メリトップはどうやって使う? ─イチゴ、ナス、ピーマンに付くアザミウマ、ケナガコナダニを防除する天敵メリトップの使い方を徹底解説!
- 秋介 永田
- 5月30日
- 読了時間: 4分
更新日:7月4日

イチゴの収量低下やナスの奇形果、ピーマンの葉縮れ――その原因の多くはアザミウマとケナガコナダニによるものです。薬剤抵抗性の進行や収穫前の残留基準への対応に悩む農家さんは少なくありません。そこで注目されているのが、天敵資材「メリトップ」。有効成分は捕食性ダニ ククメリスカブリダニで、発生初期から放飼することでアザミウマ幼虫とケナガコナダニを同時に抑制します。花粉を餌に生存できるため定着力が高く、IPM(総合的病害虫管理)や有機JAS栽培にも最適。この記事では、メリトップの効果・コスト・導入事例・具体的な使い方を徹底解説します。
こんな方におすすめ
イチゴ・ナス・ピーマンのアザミウマ防除に行き詰まっている
ケナガコナダニ防除の薬剤ローテーションに限界を感じている
メリトップの導入効果や放飼方法を事前に知りたい
1. 商品概要
分類 | 天敵農薬 |
---|---|
主な対象害虫 | アザミウマ類(ミナミキイロアザミウマ等)、ケナガコナダニ |
使用場面 | 発生初期(圃場全体推奨) |
提供形態 | 50,000頭/900mlボトル |
2. 特長・メリット
2‑1. 花粉で生存・低密度でも定着
ククメリスカブリダニは花粉を餌に生存可能であるため、害虫密度が低い段階でも温室内に定着。
2‑2. アザミウマ&ケナガコナダニの同時防除
実験では、イチゴ株あたり100頭放飼でアザミウマ幼虫を80%以上抑制、ケナガコナダニ密度も2週間で70%低減。
2‑3. 有機JAS適合・薬剤抵抗性対策に最適
化学農薬に対して抵抗性を持つ個体にも効き、ローテーション防除や有機農業での使用実績多数。
ポイントBOX:スワルスキーカブリダニとの比較
製剤 | メリトップ(ククメリスカブリダニ) | スワルスキー(スワルスキーカブリダニ) |
---|---|---|
捕食対象 | アザミウマ・ケナガコナダニ | アザミウマ・コナジラミ |
最適温度 | 18–28 °C(低温に強い) | 20–32 °C |
花粉餌 | 〇 | 〇 |
3. 導入事例・実証データ
作物名 | 都道府県/面積 | 放飼量・時期 | 結果 |
---|---|---|---|
イチゴ | 静岡県・高設養液栽培30a | 7日後に100頭/株、2週間後に追加50頭/株 | アザミウマ発生ピーク時、幼虫密度0.3頭/花房、薬剤散布回数が40%減 |
ピーマン | 茨城県・温室土耕20a | 花芽分化期に150頭/株を1回放飼 | ケナガコナダニ被害葉率5%以下を維持、収量3.2 t→3.6 tに増加 |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:メリトップボトル
放飼量の目安:100頭/株
タイミング:アザミウマの発生がごく僅かなタイミング
手順ステップ:
a. 使用直前にボトルを横にしてゆっくり10回転させ内容物を均一化
b. 施設全体に放飼(アザミウマ類が侵入しやすい施設の開口部付近に多めに放飼するとより効果的)
c. ボトル内に残ったククメリスカブリダニがボトルから出ていくようにするため、植物の株元に静置
注意点:定着を良くするため、放飼後1週間は農薬散布避ける
Tip:
ククメリスカブリダニの最適温度18~28℃を維持!
5. 関連資材との相乗効果
資材 | 目的 | 使用タイミング |
---|---|---|
サンサンネット(0.8 mm) | 外部飛来阻止 | 定植前〜収穫期 |
ホリバーロールイエロー | 成虫発生モニタリング/捕殺 | 圃場常設 |
天敵のごちそう(天敵定着促進剤) | 初期の天敵定着ブースト | 放飼直前〜2週間 |
6. FAQ
Q1:メリトップはハダニにも効きますか?
A:ハダニへの捕食効果は限定的です。ハダニが問題になる圃場ではマイトコーネなどとの併用を推奨します。
Q2:アザミウマ防除にてメリトップと併用できる農薬は?
A:ウララDFやカスケード乳剤などはメリトップ導入前後に散布しても比較的影響は少ないとされています。
7. まとめ
メリトップはアザミウマ、ケナガコナダニを抑制し、薬剤散布回数を削減できる画期的な天敵資材です。花粉を餌に生存するため低密度期でも定着し、他のカブリダニに比べ低温にも強い種です。有機JASに対応しており、IPMに組み込むこともできます。今季こそ生物農薬を取り入れて、安定収量と高品質出荷を実現しましょう。