プレオフロアブルはどうやって使う?─アザミウマやヨトウムシ、オオタバコガを防除するプレオフロアブルの使い方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 4 日前
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更新日:8 時間前
アザミウマ類やヨトウムシ、オオタバコガはイチゴやナスなど、農作物の品質と収量を大きく左右する厄介な害虫です。薬剤抵抗性が広がるなか、新規系統の選択性殺虫剤 「プレオフロアブル」(有効成分:ピリダリル) が IPM(総合的病害虫管理)で注目を集めています。1000倍散布で速効的に作用しながら、ハナカメムシ類・寄生蜂・カブリダニ類など主要な天敵や花粉媒介昆虫への影響がほとんどないため、天敵利用と化学防除を両立できます。ここでは国内試験成績や現場事例を基に、プレオフロアブルを最大限に活かす使い方を徹底解説します。

1. 商品概要
分類 | 選択性殺虫剤(ピリダリル水和剤/UN) |
主な対象害虫 | アザミウマ類(ミナミキイロアザミウマ等)、ヨトウムシ類(ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ等)、オオタバコガ、ハモグリバエ類 ほか |
使用場面 | 定植直後〜収穫期(害虫初発〜大量発生前) |
提供形態 | フロアブル剤:100 mL、500 mL、5 L |
希釈倍率 | 1000倍(100〜300 L/10a) |
使用回数 | イチゴ:年間4回以内/収穫前日まで可 など |
2. 特長・メリット
2‑1. 新規作用機構による高い殺虫効果
既存剤(有機リン・カーバメート・合成ピレスロイド等)と交差抵抗性がなく、抵抗性個体にも安定した効果を示す。
経口・経皮の両方で作用し、中〜老齢幼虫にも速効的に致死効果。
2‑2. 天敵・花粉媒介昆虫にやさしい IPM適合性
1000倍液散布でハナカメムシ類、寄生蜂、カブリダニ類への影響が確認されなかった室内試験報告あり。
ミツバチ・マルハナバチとの併用可。散布時は巣箱を閉じ、乾燥後に解放する運用が推奨。
2‑3. 雨・低温に強い残効性
散布後の降雨でも有効成分の流亡が少なく、効果が長持ち。
15 ℃条件でも散布3日後には死虫率がほぼ100 %に到達する試験結果。
ポイントBOX:主要殺虫剤との比較(イチゴ・アザミウマ成虫防除率)
薬剤 | 成虫死虫率(24h後) | 天敵への影響 |
プレオフロアブル(1000倍) | 85 % | 低 |
モスピラン水溶剤(2000倍) | 78 % | 中 |
合成 ピレスロイド剤 | 65 % | 高 |
3. 導入事例・実証データ
作物・栽培形態 | 面積 | 散布条件 | 散布後効果 | 天敵影響 |
---|---|---|---|---|
イチゴ高設栽培(栃木県) | 0.3 ha | ハスモンヨトウ初発時に1000倍全面散布 | 72 h後、幼虫密度 12→1頭/株(92 %減) | ミツバチ巣箱は散布2 h後に再開放し着果率への影響なし |
トマト施設栽培 (熊本県) | 0.5 ha | オオタバコガ2齢幼虫3頭/株発生時に1000倍散布+スワルスキーカブリダニ定着区 | 7日後、被害果率 8 %→1 %に低下 | カブリダニ密度はほぼ維持(0.9→0.8頭/葉) |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:計量カップ、動力噴霧器、保護具(手袋・マスク)。
希釈倍率:常温水で1000倍希釈。例)水 100 L に対し薬量 100 mL。
タイミング:
アザミウマ:花房上位葉に成虫 1〜2頭/葉を目安。
ヨトウムシ・オオタバコガ:幼虫若齢期初発時。
散布ステップ:
葉裏まで濡れるように丁寧に散布(100〜300 L/10a)。
散布後2〜3 hは換気を控え、薬液乾燥を待つ。
注意点:
pH 7 以上のアルカリ性水では分解が早まるため、弱酸性〜中性水で希釈。
灌注・葉面散布兼用タンクでの残液混用は避ける。
Tip:20〜30 ℃で速効性が高い。低温期は発生初期に早めの散布が効果的。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
スワルスキー/スワマイト(スワルスキーカブリダニ剤) | アザミウマ類の捕食 | 定植直後に 50–100頭/㎡ 放飼、プレオ散布は7日後以降 |
バコトップ(タバコカスミカメ製剤) | コナジラミ・アザミウマの捕食 | 活着後直ちに導入し、プレオ散布は成虫増加期にスポット処理 |
粘着くん液剤 | 物理防除・卵塊剥離 | プレオ散布 3日後に葉裏へ散布して被害抑制 |
6. FAQ
Q1:天敵放飼後すぐに散布しても大丈夫?
A:ハナカメムシ類やカブリダニ類には影響が小さいですが、定着直後は避け、最低2–3日空けてスポット散布が安全です。
Q2:収穫前日に散布しても残留基準は大丈夫?
A:イチゴの場合、収穫1日前まで使用可と登録されています(1日残留制限)。表示どおりの希釈倍率を順守してください。
Q3:耐雨性はどの程度?
A:散布2 時間後、10 mmの降雨により効果低下が認められなかった試験例があります。天気予報を確認し、雨が降る前の散布は避けましょう。
7. まとめ
プレオフロアブルは、抵抗性対策・天敵保護・作業安全性の3拍子がそろった選択性殺虫剤です。イチゴやトマト、ナスで問題となるアザミウマ・ヨトウムシ・オオタバコガを確実に抑えつつ、スワルスキーカブリダニやハナカメムシなどの天敵と共存できる点が最大の強み。IPMを実践して収量と品質を両立したい方は、ぜひ本剤の活用を検討してみてください。