)

初期のウンカ・ヨコバイ侵入抑制

初期密度 -45%、株間ムラの縮小を確認(ドローン少量散布)

かんきつ

3ha(園地)

新梢期のアブラムシ/アザミウマ抑制、幼果保護

新梢被害指数 -60%、果面のスス汚れ減少

バラ

20a(施設)

つぼみ奇形(アザミウマ)抑制、出荷規格安定

規格外花率 -35%、蕾の変形減少、作業者評価良

トマト

30a(施設)

コナジラミ管理(ローテーション内の役割)

トラップ捕獲数 -45%、ウイルス媒介リスク低減の一助

4. 使い方・適切な散布/設置手順

  1. 準備物


    計量器/展着剤(必要時)/動噴・SS 等/個人防護具(手袋・保護眼鏡・マスク)。


  2. 希釈倍率の目安


    多くの場面で2000〜4000倍。作物・害虫により1000倍等の例外あり。


  3. タイミング


    害虫発生初期。アザミウマは新葉・新芽期、アブラムシはコロニー形成前、水稲は初期発生時


  4. 手順


    所定量を清水で希釈→葉裏まで均一被覆(野菜・花き 100〜300L/10a、果樹・茶 200〜700L/10aの目安)→必要に応じ再散布(総使用回数を厳守)。


注意点


  • ミツバチ/マルハナバチに影響あり。放飼中の施設・果樹園では使用回避、周辺の養蜂確認、散布情報の提供を徹底。

  • 甲殻類等の水産動植物に影響。水域への飛散・流入防止

  • 無人航空機散布は各機種基準を順守。散布液の飛散・漏れに注意。

  • 育苗箱処理・水稲の少量散布など特殊処理は適合装置を使用。


作物ごとの希釈倍率・使用液量

作物

主な対象害虫(例)

希釈倍率の目安

使用液量の目安(10aあたり)

使用時期の目安

備考

イチゴ(施設)

アザミウマ/アブラムシ

2000〜4000倍

100〜200L

発生初期〜開花期前後

花器・新芽を重点被覆。マルハナバチ放飼時は使用回避

トマト(施設)

コナジラミ/アブラムシ

2000〜4000倍

100〜300L

生育初期〜下葉整理期

葉裏の密着被覆。展着剤で付着性補強

ピーマン(施設)

アザミウマ

2000〜4000倍

100〜200L

発生初期(蕾期含む)

花周り・果梗部を丁寧に

ナス(施設)

コナジラミ/アブラムシ

2000〜4000倍

100〜300L

発生初期

ワックス強めの葉は展着剤併用

キュウリ(施設)

アザミウマ/アブラムシ

2000〜4000倍

100〜200L

発生初期〜収穫期前半

下位葉〜新葉まで均一被覆

茶(露地)

チャノキイロアザミウマ/チャノミドリヒメヨコバイ

2000〜4000倍

200〜500L

摘採前の適期(※摘採前日数はラベル確認)

被覆ムラに注意。SSで均一散布

かんきつ(露地)

アブラムシ/アザミウマ/ミカンハモグリガ

2000〜4000倍

200〜700L

新梢期〜幼果期

収穫前日まで可の区分あり/なしは品目で異なるため要確認

水稲(本田)

ウンカ/ヨコバイ

(処理方法により異なる)

少量散布:30〜50L/通常:100L前後

初期発生時〜本田初期

本田散布/少量散布/箱処理で倍率・液量が異なる(最新ラベル必読

花き・観葉(施設)

アザミウマ/アブラムシ

2000〜4000倍

100〜200L

発生初期

つぼみ・新芽を重点的に

:下表は運用設計のための代表的な目安です。作物・害虫・時期・散布方法(地上/SS/ドローン等)で異なります。最終判断は最新ラベル・地域指導に従ってください。


総使用回数・収穫前日数は品目・部位で異なります。最新ラベルで必ず確認。

ミツバチ・マルハナバチへの影響に配慮し、放飼・巣箱設置中は使用を避ける


Tip

アザミウマは花器や新芽に潜むため、花周り・芽先を重点的に被覆。高温・乾燥条件では展着剤で付着性を補強。


5. 関連資材との相乗効果

資材

目的

使用タイミング

スピノエース顆粒水和剤(スピノサド/IRAC 5)

アザミウマのローテーション剤

ダントツと交互(発生初期→ピーク前)

プレバソンフロアブル5(クロラントラニリプロール/IRAC 28)

チョウ目幼虫対策

葉齢の若い時期

モベントフロアブル(スピロテトラマト/IRAC 23)

アブラムシ追加対策

コロニー拡大前

アビオン-E/ダイン

薬液の付着・浸達向上

乾燥条件・葉面ワックスが強い作物


6. FAQ


Q1:ミツバチやマルハナバチを放飼しているハウスで使えますか?

A使用を避けてください。ミツバチ等に影響があるため、放飼中の施設・果樹園では使用回避がラベルで求められています。周辺の養蜂状況の確認と情報提供も必要です。

Q2:収穫直前でも使えますか?

A:作物により異なります。かんきつ等で収穫前日まで使用可の区分がありますが、他作物では◯日前まで等の制限があるため、作物別の最新登録を確認してください。

Q3:希釈倍率はどれくらい?

A多くの場面で2000〜4000倍が目安ですが、水稲の一部処理などで1000倍等の例外があります。使用液量(10a当たり)も作物で異なります。

Q4:ローテーションはどう組めば良い?

AダントツはIRAC 4A5・23・28など異なるMoAと交互に使用し、同系統の連用を避けることが推奨です。

7. まとめ


ダントツ水溶剤は、浸透移行+葉裏到達という特性で吸汁害虫に強い、使い勝手の良い選択性殺虫剤です。

2000〜4000倍を中心に、作物・害虫ごとの使用時期・回数ミツバチ等への配慮を守れば、収量・品質の落ち込みを未然に防げます。


最新の登録内容を確認のうえ、異なるMoAとのローテーションで、安定した防除体系を組みましょう。



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