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モベントフロアブルはどうやって使う? ─ アブラムシ、コナジラミ、アザミウマ、ハダニ・サビダニまで広く防除するモベントフロアブルの使い方を徹底解説!

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吸汁性害虫(アブラムシ・コナジラミ・アザミウマ)に悩むと、新芽の歪みや果実汚れ、ウイルス媒介で収量が沈みます。

モベントフロアブル(有効成分:スピロテトラマト/IRAC 23)は、植物体内を導管(上向き)と篩管(下向き)に二方向へ移行する浸透移行性が特長。

生長点や新葉にも有効成分が届くため、残効が長く、世代途切れの効果を狙えます。

野菜・果樹での地上散布(2000倍が基本)に加え、株元灌注(500倍)や無人航空機散布にも適用が広がっています。

さらに作物によってはハダニ類トマトサビダニ・チャノホコリダニ(サビダニ・ホコリダニ類)、果樹ではカイガラムシ類にも登録があり、同時防除で作業を圧縮できます。


こんな方におすすめ

  • 施設・露地でアブラムシ/コナジラミ/アザミウマの同時管理を強化したい

  • トマトサビダニやチャノホコリダニの“止め”を探している(※ハダニは作物ごとに可否)

  • 定植時の灌注ドローン散布など、作業省力と残効を両立したい


1. 商品概要

分類

選択性殺虫・殺ダニ剤(環状ケトエノール系)/IRAC 23:脂質生合成阻害

有効成分

スピロテトラマト 22.4%

主な対象害虫

アブラムシ類/コナジラミ類/アザミウマ類/トマトサビダニ・チャノホコリダニ/(作物により)ハダニ類/果樹でカイガラムシ類 等

使用場面

生育期の地上散布(2000倍/100–300L/10a)株元灌注・灌注(500倍・25–50mL/株 等)無人航空機散布(作物により32–320倍 等)

2. 特長・メリット

2‑1. 新芽まで効く“二方向移行”+長い残効

有効成分が導管・篩管の両方を通って新葉・生長点へ移行。隠れた寄生部位にも届き、薬液直達が難しい結球内部でも効果を示します。


2‑2. 幅広い吸汁性害虫+サビダニ/(作物により)ハダニも同時防除

野菜のアブラムシ・アザミウマ・コナジラミに強い上、トマトサビダニ・チャノホコリダニにも適用。なす・ピーマン・ウリ類・果樹などではハダニ類にも登録があり、1剤で負担を削減。


2‑3. IRAC 23でローテーションが組みやすい

ネオニコ(IRAC 4A)やマクロライド系(IRAC 6)などと作用機構を変えて交互使用することで抵抗性管理に寄与。


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3. 導入例

作物

導入目的

主な結果(イメージ)

トマト/ミニトマト

コナジラミ媒介ウイルスの抑制、トマトサビダニの初期封じ

2000倍散布を初発期に実施→新葉まで効いて幼若~成虫の増殖ペース抑制。葉裏の吸汁斑・すす病汚れの広がりを緩和トマトサビダニの進展停止に寄与し、管理設計が安定。※ハダニ類は登録なし

きゅうり

アブラムシ・アザミウマ+ハダニの同時対策、定植時の省力化

定植当日500倍灌注(50mL/株)で立ち上がりの侵入・定着を抑制。多発期は2000倍散布で維持。葉裏のハダニ密度の上昇を抑える傾向、追い散布の間隔設計がしやすい

なす

アザミウマの芯止まり防止、チャノホコリダニ・ハダニの複合対策

2000倍散布で新芽の加害痕・奇形果の発生を抑制チャノホコリダニの拡大を止めやすく、果実の光沢維持に寄与。ハダニ圧も低下傾向

ピーマン・とうがらし類

アザミウマの芯止まり・銀斑抑制、省力運用

育苗後半〜定植時に500倍灌注(50mL/株)→初期の食害を抑え、着果の乱れを軽減。生育後半は2000倍散布で維持しやすい。

メロン/すいか

コナジラミ由来のすす病軽減、ハダニ同時抑制、作業回数の最適化

500倍灌注+多発期2000倍散布(作物別ラベル準拠)で果面の汚れ減少傾向。玉締まり期に葉の健全性を保ちやすいUAV散布適用作物では作業負担の平準化に寄与。

いちご

チャノホコリダニの芯止まり・葉の縮れ防止、アブラムシ由来ウイルスの低減

育苗後半〜定植当日に500倍灌注(25–50mL/株)で新葉保護。秋の立ち上がりが安定し、花房の奇形を抑える傾向。

かんきつ

サビダニ・ホコリダニによるさび果抑制、アザミウマ同時管理

2000倍地上散布または無人航空機(32–320倍・4–50L/10a)をラベル通りに実施→果面の粗れ・変色を軽減し、色回りのムラを抑える傾向。

注記:トマトはハダニ類の登録なし(サビダニは登録あり)。マルハナバチへの影響、セル苗灌注不可作物、乾きにくい条件での薬害などの注意点は本文の「使い方・注意点」を参照。

