ピラニカEWはどうやって使う?─イチゴやナスのハダニを防除するピラニカEWの使い方を徹底解説!
- 秋介 永田
- 8月27日
- 読了時間: 5分
更新日:9月1日

イチゴやナスで増えがちなハダニ類(ナミハダニ・カンザワハダニ等)は、高温・乾燥条件で一気に増殖し、光合成阻害や着色不良、収量減を招きます。
ピラニカEW(有効成分:テブフェンピラド10%)は、卵〜成虫まで幅広いステージに速効的に効く殺ダニ剤です。
EW製剤のため作物表面の汚れが少なく、茶や花き類、観葉植物など外観を重視する作目にも使いやすいのが特長です。イチゴではハダニ類に2回以内、ナスではハダニ類・チャノホコリダニに1回の登録があり、収穫前日まで使えるため収穫期の発生にも対処しやすい剤です。
本記事では、適用作物別の希釈倍率、使用時期、散布量、抵抗性対策(ローテーション)まで、現場で迷わない使い方を解説します。
こんな方におすすめ
イチゴ・ナスのハダニ被害に悩んでいる
ピラニカEWの実際の効果や使い方を確認したい
適切な希釈倍率・散布量・使用時期を知りたい
1. 商品概要
項目 | 内容 |
---|---|
分類 | 選択性殺ダニ剤(IRAC 21A:METI) |
有効成分 | テブフェンピラド 10.0% |
使用場面 | 高温・乾燥期の増殖期、収穫期の発生時、初発〜多発前の立ち上がり |
提供形態 | 500mlボトル等 |
2. ピラニカEWの特長・メリット
2‑1. 卵〜成虫まで効く速効性・広いステージ効果
・全ステージで高い殺ダニ効果、速効性で増殖を抑制。
2‑2. 収穫前日まで使える実用性(イチゴ・ナス)
・イチゴは2回以内、ナスは1回の登録。収穫前日まで使用可能で収穫期の発生にも対応しやすい。
2‑3. EW製剤で作物体の汚れが少ない
・有効成分をEW化した汚れが少ない処方。外観品質を重視する施設園芸で使いやすい。
ポイント
同じ殺虫剤でも作用機構(IRACコード)が異なる。ピラニカEW(21A)は、20B(アセキノシル)、20D(ビフェナゼート)、10B(エトキサゾール)、6(アバメクチン)等とローテーションして抵抗性発達を抑えるのが基本
3. ピラニカEWの導入例
作物 / 作型 | 導入目的 | 投入量/時期 | 結果 |
---|---|---|---|
イチゴ/施設 | 収穫期に増えたハダニ類の密度抑制 | 2000〜3000倍、150〜300L/10a。着果期〜収穫期に初発確認後に散布。 | 散布3〜5日で被害葉の進展停止、若齢虫中心に密度低下。 |
ナス/施設 | 生育初期の発生立ち上がり抑制 | ハダニ類:2000〜3000倍、チャノホコリダニ:2000倍。150〜300L/10a。初発期に散布。 | 新梢・若葉の褐変進行が止まり、新葉の健全化を確認。以後は別IRAC剤とローテで維持。 |
4. ピラニカEWの使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
ピラニカEW、計量カップ、噴霧機、水、防護具(手袋・マスク・保護めがね等)
希釈倍率:
・イチゴ ハダニ類:2000〜3000倍
・ナス ハダニ類:2000〜3000倍/チャノホコリダニ:2000倍
使用液量:
150〜300L/10a(作物・草高・被覆率に応じて調整)
タイミング:
初発〜増殖前に、葉裏まで十分な付着を確保。収穫前日まで可(イチゴは年2回以内、ナスは1回)。
手順ステップ:
所定量の清水に本剤をよく攪拌しながら希釈→タンク内均一化→葉裏に届くようノズル角度と圧を調整→むら無く散布。
注意点:
同一ハウスでの連用は避け、IRACの異なる剤と必ずローテーション。天敵利用時は影響評価に留意し、導入や放飼タイミングを調整。ハチ類は直接散布を避ける。
Tip:ハダニは葉裏に多い傾向。展葉直後の若葉を重点に、風上→風下へ、上下段を分けて被覆率を上げると効果が安定します。
ピラニカEW 作物別適用表(作物抜粋)
作物 | 対象害虫 | 使い方 |
---|---|---|
イチゴ | ハダニ類 | 2000~3000倍、150~300L/10a、収穫前日まで、1回以内 |
ナス | ハダニ類、チャノホコリダニ | ハダニ類:2000~3000倍、2回以内 チャノホコリダニ:2000倍、1回以内 どちらも収穫前日まで、150~300L/10a |
花き類・観葉植物 (カーネーション・キクを除く) | ハダニ類 | 2000倍、150~300L/10a、発生初期、1回以内 |
カーネーション・キク | ハダニ類 | 1000~2000倍、150~300L/10a、発生初期、1回以内 |
5. 関連資材との相乗効果
資材名 | 目的 | 使用タイミング |
---|---|---|
マイトコーネフロアブル | ローテーション散布 | ハダニ発生初期~増殖期 |
ニッソラン水和剤 | ローテーショ散布 | ハダニ発生初期~増殖期 ※成虫に対する効果△ |
ミヤコトップ (ミヤコカブリダニ剤) | 天敵によるハダニ防除 | ハダニの発生場所に重点的に放飼、多発生時は薬剤でハダニを減らしてから放飼 ※ピラ二カEWを散布してから2週間は放飼しない |
6. FAQ
Q1:収穫直前でも使えますか?
A:イチゴ・ナスとも収穫前日まで使用できます(ラベル準拠)。ただし使用回数上限(イチゴ2回、ナス1回)と希釈倍率を厳守してください。
Q2:天敵(カブリダニ)と併用できますか?
A:一部天敵に影響が出る場合があります。散布直後の放飼は避け、IPM計画内で別系統薬剤とのローテーションや導入タイミングの調整を推奨します。
Q3:抵抗性対策はどうすれば良いですか?
A:同系統(21A)の連用は避け、20B・20D・10B・6など作用機構の異なる剤とローテーション散布。年内の使用回数も守り、発生初期の適期防除を心がけてください。
7. まとめ
ピラニカEWは、イチゴ・ナスで問題となるハダニ類に対して速効&幅広いステージ効果を示し、収穫前日まで使える実用性が魅力です。EW製剤で汚れが少ないため、外観品質を重視する観葉植物等にも好適です。
一方、抵抗性対策(IRACローテーション)と散布の仕方(葉裏まで)が効果を最大化する鍵となります。本記事を参考にし、ハダニ類による被害を抑えていきましょう。