ストロビーフロアブルはどうやって使う?─ナス、キュウリ、ピーマンのうどんこ病やすすかび病、黒枯病などを防除するストロビーフロアブルの使い方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 8月26日
- 読了時間: 5分

温室や露地で避けて通れないうどんこ病・べと病・褐斑病・炭疽病・すすかび病・黒枯病。
発病が進むと収量・見た目が一気に落ちます。
ストロビーフロアブル(有効成分:クレソキシムメチル/FRACコード11〔ストロビルリン系〕)は、胞子形成を強く抑える予防主体の殺菌剤で、ナス・キュウリ・ピーマンで3000倍の収穫前日まで使用、本剤3回以内(成分総使用3回以内)の登録があります。
特にうどんこ病に強く、キュウリではべと病・褐斑病・炭疽病にも適用。適期にローテーション散布すれば、病害の蔓延を効果的にブロックできます。
本記事では希釈倍率・使用時期・対象病害・散布のコツ・注意点(展着剤や耐性管理)まで、現場で迷わないレベルで整理します。
こんな方におすすめ
ナス・キュウリ・ピーマンのうどんこ病/べと病/黒枯病/すすかび病に悩んでいる
希釈倍率3000倍・使用時期・回数など具体情報を確認したい
FRAC 11の薬剤を安全にローテーション散布へ組み込みたい
1. 商品概要
分類 | 選択性殺菌剤/ストロビルリン系(FRAC 11) |
---|---|
有効成分 | クレソキシムメチル 44.2%(PRTR第1種) |
剤型・性状 | フロアブル剤(類白色水和性粘稠懸濁液体) |
主な対象病害 | うどんこ病/(キュウリ)べと病・褐斑病・炭疽病/(ナス)すすかび病/(ピーマン)黒枯病 |
使用場面 | 予防散布~発病初期(病斑拡大前のタイミングが要) |
登録・使用限度 | 収穫前日まで/本剤3回以内/成分総使用3回以内(※作物により一部例外あり) |
2. ストロビーフロアブルの特長・メリット
2‑1. 予防効果が高い(胞子形成を強く阻害)
発病前~初期の散布で蔓延をブロック。うどんこ病・べと病など、飛散で一気に広がる病害に要。
2‑2. 野菜での適用が広い
キュウリではうどんこ病/べと病/褐斑病/炭疽病、ナスはうどんこ病/すすかび病、ピーマンはうどんこ病/黒枯病に登録。
2‑3. ローテーションの軸にしやすい
FRAC 11は予防剤の代表格。FRACの異なる剤(例:FRAC21、7、M02など)と体系防除を組めます。
ポイント
耐性管理FRAC 11は連用・総回数超過が耐性選抜の近道。作期内で本剤(成分)3回以内を厳守し、必ず他系統(FRACコードが違う薬剤)と交互に使いましょう。
3. ストロビーフロアブルの導入例
作物名/作型 | 投入目的 | 投入量・時期 | 結果・所感 |
---|---|---|---|
促成キュウリ(ハウス) | うどんこ病・べと病の予防 | 3000倍、生育初期~開花前に7~10日程度間隔で予防散布(気象・発病リスクで調整) | 病斑拡大を抑制し、健全葉率を維持。後半はFRAC21など他系統へ交替。 |
半促成ナス(ハウス) | うどんこ病・すすかび病の予防 | 3000倍、株元~下葉の葉裏まで丁寧に。発病初期にスポット散布→全面 | 乾きムラを減らすと安定。展着剤は強い浸達型を避ける。 |
ピーマン(露地) | うどんこ病・黒枯病の初期対応 | 3000倍、発病初期に丁寧な全面散布(100–300L/10a) | 初動で被害拡大を抑制。以降はFRAC違いへ切替えて耐性対策。 |
※上表は使い分けの一例です。地域慣行・病勢・被覆・散布機種で最適条件は変わります。
4. ストロビーフロアブルの使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
水和計量カップ、撹拌機能付タンク、ノズル(中~細霧)、保護具。
希釈倍率:
基本は3000倍。作物・病害別の登録は下表を参照。
タイミング:
予防散布~発病初期。連用せず他FRACと交互に。
手順:
タンクに所定量の水→本剤→(必要時)弱い付着型の展着剤→所定量まで加水。撹拌しながら調製。葉裏・下葉・株間にも均一に、100~300L/10aを目安に散布。
注意点:
浸達性を高めるタイプの展着剤等との混用は薬害の恐れ。高温・乾燥・強日射直前の散布や濃度超過、薬液のかけ過ぎ・溜まりに注意。本剤3回以内/成分総使用3回以内を守る。
ストロビーフロアブルの作物別適用表(2024年11月27日 ラベル準拠, 作物抜粋)
作物名 | 適用病害名 | 希釈倍数(散布) | 使用液量 | 使用時期 | 本剤使用回数(内訳) | 成分総使用回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
キュウリ | うどんこ病/べと病/褐斑病/炭疽病 | 3000倍 | 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 3回以内 |
ナス | うどんこ病/すすかび病 | 3000倍 | 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 3回以内 |
ピーマン | うどんこ病/黒枯病 | 3000倍 | 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 3回以内 |
出典:メーカー公開ラベル/農薬登録情報。作物・病害・作型・地域版ラベルで細部が異なる場合があります。最新ラベルを必ずご確認ください。
5. ストロビーフロアブルの関連資材との相乗効果
具体的な商品/資材名 | 目的 | 使用タイミング |
---|---|---|
ランマンフロアブル(シアゾファミド/FRAC21) | べと病のローテーション先(FRAC違い) | 初期~多発条件で交互散布 |
カンタスドライフロアブル(ボスカリド/FRAC7) | 灰色かび病・菌核病対策を別系統で補強 | 開花~結実期の発病リスク期 |
アリエッティC水和剤(ホセチル+キャプタン) | 卵菌類病害対策の別作用性 | 気温・湿度上昇期の予防散布 |
イオウフロアブル(硫黄/FRAC M02) | うどんこ病の保護剤で耐性対策 | 作期中に要所で差し替え |
注意:混用・体系は各剤の最新ラベルで必ず確認。同一FRAC(11)同士の連用は避ける。
6. FAQ
Q1:治療効果はありますか?
A:予防主体です。発病初期までの抑制は期待できますが、病斑進展後は除去+他系統の併用を。
Q2:収穫直前でも使えますか?
A:キュウリ・ナス・ピーマンはいずれも収穫前日まで登録があります(本剤3回以内)。
Q3:展着剤は必要?
A:基本不要。使う場合は付着性重視のマイルドタイプを。浸達性を高める展着剤は薬害リスクがあるため避けます。
Q4:天敵・有用生物への影響は?
A:作物や散布条件で差が出ます。天敵放飼は薬液乾燥後を基本に、影響一覧やSDSを確認してください。
7. まとめ
ストロビーフロアブルは、うどんこ病を中心に野菜の主要病害を予防主体で抑えるFRAC11の柱。
3000倍/収穫前日まで/本剤3回以内というシンプルな登録で、ローテーション散布に組み込みやすいのが強みです。
最新ラベルを確認しつつ、FRAC違いの剤と組み合わせて、作期を通じて健全葉率をキープしましょう。