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Zボルドー水和剤はどうやって使う? ─キュウリ・トマト・ナスのべと病・疫病・すすかび病を防除するZボルドー水和剤を徹底解説!

  • 3 日前
  • 読了時間: 7分

梅雨どきや秋の長雨で、きゅうりの葉に黄色い斑点が広がるべと病、トマトの茎葉や果実が褐変して腐る疫病、ハウスなすの葉裏がカビで覆われるすすかび病——これらの糸状菌・細菌性病害は、湿度が高いと一気に蔓延し、防除が後手に回ると収量を大きく落とします。


Zボルドー水和剤は有効成分に塩基性硫酸銅58.0%(銅として32.0%)を含む無機銅剤で、糸状菌から細菌性病害まで非常に幅広く効き、耐性菌が出にくく、有機JAS栽培にも使えるのが大きな特長です。


本記事では、きゅうり・トマト・なすを中心に、Zボルドー水和剤の使い方・適用表・薬害回避のコツ・IPM体系での組み込み方を、メーカー公式ラベルとFAMIC情報をもとに徹底的に整理します。


こんな方におすすめ

  • きゅうり・トマト・なすのべと病・疫病・すすかび病に悩んでいる方

  • 1剤で多くの作物・病害をカバーできる予防剤を探している方

  • 耐性菌対策・有機JAS栽培で使える銅剤を導入したい方

  • 銅剤の薬害(汚れ・黄化)が心配で、正しい使い方を知りたい方


1. 商品概要

分類

殺菌剤(無機銅剤・園芸殺菌剤)

登録番号

農林水産省登録 第24041号(登録会社:日本農薬株式会社)

有効成分

塩基性硫酸銅 58.0%(銅として 32.0%)

作用機構コード

FRAC M1(無機・多作用点/銅)。多作用点接触活性で耐性菌が出にくい

製剤形態

水和剤(淡青緑色水和性粉末、45μm以下)

毒性区分

普通物(毒劇物に該当しない)

主な対象病害

べと病、疫病、すすかび病、軟腐病・斑点細菌病などの細菌病、そうか病、褐斑病ほか多数

主な使用場面

露地・施設の予防散布。発病前〜発病初期に。有機JAS栽培でも使用可

製造販売元

日本農薬株式会社

2. 特長・メリット

2‑1. 多作用点(FRAC M1)で耐性菌が出にくい

銅イオンが菌の複数の代謝系を同時に阻害するため、特定の標的を狙う剤と違い耐性菌が発達しにくいのが最大の強みです。既存剤に耐性がついた菌にも有効で、ローテーションの「土台」として組み込めます。

2‑2. 糸状菌病害から細菌性病害まで圧倒的に広い適用

べと病・疫病などの糸状菌(卵菌)病害に加え、軟腐病・斑点細菌病・黒腐病などの細菌病にも効くのが無機銅剤ならでは。野菜類・果樹・花き・茶まで適用作物が非常に広く、常備薬として価値があります。

ポイント

銅剤は予防剤です。発病してからでは効果が劣るため、発病前〜発病初期の予防散布が鉄則。発病後はFRACコードの異なる治療効果のある剤と組み合わせます。



3. 導入例

作物名/作型

投入目的

投入量・時期

期待される効果

露地きゅうり

梅雨入り前のべと病予防

500倍(野菜類)、100〜300L/10a、発病前〜発病初期に予防散布

べと病の初発抑制、耐性菌リスクの低い土台防除

露地・雨よけトマト

長雨期の疫病予防

400〜600倍、100〜300L/10a、発病前〜発病初期

疫病・輪紋病の予防的密度抑制

施設なす

多湿期のすすかび病予防

500倍(散布)/常温煙霧294〜588g/10a、発病前〜発病初期

葉裏のすすかび病の発生抑制

4. 使い方・適切な散布/設置手順

  1. 準備物:

    動力/背負噴霧器(または専用常温煙霧機)、計量器、保護具。薬害軽減が必要な作物では炭酸カルシウム水和剤を併せて準備。


  2. 希釈倍率:

    作物・病害で異なります。野菜類のべと病・細菌病は500倍、トマト疫病は400〜600倍が代表値。無人航空機散布では16倍など高濃度少水量の設定があるため、必ずラベルの該当欄を優先


  3. タイミング:

    発病前〜発病初期の予防散布が基本。雨の前後や多湿条件の前に処理すると効果的です。


  4. 手順ステップ:

    所要量を所定量の水に薄め、よくかきまぜてから散布→葉表・葉裏にむらなく→残液は使い切る量を調製。散布器具・容器の洗浄水は河川等に流さない


  5. 注意点:

