アーリーセーフはどうやって使う?─野菜・ハーブ・花のアブラムシ、コナジラミ、ハダニ、うどんこ病を防除するアーリーセーフの使い方を徹底解説!
- 5月26日
- 読了時間: 8分

「収穫間際で農薬を使いたくない」「天敵やミツバチを入れているので化学合成農薬は控えたい」「ハダニやうどんこ病に薬剤抵抗性が出てしまった」──そんな悩みに応えるのが、天然のヤシ油由来成分を使った殺虫殺菌剤「アーリーセーフ」(販売:KINCHO園芸〔旧・住友化学園芸〕)です。
有効成分は脂肪酸グリセリド90.0%。害虫の体表を覆って物理的に窒息させる作用と、うどんこ病菌を抑える作用をもち、有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使用可能。収穫前日まで・使用回数制限なしという使い勝手のよさが特長です。
本記事では、野菜・ハーブ・花のアブラムシ・コナジラミ・ハダニ・うどんこ病を防除するアーリーセーフの特長・希釈倍数・使い方・関連資材を、FAMIC農薬登録情報とメーカー公式をもとに徹底解説します。
こんな方におすすめ
野菜・ハーブ・花のアブラムシ・コナジラミ・ハダニ・うどんこ病に、できるだけ安全な薬剤で対処したい方
有機栽培・収穫直前・天敵導入下で使える薬剤を探している方
化学合成殺虫剤・殺菌剤で抵抗性が出てしまい、別の作用機構の剤を組み込みたい方
1. 商品概要
分類 | 殺虫殺菌剤(脂肪酸グリセリド乳剤/物理的作用・気門封鎖型/有機JAS対応) |
登録番号 | 農林水産省登録 第21767号 |
種類名 | 脂肪酸グリセリド乳剤 |
有効成分 | 脂肪酸グリセリド 90.0%(ヤシ油由来の食用油脂) |
作用機構コード | IRAC/FRAC/HRAC いずれも該当なし(「-」)=化学的な神経・代謝阻害ではなく、害虫の体表被覆による物理的作用のため抵抗性が発達しにくい |
製剤形態 | 乳剤 |
主な対象 | アブラムシ類、コナジラミ類、ハダニ類、トマトサビダニ、チャノホコリダニ、ミカンキジラミ等/うどんこ病 |
主な使用場面 | 野菜(トマト・なす等)・果樹(りんご・ぶどう・かんきつ等)・茶・花き・観葉植物。露地・施設、有機栽培、収穫直前 |
2. 特長・メリット
2‑1. 物理的作用だから抵抗性が発達しにくい
アーリーセーフの有効成分はヤシ油由来の脂肪酸グリセリド。神経毒や代謝阻害ではなく、薬液が害虫の体表を覆って気門(呼吸口)をふさぎ、物理的に窒息させます。作用機構コード(IRAC)を持たないため、薬剤抵抗性が発達したハダニ・アブラムシ・コナジラミにも有効で、抵抗性対策のローテーション要員として価値があります。うどんこ病に対しても予防的に働きます。
2‑2. 有機JAS対応・収穫前日まで・使用回数制限なし
天然物由来で有機JAS規格(有機栽培)で使用可能。使用時期は「収穫前日まで」、本剤の使用回数は制限なし(適用表上「-」)という大きな利点があり、収穫直前の追い込み防除や、化学農薬の回数を温存したい場面で重宝します。臭いが少ない点も家庭菜園・施設で扱いやすいポイントです。
2‑3. 天敵・益虫への影響が比較的小さくIPMに向く
物理的作用で残効が短く、乾けば効果がなくなるタイプのため、化学殺虫剤に比べ天敵・訪花昆虫への影響が小さいとされ、IPM(総合的病害虫管理)体系に組み込みやすい剤です。ただし「散布が直接かかれば天敵にも影響しうる」ため、天敵の放飼直後の直接散布は避けるのが無難です。
ポイント
物理的作用ゆえに「薬液が虫・葉にしっかりかかること」が効果の絶対条件です。葉裏のハダニ・コナジラミにムラなく、たっぷりかけることが効きを左右します。残効が短いので、多発時は数日間隔の連続散布が効果的です。
3. 導入例
作物 / 作型 | 導入目的 | 投入量/時期 | 結果 |
|---|---|---|---|
施設栽培トマト・ミニトマト | 収穫期のコナジラミ・ハダニ・トマトサビダニ抑制 | アブラムシ・コナジラミは300倍、ハダニ・サビダニ・うどんこ病は300〜600倍、150〜500L/10a、収穫前日まで | 収穫を止めずに密度を低下、抵抗性個体にも作用 |
なす(露地・施設) | チャノホコリダニ・ハダニ・うどんこ病の同時対策 | 300〜600倍を葉裏までていねいに散布 | 微小害虫と病害を一度に抑制(※幼苗期は葉先枯れ注意) |
花き類・観葉植物 | ハダニ・うどんこ病の予防〜初期防除 | 600倍、150〜500L/10a | 天敵・益虫を活かしつつ密度抑制(※結蕾期以降は薬害確認) |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
噴霧器、計量カップ、保護メガネ・手袋(弱い刺激性のため)。葉裏まで届く噴口があると効果的です。
希釈倍率 or 設置個体数:
対象により300〜600倍。アブラムシ類・コナジラミ類は300倍(濃いめ)、ハダニ類・うどんこ病・サビダニ類は300〜600倍が目安です。ラベルと異なる場合はラベルを優先。
タイミング:
散布液は調製後できるだけ速やかに散布。物理的作用のため、害虫・病斑にしっかりかかるよう葉裏まで散布ムラなく。多発時は数日間隔で連続散布すると効果が高まります。
手順ステップ:
規定倍率で希釈→よく撹拌→葉表・葉裏に丁寧に散布→使い切る。
注意点:
高温時は葉に薬害が出ることがあるため施設では温度管理に注意。トリアジン水和剤・スルフェン酸系水和剤・キャプタン水和剤・ストロビルリン系薬剤との同時施用や近接散布は薬害のおそれがあり避ける。なす・ピーマン・はくさい・チンゲンサイ等の幼苗期は葉先枯れを生じることがあるため使用を避ける。花き・観葉は品種により花弁・葉に薬害が出る場合があり、特に結蕾期以降は注意。かんきつは品種・時期で果実薬害のおそれがあり、ジチアノン剤との混用・近接散布は避けます。
作物別適用表(FAMIC農薬登録情報提供システム調査結果ベース)
