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トランスフォームフロアブルはどうやって使う?─アブラムシ、コナジラミ、サビダニを防除するトランスフォームフロアブルの使い方を徹底解説!

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吸汁性害虫(アブラムシ類・コナジラミ類)やトマトサビダニの“早期拡大”に悩む方向けに、トランスフォームフロアブル(有効成分:スルホキサフロル/IRAC 4C)の実務的な使い方をまとめました。

浸透移行性と浸達性により新葉まで効き、発生初期から素早く密度を下げられるのが特長。多くの作物で「収穫前日まで」「2〜3回以内」と使い勝手が良く(作物・対象により異なる)、アブラムシ類・コナジラミ類・トマトサビダニに適用があります。

この記事では希釈倍率・使用時期・散布量・総使用回数・ミツバチ注意点・ローテーション設計まで、ラベルに基づいて要点を整理。


こんな方におすすめ

  • 施設トマトのコナジラミ・トマトサビダニ、露地・施設野菜のアブラムシ類に悩んでいる

  • トランスフォームフロアブルの適用・希釈倍率・使用回数を一目で確認したい

  • 収穫前安全日数(PHI)や混用・ミツバチ対策など実務の注意点を知りたい


1. 商品概要

分類

選択性殺虫剤(スルホキシイミン系)/IRACグループ4C

対象害虫

アブラムシ類、コナジラミ類、(作物により)トマトサビダニ、カイガラムシ類

使用場面

発生初期〜増殖前(多くの作物で収穫前日まで使用可)

提供形態

ボトル(250mL)、5L 等

登録情報

農林水産省登録 第24016号/有効成分スルホキサフロル9.5%/剤型:水和剤(フロアブル)

2. 特長・メリット

2‑1. 吸汁性害虫に卓効+新葉まで届く

  • 浸透移行性・浸達性により、新葉にも有効成分が移行。展葉後の部位にも一定期間効果を発揮。


2‑2. 速効性と残効性のバランス

  • 散布後速やかに活性低下(ノックダウン)が見られ、残効も期待できるため立ち上がりと持続の両立。


2‑3. 抵抗性管理に組み込みやすい

  • IRAC 4Cの独自作用機作。他系統薬剤(4Aなど)とのローテーションで抵抗性リスク低減。

他資材との比較ポイント
  • 4A(ネオニコ)作用点が異なる4C。コナジラミ・アブラムシ対策の系統ローテーション要員として有用。

  • ミツバチ等への注意喚起が明確(受粉昆虫がいる環境では散布を避けるなど)。

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3. 導入例(主要作物のモデルケース)

作物

導入規模

導入目的

主な結果

トマト・ ミニトマト

30a 施設

コナジラミ初期密度抑制/トマトサビダニ初期対応

1000〜2000倍で発生初期に散布し、密度上昇前に抑制。黄色粘着板・天敵と併用で被害進展を抑えられた。

きゅうり

20a 施設

アブラムシの新葉加害抑制

2000倍散布+葉裏到達の徹底で、新葉の巻き・生育停滞を回避。

なす

25a 施設

斑点的発生の封じ込め

発生初期散布で被害株拡大を抑制。IRAC系統ローテーションで抵抗性リスクを低減。

ピーマン

15a 施設

甘露・すす汚れ対策

2000倍散布により収穫果の外観低下を回避。収穫前日まで使用でき運用しやすい。

いちご

10a 高設

アブラムシ・コナジラミ密度管理と収穫期の柔軟運用

1000〜2000倍散布でハウス内の密度管理が容易に。PHI:収穫前日までのため収穫調整と両立。

ばれいしょ

50a 露地

アブラムシによるウイルス媒介リスク低減

2000倍を生育初期に実施し、媒介リスク管理に寄与(収穫7日前まで)。

かんきつ

1.0ha 園地

春〜初夏の新梢保護(アブラムシ/カイガラムシ併発園)

