コロマイトはどうやって使う? ─イチゴに付くハダニやシクラメンホコリダニを防除するコロマイト水和剤の使い方を徹底解説!
- 秋介 永田
- 6月17日
- 読了時間: 4分
更新日:7月4日

イチゴのハウス栽培で避けて通れないのがハダニ類(ナミハダニ・カンザワハダニなど)やシクラメンホコリダニによる葉の黄化・奇形果・収量低下です。その被害は一気に拡大してしまうため、早めの対策が欠かせません。そんな時に強い武器となるのがミルベメクチンを有効成分とする殺ダニ剤「コロマイト水和剤」です。有機JAS圃場での使用実績も多く、卵から成虫まで一貫して効く即効性が特長。この記事ではコロマイトの効果や希釈倍率、散布タイミング、薬剤ローテーション散布まで具体的に解説します。
こんな方におすすめ
イチゴのハダニ・シクラメンホコリダニの発生に悩んでいる農家さん
コロマイト水和剤の導入効果や他剤との違いを知りたい方
希釈倍率・散布時期・使用回数など具体的な使い方を確認したい方
1. 商品概要
分類 | 殺虫剤(有効成分のミルベメクチンは微生物由来の天然物) |
|---|---|
主な対象害虫 | ハダニ類・シクラメンホコリダニ(※チャノホコリダニはかんきつで登録) |
使用場面 | 発生初期~収穫前日まで |
提供形態 | 100 g,500 g アルミパック |
2. 特長・メリット
2‑1. 卵~成虫まで全ステージに効く即効・残効性
試験結果では散布24 時間後に95 %の致死率、14 日後も80 %以上の抑制率を維持(500L/ha、2000倍希釈)
2‑2. 有機JAS圃場での使用可能
微生物由来の天然物が有効成分なので、有機JAS適合資材リスト掲載。
2‑3. 即効性に優れており、ハダニ類の卵~成虫まで効果あり
METI系とは異なる作用点(神経伝達阻害)で抵抗性個体にも有効。
IRACコードは「6」。
ポイントBOX:主要殺ダニ剤との比較(殺卵力)。
製剤 | 作用機作 | 殺卵力 |
コロマイト水和剤 | IRAC 6 | ◎ |
カネマイトフロアブル | IRAC 20B | ◎(コロマイトより残効性↑) |
マイトコーネフロアブル | IRAC 20D | 〇 |
3. 導入事例・実証データ
作物 | 都道府県/栽培体系 | 散布量・時期 | 主な結果 |
イチゴ | 福岡県/促成栽培 | 12月上旬、ハダニ0.3頭/葉で2000倍100 L/10a散布 | 14日後のハダニ0.05頭/葉、商品果率98 % |
イチゴ | 静岡県/半促成栽培 | 2月中旬、シクラメンホコリダニ被害葉率5 %時に2000倍希釈150 L/10a散布 | 10日後被害葉率1 %、奇形果発生ゼロ |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:コロマイト水和剤、水、散布機
希釈倍率・使用量:2000倍、100~300 L/10a
タイミング:発生初期~収穫前日まで
手順ステップ:
a. 2000倍希釈の散布液を用意する。
b. すべての葉に薬剤をしっかり散布する。ハダニは葉裏にも多く生息しているため、葉裏にもかかるように散布。
注意点:
・連続散布は避ける→ハダニの抵抗性を発達させる可能性。
(他のダニ剤とローテーションで使用し、本剤散布はできるだけ年1回に留める)
・ハウスで常温煙霧に使用する場合は、可能な限り専用の機械を使用し、6時間以上密閉する。ハウスに入る際は換気を行う。
Tip:予防散布には適さないため、ハダニが全くいない場合は散布を避ける。
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
チリトップ | 天敵導入(ハダニ密度抑制) | コロマイト散布7日後 |
カネマイトフロアブル | ローテーション散布 | 発生初期~収穫前日まで |
サフオイル乳剤 | ローテーション散布※抵抗性が発達した場合も有効 | 発生初期~収穫前日まで |
6. FAQ
Q1:コロマイトはハダニの卵にも効きますか?
A:はい。コロマイトは高い殺卵効果が確認されています。
Q2:収穫直前に使っても残留は大丈夫?
A:ラベル上、イチゴは収穫前日まで使用可能です。
Q3:天敵ダニへの影響は?
A:捕食性ダニ(チリトップ等)との同時散布は避け、散布後7日以上空けて導入すると影響を最小化できます。
Q4:抵抗性対策のローテーション間隔は?
A:同一IRACグループ(6)の薬剤と連用しないよう少なくとも14日以上空け、作用機作の異なる薬剤と交互に使用してください。
7. まとめ
コロマイト水和剤は収穫前日まで使用可という使いやすさと、卵から成虫全てを対象とした即効性でイチゴのハダニ・チャノホコリダニ防除に最適です。早期散布+天敵導入を行うことでよりハダニ密度を抑制することが出来ます。1つ注意する点としては、コロマイトを連続散布してしまうと抵抗性が発達する可能性があります。他の殺ダニ剤とローテーション散布を行い、抵抗性の発達を抑え、安定収量を目指しましょう。