4. 使い方・適切な散布/設置手順

  1. 準備物

    計量カップ、攪拌タンク、(必要に応じ)展着剤、保護具。


  2. 希釈倍率

    地上散布は多くの野菜で2000倍(水量100–300L/10a)。灌注は500倍・25–50mL/株(作物・害虫で異なる)。


  3. タイミング

    初発〜増加期に、新葉展開前後を狙う。定植当日(灌注)や育苗後半に処理可の作物あり。


  4. 手順

    所定量を清水に溶解→攪拌→均一散布。灌注は株元のみに確実に入れる(新芽に薬液がかからないよう注意)。


  5. 注意点

    • マルハナバチに影響。使用時は受粉を他方法(人工授粉・植物ホルモン)で行う。

    • きゅうり・すいか・メロンのセル成型苗への灌注は薬害リスク。軟弱苗や新芽への付着回避

    • はくさいは乾きにくい条件で薬害懸念。散布時期と乾燥を配慮。

    • 使用回数・PHI(収穫前日/7日/14日など)は作物で異なる。年間3回以内が基本。

    • 無人航空機はラベルの倍率(例:32–320倍)と散布量に厳密に従う。

Tip:IRACローテーションを徹底。同系統(23)を連用せず、4A・6など異系統と世代を跨いで交互使用。

モベントフロアブル 適用表(作物抜粋)


作物

対象害虫

使い方

トマト/ミニトマト

アブラムシ類/アザミウマ類/コナジラミ類/トマトサビダニ

2000倍・100–300L/10a収穫前日までに散布、年間3回以内トマトでハダニ類の登録はなし

きゅうり

アブラムシ類/アザミウマ類/コナジラミ類/ハダニ類

散布は2000倍(収穫前日まで)。株元灌注:500倍・50mL/株(定植当日〜育苗期後半/1回)。

なす

アブラムシ類/アザミウマ類/コナジラミ類/ハダニ類/チャノホコリダニ

2000倍散布(収穫前日まで、3回以内)。灌注は500倍・50mL/株(1回)。

ピーマン・とうがらし類

同上

2000倍散布、または500倍灌注・50mL/株(1回)。

メロン/すいか/かぼちゃ/ズッキーニ

アブラムシ類/コナジラミ類/ハダニ類

2000倍散布(7日or前日まで)。メロン・すいかは**500倍・50mL/株灌注(1回)**も可。

いちご

アブラムシ類/コナジラミ類/アザミウマ類/チャノホコリダニ ほか

灌注:500倍・25–50mL/株(1回)/育苗後半〜定植当日。

かんきつ

アブラムシ類/アザミウマ類/サビダニ類/チャノホコリダニ/ミカンハダニ など

地上散布2000倍無人航空機散布:32–320倍(4–50L/10a)等。

重要:作物ごとに適用害虫・希釈倍率・使用回数・収穫前日数が異なります。必ず最新ラベルをご確認ください。


5. 関連資材との相乗効果

資材

目的

使用タイミング

ホリバー(イエロー/ブルー)

モニタリング・初発検知(黄=コナジラミ/アブラムシ、青=アザミウマ)

定植直後〜多発期(圃場周縁と作物頭上)

天敵製剤 スワルスキー/バコトップ

ベース抑制(アザミウマ/コナジラミ/サビダニ・ハダニの初期密度抑制)

定植直後〜早期 *天敵影響の目安表を事前確認

展着剤ダインブレイクスルー

薬液付着・浸達向上(被覆改善)*なす×高機能展着剤は薬害注意

乾きやすい環境・被覆が課題の場面

6. FAQ

Q1:トマトのハダニに効きますか?

A:トマトはハダニ類の登録なし。トマトサビダニには登録があります。ハダニは他剤(例:IRAC 6や20系など)で対処し、サビダニ対策にモベントを組み込みましょう

Q2:基本の希釈倍率と水量は?

A地上散布は多くの野菜で2000倍・100–300L/10aが目安。作物により500倍散布や無人航空機散布の32–320倍など別設定もあります。

Q3:灌注時のコツは?

A500倍・25–50mL/株(作物・対象で変動)。株元のみに入れ、新芽や葉にかけない。セル苗への灌注不可の作物に注意。

Q4:マルハナバチや天敵への影響は?

A:マルハナバチに影響があるため、使用時は他の受粉手段に切り替え。天敵は資材ごとに感受性が異なるため、最新の天敵等への影響目安を必ず確認

Q5:収穫前日数と使用回数は?

A:前日/7日/14日など作物別に設定。年間3回以内が基本です(灌注は1回の作物あり)。

7. まとめ


二方向移行×長残効で、吸汁性害虫の同時防除作業省力(灌注/UAV)を両立できるのがモベント。一方で作物別の登録範囲(特にハダニ)や使用回数・PHI、マルハナバチ対応などの注意点も明確です。

運用はIPM設計とIRACローテーションが成果を分けます。各圃場の発生状況に合わせた最適な使い方(希釈・時期・組み合わせ)を設計しましょう。

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