1000〜2000倍。展葉期の新芽保護に寄与。十分な到達性確保で効果安定。

りんご

80a 園地

春季のアブラムシ多発対策

2000〜4000倍で初期密度を抑え、後期の追散布を軽減。

4. 使い方・適切な散布/設置手順

  1. 発生初期に決断

    成葉裏や新芽の群生・甘露・すすの発生/白化(サビダニ)を見たら、初期密度のうちに散布


  2. 希釈と散布量

    上表の希釈倍率で調製。野菜は100〜300L/10a、果樹は200〜700L/10aを目安に、葉裏までていねいに到達させる。


  3. ローテーション

    IRAC 4C4Aや9B等連用を避けたローテーションで抵抗性管理。反復散布はラベル内回数まで


  4. ミツバチ等への配慮

    受粉昆虫(ミツバチ・マルハナバチ)放飼中の施設や果樹園では使用を避ける。巣箱・周辺に飛散させない。


  5. 混用・適期

    石灰硫黄合剤などとの物理化学的相性は事前小試験を。高温乾燥下は薬害・効果変動に留意。



適用表の要点(主要作物の抜粋)

作物

対象害虫

希釈倍率

散布液量

使用時期(PHI)

本剤の 使用回数

総使用回数※

トマト・ミニトマト

アブラムシ類

2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

2回以内


コナジラミ類/トマトサビダニ

1000〜2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

2回以内

きゅうり

アブラムシ類

2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

2回以内


コナジラミ類

1000〜2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

2回以内

なす

アブラムシ類

2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

2回以内

ピーマン

アブラムシ類

2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

2回以内

いちご

アブラムシ類

2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

3回以内


コナジラミ類

1000〜2000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

3回以内

ばれいしょ

アブラムシ類

2000倍

100〜300L/10a

収穫7日前まで

3回以内

3回以内

かんきつ

アブラムシ類

2000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

3回以内


カイガラムシ類/アザミウマ類

1000〜2000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

3回以内

りんご

アブラムシ類

2000〜4000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

3回以内

※「総使用回数」はスルホキサフロルを含む農薬の総使用回数。

Tip

サビダニは新芽・若葉の白化/カールがサイン。低薬量・初動の徹底と、葉裏到達性が成否を分けます


5. 関連資材との相乗効果

資材/薬剤

目的

使い分け/タイミング

ホリバーイエロー

成虫モニタリング・密度低減

コナジラミ成虫の誘殺と発生初期把握に常時設置

スワルスキー / スワマイト

IPM構築

コナジラミ・アザミウマ対策の生物的防除。化学農薬の散布間隔を空けて保全

モスピラン顆粒水溶剤(4A)/ チェス顆粒水溶剤(9B)

作用機作ローテーション

アブラムシ・コナジラミの系統ローテ用(連用回避)。作物登録・使用時期を遵守

ダニトロンフロアブル(21A)

サビダニのバックアップ

サビダニ多発時の系統切替に(作物登録・使用時期を要確認


6. FAQ

Q1:サビダニにも効きますか?

A: トマト(含むミニトマト)のトマトサビダニに適用があり、1000〜2000倍/収穫前日まで/2回以内が基本です。上表と最新ラベルで確認してください。

Q2:ミツバチやマルハナバチを使うハウスでの注意点は?

A: 受粉昆虫放飼中の施設・果樹園では使用を避けるなど、ミツバチへの注意事項が明記されています。作業前に巣箱の撤去・覆い・停止等を検討。

Q3:混用はできますか?

A: 一律には言えません。物理化学的混用は事前小試験を。拮抗の恐れがある場合は単用散布を基本にし、到達性を高めます。

Q4:何回まで使えますか?

A: 本剤の使用回数は作物・対象で2〜3回以内。さらにスルホキサフロルを含む農薬の総使用回数にも制限があります。

7. まとめ


トランスフォームフロアブルは、アブラムシ・コナジラミ・(トマトの)サビダニ対策で発生初期から密度を一気に下げやすい4C系殺虫剤です。

希釈倍率・散布量・回数・PHI(収穫前日まで等)を守り、ミツバチ配慮とローテーションを徹底すれば、IPMの中核として実装しやすい資材です。


最新ラベル確認の上で計画的に導入しましょう。

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