カリグリーンはどうやって使う? ─イチゴ、ナスに付くうどんこ病を防除するカリグリーンの使い方を徹底解説!
- hinatamagawa5j
- 7月3日
- 読了時間: 4分
更新日:7月11日

温室イチゴや露地ナスを育てていると、いつのまにか葉や果柄に白い粉状の病斑──うどんこ病──が現れ、光合成低下や果実品質の悪化で収量が2~3割落ちてしまうことがあります。
発病初期に素早く防除できるかどうかが収益を左右します。本記事では、炭酸水素カリウム80 %水溶剤『カリグリーン』を使ったうどんこ病対策を徹底解説。
JAS有機栽培にも使え、収穫前日まで散布できる安心感と即効性を両立した資材の特長から実証データ、失敗しない散布手順までをまとめました。
こんな方におすすめ
イチゴやナスのうどんこ病に毎年悩んでいる
カリグリーンの希釈倍率・使用回数・散布間隔を具体的に知りたい
有機JAS対応・天敵影響が少ない薬剤でローリスクに防除したい
1. 商品概要
分類 | 選択性農薬 |
---|---|
有効成分 | 炭酸水素カリウム 80 % |
主な対象病害 | うどんこ病・灰色かび病・さび病 |
登録作物 | 野菜類(イチゴ・ナス含む)ほか果樹・花き |
提供形態 | 250 g/500 g袋 水溶性粉末 |
2. 特長・メリット
2‑1. 発病後でも効く速効性・治療効果
炭酸水素カリウムが菌糸の細胞膜を浸透圧で破壊し、白化した病斑を縮退させる治療効果が確認されています。発病初期に800倍で散布すると罹病葉率を80 %→12 %に抑制した事例もあります。
2‑2. 有機JAS対応・収穫前日まで使用可
食品にも使われる重炭酸カリなので残留基準・使用回数制限なし。JAS有機附属書B資材に掲載されており、有機・減農薬出荷でも安心です。
2‑3. 天敵・ミツバチにほぼ影響なし
薬害性が低く、チリカブリダニやクモ、受粉用ミツバチへの影響は最小限。IPM体系下でもローテーションしやすいのが魅力です。
ポイントBOX:他薬剤との定量比較
項目 | カリグリーン | サプロール乳剤 |
---|---|---|
有効成分 | 炭酸水素カリウム | トリフルミゾール |
希釈倍率 | 800‑1,000倍 | 1,000‑2,000倍 |
収穫前日使用 | 可 | 可 |
有機JAS適合 | ○ | × |
天敵影響 | 少 | 中 |
3. 導入事例・実証データ
作物 & 地域 | 導入規模 | 導入目的 | 効果 |
イチゴ(佐賀県) | ハウス栽培35a | 発病初期のうどんこ病治療 | 800倍×3回で罹病葉率87→13%、秀品率93%維持 |
ナス(高知県) | 露地栽培20a・秋作 | 収穫期のうどんこ病抑制 | 1,000倍×3回で発病葉率45→8%、収量1.2t→1.35t/10aに改善 |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:カリグリーン、展着剤(非イオン性)、動力噴霧機、pH7程度の水。
希釈倍率:標準800倍。病勢が強い場合でもそれ以上濃くしない──過剰濃度は薬害の可能性。
タイミング:
イチゴ:花芽分化後〜発病初期、収穫前日までOK。
ナス:開花期〜収穫期、発病初期に5~7日間隔×3回が目安、収穫前日までOK。
手順ステップ:
(1)水槽に水を半量入れ、展着剤→カリグリーンを計量投入。
(2)攪拌しながら残水を注ぎ、pH確認(6.5‑7.5)。
(3)噴霧は作物全面に滴下寸前まで十分量(100–300 L/10a)。
注意点:
強酸性液・硫黄剤との混用NG。
散布液は当日使い切り、ノズル・ストレーナーは毎回洗浄。
Tip:
散布後24時間は潅水を控え葉面乾燥を保つと効果持続
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
---|---|---|
アミスター20フロアブル | 作用点の異なるQoI剤で耐性菌抑制 | カリグリーンと7日ずらしローテーション |
ボタニガードES(ボーベリア菌) | 生物農薬で病害虫同時低減 | うどんこ発生前 |
硫黄微粒剤(サルファーゾル) | 低コスト予防 | 発病前〜生育初期、カリグリーンとは混用不可 |
スポットクーラーファン | 湿度管理で発生源カット | 高湿度温室用 |
ダイン | 付着・浸達性アップ | 毎回加用(0.05 %) |
6. FAQ
Q1:展着剤は必ず必要?
A:カリグリーンは水溶剤ですが、うどんこ病菌は葉面上に発生するため展着剤0.05 %を加用すると被覆性が上がり効果が安定します。
Q2:天敵温存防除で使っても大丈夫?
A:チリカブリダニやクモ類への影響は報告されていません。IPM体系でもローテーション可能です。
Q3:多発生してから散布しても効く?
A:病勢抑制は可能ですが、菌糸密度が高いと効果が落ちます。80 %被覆以前に散布し、必要なら5日後に再散布してください。
7. まとめ
カリグリーンは、800~1,000倍の希釈倍率で発病初期に使用することで、うどんこ病の治療と予防が可能です。有機JAS対応資材として収穫前日まで使用できる安心感があり、IPM体系にも適しています。展着剤との併用で効果が安定し、天敵やミツバチへの影響も少ないため、環境に配慮した防除が可能です。購入はオンラインショップ等で価格を確認のうえご検討ください。