グレーシア乳剤はどうやって使う?─イチゴ、ナス、キュウリなどのヨトウムシ、オオタバコガ、ハモグリバエを防除するグレーシア乳剤の使い方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 8月14日
- 読了時間: 5分
更新日:8月18日

施設でも露地でも、ヨトウムシ(ハスモンヨトウ・ヨトウムシ・シロイチモジヨトウ)やオオタバコガ、さらにハモグリバエ類やアザミウマ類が一気に広がると、収穫期のロスと品質低下が止まりません。
グレーシア乳剤(有効成分:フルキサメタミド、IRACコード30)は、既存剤と異なる作用で抵抗性個体群にも高い効果を示し、約2週間の加害抑制と葉裏まで届く浸達性、耐雨性、高温・低温下でも安定した効力が特長の選択性殺虫剤です。
イチゴ・ナス・キュウリを中心に、収穫前日まで使える適用が多く、希釈倍率は2000倍(作物・害虫により2000〜3000倍)が基本。
この記事では、ラベルに基づく適用作物・対象害虫・希釈倍率・使用回数を整理し、散布タイミング・ローテーション設計・よくある失敗対策まで、現場でそのまま使える手順で解説します。
こんな方におすすめ
イチゴ・ナス・キュウリでヨトウムシ/オオタバコガ/ハモグリバエ/アザミウマに悩んでいる
グレーシア乳剤の希釈倍率(2000倍)や収穫前日まで使えるかを確認したい
作用機構(IRAC 30)やローテーション、混用可否の考え方を知りたい
1. 商品概要
分類 | 選択性殺虫剤/IRACコード30 |
|---|---|
有効成分 | フルキサメタミド 10%(乳剤) |
包装 | 100mL/250mL/500mL/5L |
主な対象害虫 | チョウ目害虫(ヨトウムシ類・ハスモンヨトウ・オオタバコガ・ウワバ類・シロイチモジヨトウ・ハイマダラノメイガ 等)、アザミウマ類、ハモグリバエ類、コナジラミ類、ハダニ類 |
使用場面 | 発生初期〜幼虫若齢期。収穫前日まで使える作物が多い(作物別適用を参照)。 |
提供形態 | 乳剤(希釈散布)。無人航空機適用がある作物もあり。 |
注意:
必ず最新の登録ラベルを確認し、本剤の使用回数/有効成分(フルキサメタミド)の総使用回数を守ってください。
2. 特長・メリット
2‑1. 速効+持続(約2週間の加害抑制)
散布後すばやく摂食停止〜致死に至らせ、収穫直前の被害の出方を抑制。約2週間の加害抑制を確認。
2‑2. 葉裏まで効く「浸達性」+耐雨性
葉表散布でも葉裏の害虫に効果。降雨後も効力が低下しにくい性質。
2-3. 高温・低温でも安定/抵抗性個体群にも有効
15℃〜35℃で効力の変動が小さい試験結果。既存剤に抵抗性のアザミウマ類やコナガにも高い活性。
2-4. 使い勝手(ミツバチ・マルハナバチ翌日導入可)
受粉用ハチの翌日導入が可能(導入当日の散布は避ける運用が無難)。
ポイント:
IRAC 30である点を活かし、5(スピノイド)/6(アバメクチン系)/28(ジアミド)など作用機構の異なる剤と週替わりローテーションに組み込みやすい。
3. 導入事例・実証データ
温度と効力:
キャベツ葉片処理・ハスモンヨトウ試験で、15℃/25℃/35℃の3条件でも効果の変動が小さいことを確認。
アザミウマ類個体群:
国内各地のミナミキイロアザミウマ/ミカンキイロアザミウマ成虫に対し、2000倍散布で高い死虫率(処理3日後)。
持続性:
約2週間の加害抑制性をメーカーが提示。
4. 使い方・適切な散布/設置手順
作物別の基本(抜粋)
作物 | 対象害虫 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用時期 | 使用回数 |
|---|---|---|---|---|---|
イチゴ | アザミウマ類、ハスモンヨトウ、オオタバコガ、ハダニ類 ※地域資料でアブラムシ類の適用掲載あり | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 本剤2回以内(フルキサメタミド総使用2回以内) |
ナス | ハスモンヨトウ、オオタバコガ、ハモグリバエ類、アザミウマ類、コナジラミ類、ハダニ類 | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 本剤2回以内(総使用2回以内) |
キュウリ | アザミウマ類、ハスモンヨトウ、ウリノメイガ、ハダニ類、コナジラミ類、ハモグリバエ類 | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 本剤2回以内(総使用2回以内) |
散布のコツ(共通)
発生初期/若齢幼虫期をねらう(遅れると残渣・穿入によりムラ)。
展着剤の要否はラベルまたは地域慣行に従う。
葉裏まで届くように、到達性の高いノズル・圧で均一付着。
ローテーション:IRAC 30連用は避け、5/6/28/10Aなどと週替わりに。
受粉昆虫は散布当日は隔離し、翌日から再導入。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
|---|---|---|
ゼンターリ顆粒水和剤 | 若齢ヨトウ対策/ローテーション | 発生初期に交互散布 |
プレバソン®フロアブル5 | オオタバコガ・ハスモンヨトウの輪番 | 世代交代ごとにローテ |
ホリバー(イエロー/ブルー) | アザミウマ・コナジラミのモニタリング・捕獲 | 通年設置+更新 |
Tip:生物農薬や天敵を併用する場合は、薬害・影響情報(メーカー資料/地域指導)を必ず確認。
6. FAQ
Q1:イチゴに使えますか?希釈倍率と収穫前日数は?
A:はい。2000倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤2回以内(フルキサメタミド総使用2回以内)が目安です(最新ラベルでご確認ください)。
Q2:ナスのハモグリバエ類にも効きますか?
A:適用があります。2000倍、収穫前日まで、本剤2回以内です。穿入前の発生初期散布がコツ。
Q3:キュウリのヨトウムシやオオタバコガにも?
A:適用があります。2000倍、収穫前日まで、本剤2回以内。若齢幼虫期に均一付着を。
Q4:ミツバチやマルハナバチへの影響は?
A:翌日導入が可能とされています(散布当日は隔離運用を推奨)。
Q5:ローテーションはどう組む?
A:IRAC 30の連用は避け、IRAC 5/6/28/10Aなど異なる作用機構と交互に。多発時は7〜10日間隔でプログラムを。
7. まとめ
グレーシア乳剤は、速効性+約2週間の持続、葉裏まで届く浸達性、耐雨性、温度変動に強い安定性を兼ね備えたIRAC 30の選択性殺虫剤。
イチゴ・ナス・キュウリのヨトウムシ/オオタバコガ/ハモグリバエ対策に、発生初期2000倍を基本にローテーション設計で。
最新ラベルを確認のうえ、最適な防除プログラムに組み込みましょう。












