プレオフロアブルはどうやって使う?─アザミウマやヨトウムシ、オオタバコガを防除するプレオフロアブルの使い方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 5月16日
- 読了時間: 5分
更新日:8月25日

施設野菜や露地野菜で厄介なアザミウマ類・ヨトウムシ類・タバコガ類。被害が進むと収量も品質も下げ、しかも薬剤抵抗性の問題まで絡んできます。
プレオフロアブル(有効成分:ピリダリル)は、これら鱗翅目害虫(ヨトウ・タバコガ)とアザミウマ類に安定して効き、ハナカメムシ・寄生蜂・カブリダニなどの天敵に対する影響が比較的少ないためIPM(総合的病害虫管理)に組み込みやすいのが特長です。
本記事では、適用作物・希釈倍率・使用量・使用時期をわかりやすく整理し、現場での導入例と散布のコツまで一気にまとめます。
こんな方におすすめ
トマト・ナス・ピーマン・レタス・キャベツ等でアザミウマ/タバコガ/ヨトウムシに悩んでいる
プレオフロアブルの効果や適切なタイミングを確認したい
他資材との併用やラベル準拠の適用表をひと目で把握したい
1. 商品概要
分類 | 選択性殺虫剤(ピリダリル水和剤/UN) |
主な対象害虫 | アザミウマ類(ミナミキイロアザミウマ等)、ヨトウムシ類(ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ等)、オオタバコガ、ハモグリバエ類 ほか |
使用場面 | 定植直後〜収穫期(害虫初発〜大量発生前) |
提供形態 | フロアブル剤:100 mL、500 mL、5 L |
希釈倍率 | 1000倍(100〜300 L/10a) |
使用回数 | イチゴ:年間4回以内/収穫前日まで可 など |
2. 特長・メリット
2‑1. 若齢幼虫に高い効果
ヨトウムシ・タバコガ類の若齢期に卓効。圃場試験でも処理後数日で密度を大幅低下。
2‑2. アザミウマ類にも適用
ピーマン等でアザミウマ類に適用。開花期の被害拡大を初期対応で抑制。
2‑3. IPM適合
天敵類への影響が比較的少ない報告があり、放飼体系にも組み込みやすい。
3. 導入例
作物・栽培形態 | 面積 | 散布条件 | 散布後効果 | 天敵影響 |
---|---|---|---|---|
イチゴ高設栽培(栃木県) | 0.3 ha | ハスモンヨトウ初発時に1000倍全面散布 | 72 h後、幼虫密度 12→1頭/株(92 %減) | ミツバチ巣箱は散布2 h後に再開放し着果率への影響なし |
トマト施設栽培 (熊本県) | 0.5 ha | オオタバコガ2齢幼虫3頭/株発生時に1000倍散布+スワルスキーカブリダニ定着区 | 7日後、被害果率 8 %→1 %に低下 | カブリダニ密度はほぼ維持(0.9→0.8頭/葉) |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
計量カップ、動力噴霧器、保護具(手袋・マスク)。
希釈倍率:
常温水で1000倍希釈。例)水 100 L に対し薬量 100 mL。
タイミング:
アザミウマ:花房上位葉に成虫 1〜2頭/葉を目安。
ヨトウムシ・オオタバコガ:幼虫若齢期初発時。
散布ステップ:
葉裏まで濡れるように丁寧に散布(100〜300 L/10a)。
散布後2〜3 hは換気を控え、薬液乾燥を待つ。
注意点:
pH 7 以上のアルカリ性水では分解が早まるため、弱酸性〜中性水で希釈。
灌注・葉面散布兼用タンクでの残液混用は避ける。
作物別適用表(2024年4月24日ラベル準拠の例示)
作物名 | 適用害虫名 | 希釈倍数(散布) | 使用液量 | 使用時期 | 本剤使用回数(内訳) | 成分総使用回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
トマト/ミニトマト | ハスモンヨトウ/オオタバコガ/ハモグリバエ類/シロイチモジヨトウ/トマトキバガ | 1000倍 | 100–300 L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 2回以内 |
ナス | ハスモンヨトウ/オオタバコガ/アザミウマ類/ハモグリバエ類 | 1000倍 | 100–300 L/10a | 収穫前日まで | 4回以内 | 2回以内* |
ピーマン・とうがらし類 | アザミウマ類/タバコガ類 | 1000倍 | 100–300 L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 2回以内 |
キャベツ | アオムシ/コナガ/ウワバ類/シロイチモジヨトウ/オオタバコガ/ネギアザミウマ/ハイマダラノメイガ | 1000倍 | 100–300 L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 2回以内 |
非結球レタス | オオタバコガ/ハスモンヨトウ/ナモグリバエ | 1000倍 | 100–300 L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 2回以内 |
はくさい/ブロッコリー | コナガ/ヨトウムシ | 1000倍(無人航空機は16–32倍、1.6–3.2 L/10a) | 100–300 L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 2回以内 |
*作物・地域・最新登録の更新により内訳表現が異なる場合があります。必ず最新ラベル・登録情報を確認してください。
Tip:
20〜30 ℃で速効性が高い。低温期は発生初期に早めの散布が効果的。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
スワルスキー/スワマイト(スワルスキーカブリダニ剤) | アザミウマ類の捕食 | 定植直後に 50–100頭/㎡ 放飼、プレオ散布は7日後以降 |
バコトップ(タバコカスミカメ製剤) | コナジラミ・アザミウマの捕食 | 活着後直ちに導入し、プレオ散布は成虫増加期にスポット処理 |
粘着くん液剤 | 物理防除・卵塊剥離 | プレオ散布 3日後に葉裏へ散布して被害抑制 |
6. FAQ
Q1:天敵放飼後すぐに散布しても大丈夫?
A:ハナカメムシ類やカブリダニ類には影響が小さいですが、定着直後は避け、最低2–3日空けてスポット散布が安全です。
Q2:収穫前日に散布しても残留基準は大丈夫?
A:イチゴの場合、収穫1日前まで使用可と登録されています(1日残留制限)。表示どおりの希釈倍率を順守してください。
Q3:耐雨性はどの程度?
A:散布2 時間後、10 mmの降雨により効果低下が認められなかった試験例があります。天気予報を確認し、雨が降る前の散布は避けましょう。
7. まとめ
プレオフロアブルは若齢幼虫期の速効性とアザミウマ適用、そしてIPM適合性が強み。
1000倍×100–300 L/10aを基準に、若齢期・発生初期を逃さず、抵抗性対策として輪番を徹底しましょう。
最新の適用表はメーカー/MAFF登録情報で必ず最終確認。