    石灰硫黄合剤などアルカリ性薬剤との混用は避ける。ウリ科(きゅうり・メロン等)・だいこん・かんきつ・りんご・ぶどう等は薬害(汚れ・黄化・スターメラノーズ)が出やすいため、幼苗期・高温時・収穫間際の散布を避け、必要に応じ炭酸カルシウム水和剤を加用。水産動植物への飛散流入に注意。


作物別適用表(FAMIC農薬登録情報提供システム/日本農薬ラベルベース)

作物名

適用病害名

希釈倍数/使用量

使用液量(10a)

使用時期

使用方法

 

トマト・ミニトマト

疫病、輪紋病

400〜600倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

なす

すすかび病

500倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

なす(密閉施設)

すすかび病

294〜588g/10a

10L

発病前〜発病初期

常温煙霧

きゅうり(密閉施設)

べと病

294〜588g/10a

10L

発病前〜発病初期

常温煙霧

野菜類(キャベツを除く)

べと病、斑点細菌病、黒斑細菌病、黒腐病

500倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

すいか

疫病

500〜800倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

ばれいしょ

疫病

400倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

キャベツ

軟腐病、黒腐病、斑点細菌病、べと病、黒斑細菌病

500〜1000倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

レタス・非結球レタス

腐敗病

500〜800倍

100〜300L

発病前〜発病初期

散布

かんきつ

そうか病、かいよう病

400〜1000倍

200〜700L

発病前〜発病初期

散布

ぶどう

べと病、さび病、褐斑病

500〜800倍

200〜700L

発病前〜発病初期

散布


Tip

銅剤は付着・展着が効果のカギ。葉裏までしっかり濡らし、高温時間帯を避けて朝夕の涼しい時に散布すると薬害リスクも下がります。


5. 関連資材との相乗効果

商品名

組み合わせ目的

ランマンフロアブル

べと病・疫病対策に使いやすい殺菌剤です。Zボルドー水和剤とは効き方が違うため、病気が出始めたときの切り替え候補になります。

リドミルゴールドMZ

疫病・べと病が出始めたときに使いやすい薬剤です。Zボルドー水和剤で予防しつつ、発病が見えたら交互に使う候補になります。

レーバスフロアブル

べと病・疫病の予防〜発病初期に使いやすい薬剤です。Zボルドー水和剤とは別系統なので、ローテーションに入れやすいです。

ダコニール1000

幅広いカビ病の予防に使いやすい殺菌剤です。Zボルドー水和剤だけに頼らず、予防散布を回したいときの候補になります。

ダイン

薬液を葉に広がりやすくする展着剤です。Zボルドー水和剤を散布するときに、葉への付着を良くしたい場合に使います。


6. FAQ

Q1:Zボルドー水和剤はトマトの疫病に何倍で何回使えますか?

Aトマトの疫病・輪紋病は400〜600倍で散布します。銅剤は「銅を含む農薬の総使用回数」で管理されるため、他の銅剤と合算して回数を超えないよう、必ずラベルでご確認ください。

Q2:Zボルドー水和剤は天敵やミツバチに影響しますか?有機栽培で使えますか?

A無機銅剤で有機JAS栽培でも使用可能です。一方魚類・甲殻類・藻類など水産動植物には影響があり、河川・養殖池への飛散流入は厳禁。天敵への影響は化学合成殺虫剤より一般に小さいとされますが、最新のメーカー情報をご確認ください。

Q3:Zボルドー水和剤は他剤や展着剤と混用できますか?

A石灰硫黄合剤などアルカリ性薬剤との混用は避けてください。展着剤(ダイン等)の混用は付着向上に有効ですが、ウリ科・だいこん・かんきつ・りんご・ぶどうなどは炭酸カルシウム水和剤の加用で薬害軽減が推奨されます。混用は必ず事例・ラベルを確認。

Q4:抵抗性(耐性菌)対策としてどう組めばよいですか?

AZボルドーは多作用点(FRAC M1)で耐性菌が出にくいため土台に向きます。発病期はFRAC 21(ランマン)、40(レーバス)、4+M3(リドミルゴールドMZ)など別系統と交互に使ってください。

Q5:効果が出にくい・薬害が出たときに見直すべき点は?

A(1)発病前〜初期の予防散布になっているか(発病後では効果減)、(2)葉裏まで均一に付着できているか、(3)幼苗期・高温時・収穫間際の散布を避けているか、(4)薬害の出やすい作物で炭酸カルシウム水和剤を加用しているか——を確認してください。

7. まとめ


Zボルドー水和剤は塩基性硫酸銅58.0%・FRAC M1の無機銅殺菌剤で、糸状菌から細菌病まで幅広く効き、耐性菌が出にくく、有機JAS栽培にも使えるのが魅力です。


きゅうりのべと病、トマトの疫病、なすのすすかび病は発病前〜初期の予防散布で叩き、薬害の出やすい作物では炭酸カルシウム水和剤の加用を。別系統の治療剤とローテーションし、水産動植物への飛散に注意してご活用ください。



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