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ダニサラバフロアブルはどうやって使う? ─イチゴやナス、キュウリ、ピーマン、メロンのハダニを防除するダニサラバフロアブルの使い方を徹底解説!

更新日:7月4日


ナスの葉 ハダニの症状
ナスの葉 ハダニの症状

ハダニ(ナミハダニ・カンザワハダニ)は夏期の施設栽培で急増し、葉のかすれ傷やそれに伴う光合成阻害により収量低下を招きます。「薬剤抵抗性が進んでいて何を散布しても効かない」――そんな声に応えるのがダニサラバフロアブル(有効成分:シフルメトフェン 20%、IRAC 25A)。卵から成虫まで全ステージに効き、収穫前日まで使えるため、イチゴ・ナス・キュウリなど長期収穫作物の“最後の切り札”として全国の試験で高評価を獲得しています。本記事では、具体的な使い方から抵抗性管理までを徹底解説します。



1. 商品概要


分類

選択性殺ダニ剤

主な対象害虫

ハダニ類(ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニなど)

使用場面

発生初期〜収穫前日

提供形態

500 mLボトル(フロアブル水和剤)

農薬登録番号

第22034号

IRACコード

25A(エネルギー代謝阻害)


2. 特長・メリット


2‑1. 抵抗性ハダニにも効く新規骨格


シフルメトフェンは従来の殺ダニ剤と作用点が異なるβ-ケトニトリル系。既にビフェナゼート(マイトコーネ)に対し抵抗性が確認された圃場でも90%以上の密度抑制を示した事例あり。


2‑2. 卵〜成虫まで全ステージ制圧


特に幼虫に高感受性を示し、散布3日後に幼虫致死率95%以上。卵・成虫にも70–85%の効果を確認。


2‑3. 天敵・ミツバチへの影響が小さい


カブリダニ、ミツバチ、マメコバチなどの有用生物への影響が少なく、IPMに適合


ポイントBOX:他の殺ダニ剤との比較

薬剤

IRAC分類

卵致死率

幼虫致死率

ミツバチ影響

使用回数上限

ダニサラバF

25A

80%

95%

2回

マイトコーネF

20D

60%

85%

1回(イチゴは2回)

コロマイト乳剤

6

92%

70%

2回


3. 導入事例・実証データ


地域・規模

作物・栽培方式

散布量・時期

主な結果

福岡県・0.3 ha

イチゴ・高設ベンチ

1000倍 200L/10a(発生初期)

ハダニ密度1.8→0.2頭/葉 葉色回復、糖度UP

愛知県・0.2 ha

キュウリ・土耕

1000倍 150L/10a(×2回)(発生初期とその14日後)

被害葉率 20%→4%、追加農薬散布回数 50%削減

熊本県・0.5 ha

ナス・高設ベンチ

1000倍 250L/10a(ハダニの二次発生時)

9日後ハダニ密度 90%減、商品果率94%


4. 使い方・適切な散布/設置手順


  1. 準備物:ダニサラバフロアブル、水、計量カップ、動力噴霧器、保護具(手袋・マスク)。

  2. 希釈倍率:1000倍(一部作物で1000~2000倍、しそ科葉菜類は2000倍)。

  3. タイミング:ハダニ密度0.5頭/葉程度の発生初期。必要なら7–10日間隔で計2回まで。

  4. 手順ステップ

    a. 原液を少量の水で攪拌し原液希釈液を作る。

    b. タンク全量の水に投入し再攪拌。

    c. ノズルを上向き45°で葉裏に重点的に散布。

  5. 注意点:ボルドー液との混用不可。30 ℃以上の高温時は夕方散布で蒸散を抑制。


Tip

本剤はアルカリ性のフロアブルです。酸性資材との混用は有効成分の分解や薬害につながる恐れがあるため避けてください。必要に応じて非イオン性展着剤を加えると葉裏付着率が向上し、薬効が安定します。



5. 関連資材との相乗効果


資材

目的

使用タイミング

ミヤコトップ(ミヤコカブリダニ製剤)

天敵導入・ハダニ多発生防止

ダニサラバ散布7日後

チリトップ(チリカブリダニ製剤)

天敵導入・ハダニ多発生防止

ダニサラバ散布7日後

コロマイト水和剤

ローテーション散布

発生初期~収穫前日まで

サフオイル乳剤

ローテーション散布※抵抗性が発達した場合も有効

発生初期~収穫前日まで


6. FAQ


Q1:収穫直前に散布しても残留は大丈夫?


A:登録上「収穫前日まで使用可」。ただし出荷前の洗浄や出荷団体の基準を確認してください。

Q2:カブリダニを放した圃場で使えますか?


A:急性影響が小さいため散布後3–5日で天敵活動が回復する報告があり、IPMで併用可能です。

Q3:同じハウスで3回以上散布してもいい?


A:使用基準は最大2回/作。抵抗性回避のため作用機序の異なる農薬とローテーションしてください。


7. まとめ


ダニサラバフロアブルは発生初期に1回散布というシンプルな運用で、抵抗性ハダニも含めて確実に密度を抑えます。天敵やミツバチにも優しいため、IPMとの親和性が高い薬剤です。従来の薬剤とは作用機序が異なるため、抵抗性ハダニに対抗する切り札として機能します。注意する点としては、ダニサラバを連続散布してしまうと抵抗性が発達する可能性があります。作用機序の異なる殺ダニ剤とのローテーション散布を行い、抵抗性の発達を抑え、安定収量を目指しましょう。



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