作物名 | 適用病害虫名 | 希釈倍数 | 使用液量 | 使用時期 | 本剤の使用回数 |
りんご | ハダニ類 | 600倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
ぶどう | ハダニ類 | 600倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
いちじく | ハダニ類 | 600倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
かんきつ | ミカンキジラミ | 600倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
野菜類(なす・トマト・ミニトマト・しゅんぎくを除く) | アブラムシ類/コナジラミ類 | 300倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
野菜類(同上) | ハダニ類/うどんこ病 | 300〜600倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
トマト・ミニトマト | アブラムシ類/コナジラミ類 | 300倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
トマト・ミニトマト | トマトサビダニ/ハダニ類/うどんこ病 | 300〜600倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
なす | アブラムシ類/コナジラミ類 | 300倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
なす | チャノホコリダニ/ハダニ類/うどんこ病 | 300〜600倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
しゅんぎく | アブラムシ類/コナジラミ類/ハクサイダニ | 300倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
しゅんぎく | ハダニ類/うどんこ病 | 300〜600倍 | 150〜500L/10a | 収穫前日まで | 制限なし |
茶 | チャノナガサビダニ/カンザワハダニ/チャノホソガ | 300〜600倍 | 150〜500L/10a | 摘採前日まで | 制限なし |
げっきつ | ミカンキジラミ | 600倍 | 200〜700L/10a | — | 制限なし |
花き類・観葉植物 | ハダニ類/うどんこ病 | 600倍 | 150〜500L/10a | — | 制限なし |
Tip:
「乾けば効果が切れる=かかった所しか効かない」剤です。葉裏・株元・込み合った部分まで薬液を行き渡らせること、そして1回で仕留めようとせず数日おきに重ねることが、ハダニ・コナジラミを抑える最大のコツです。
5. 関連資材との相乗効果
商品名 | アーリーセーフとの使い分け・組み合わせ目的 |
サンクリスタル乳剤 | アーリーセーフと同じく、ハダニ・アブラムシ・うどんこ病に使いやすい物理作用の資材です。効果の方向性は近いため、入手しやすさや使いやすさで選ぶ候補になります。 |
スピノエース顆粒水和剤 | アザミウマやチョウ目害虫に使いやすい薬剤です。アーリーセーフとは効き方が違うため、害虫の種類に応じてローテーションに使えます。 |
粘着くん液剤 | ハダニ・コナジラミを物理的に防除する資材です。アーリーセーフと同じく抵抗性が出にくいため、発生初期の補助防除に使いやすいです。 |
6. FAQ
Q1:アーリーセーフはトマトのコナジラミに何回まで、いつまで使えますか?
A:使用回数の制限はなく、収穫前日まで使用できます。トマトのコナジラミ類は300倍が目安です。ただし高温時の薬害に注意し、詳細は最新ラベルでご確認ください。
Q2:アーリーセーフは天敵やミツバチと一緒に使えますか?
A:物理的作用で残効が短く、化学殺虫剤に比べ天敵・益虫への影響は小さいとされ、IPMに組み込みやすい剤です。ただし散布液が直接かかれば天敵にも影響しうるため、天敵放飼直後の直接散布は避け、薬液が乾いてから天敵を活動させるのが安全です。
Q3:アーリーセーフは他の薬剤と混用できますか?
A:トリアジン水和剤・スルフェン酸系水和剤・キャプタン水和剤・ストロビルリン系薬剤との同時施用・近接散布は薬害のおそれがあるため避けてください。かんきつではジチアノン剤との混用・近接散布も避けます。混用の可否はメーカー情報で確認してください。
Q4:抵抗性が出たハダニ・アブラムシにも効きますか?
A:はい。アーリーセーフは物理的に気門をふさぐ作用で、神経毒等への抵抗性とは無関係に作用します。抵抗性個体にも有効で、化学剤のローテーションに組み込む価値があります。
Q5:効果が出にくいときに見直すポイントは?
A:物理作用剤は「かかった所しか効かない」のが原則です。葉裏・株元までムラなく十分量をかけているか、希釈倍率(アブラムシ・コナジラミは濃いめの300倍)、調製後すぐに散布しているか、多発時に数日間隔で連続散布しているかを見直してください。
7. まとめ
アーリーセーフはヤシ油由来の脂肪酸グリセリドを有効成分とし、害虫の体表を覆って物理的に窒息させる作用でアブラムシ・コナジラミ・ハダニ・トマトサビダニなどを抑え、うどんこ病にも働く有機JAS対応の殺虫殺菌剤です。
収穫前日まで・使用回数制限なし・抵抗性が出にくいという強みがあり、天敵導入下や収穫直前の防除、抵抗性管理に最適。一方で「かかった所しか効かない」「高温時・幼苗期の薬害」「特定薬剤との混用回避」に注意が必要です。
使用前には必ずラベル・FAMIC・メーカー公式をご確認ください。













