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コルト顆粒水和剤はどうやって使う? ─トマト・きゅうり・なす・いちご・かんきつ・りんごに付くアブラムシ類・コナジラミ類・カイガラムシ類を防除するコルト顆粒水和剤を徹底解説!

  • 5月29日
  • 読了時間: 9分

「ネオニコ系をまいてもアブラムシが減らない」「コナジラミやカイガラムシに効く薬がマンネリ化している」——そんな抵抗性の悩みに応えるのがコルト顆粒水和剤(日本農薬株式会社)です。


有効成分ピリフルキナゾンは、従来の神経系をたたく殺虫剤とは作用機構がまったく異なる昆虫行動制御剤(IBR剤、IRAC 9B)

処理された害虫はすぐに吸汁・摂食をやめ、作物から離脱して死に至ります。そのため既存剤に抵抗性のついたアブラムシ・コナジラミにも効きやすく、しかも天敵に対する影響が小さいためIPM(総合的病害虫管理)にも組み込みやすいのが大きな魅力です。


本記事では、トマト・きゅうり・なす・いちご・かんきつ・りんごなど幅広い作物での適用内容、希釈倍数、使用回数、ミツバチ・天敵への配慮まで、現場で役立つ深さで解説します。


こんな方におすすめ

  • トマト・きゅうり・なす・いちご・かんきつ・りんご等のアブラムシ類・コナジラミ類・カイガラムシ類に悩んでいる方

  • ネオニコチノイド系など既存剤の効きが悪くなり、別の作用機構の薬剤を探している方

  • 天敵を使ったIPM体系に組み込めるソフトな殺虫剤を導入したい方

  • コルト顆粒水和剤の希釈倍数・使用回数・ミツバチへの影響・混用可否を知りたい方


1. 商品概要


分類

殺虫剤(昆虫行動制御剤=IBR剤、吸汁・摂食阻害タイプ)

登録番号

農林水産省登録 第22797号(日本農薬)。同一成分の「クミアイコルト顆粒水和剤」は第22798号

種類名

ピリフルキナゾン水和剤

有効成分

ピリフルキナゾン 20.0%

作用機構コード

IRAC 9B(選択的な吸汁阻害/昆虫行動制御)。ネオニコ系(4A)や有機リン系とは作用点が異なる

製剤形態

水和剤(褐色水和性細粒)

主な対象害虫

アブラムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、アザミウマ類(チャノキイロアザミウマ等)、カスミカメムシ類などカメムシ目を中心に幅広い

主な使用場面

施設・露地の果菜類、果樹、茶、花きまで幅広く。抵抗性が疑われる圃場のローテーション剤として

2. 特長・メリット

2‑1. 吸汁をやめさせる」新しい作用機構(IRAC 9B)で抵抗性害虫に効く

ピリフルキナゾンは害虫の神経をたたくのではなく、処理後すぐに口針を抜いて吸汁・摂食をやめさせ、歩行・飛翔行動を狂わせて作物から離脱させる昆虫行動制御剤です。ネオニコチノイド系(IRAC 4A)や有機リン系とは作用点がまったく異なるため、これらに抵抗性が発達したアブラムシ・コナジラミにも効果が期待できます

2‑2. 速効性と浸達性、3週間以上の残効

速効的に吸汁を止めるためウイルス媒介の抑制にもつながり、葉内への浸達性に優れ、茎葉散布で3週間以上の残効が期待できます。アブラムシ類・コナジラミ類・カイガラムシ類・アザミウマ類など幅広い殺虫スペクトラムを持つのも強みです。

2‑3. 天敵への影響が小さくIPMに適合

メーカー資料ではナミテントウ、タイリクヒメハナカメムシ、ショクガタマバエ、チリカブリダニ、ミヤコカブリダニなどの天敵への悪影響が小さいことが示されており、天敵を利用するIPM体系に組み込みやすい薬剤です。ただしミツバチには影響があるため、放飼中の施設・果樹園では使用を避けてください。

ポイント

コルトは植物体への浸透移行は弱いため、「まけば全体に回る」タイプではありません。葉の表裏にかけ残しなく丁寧に散布することが効果を出す最大のコツです。


3. 導入例

作物名/作型

投入目的

投入量・時期

期待される効果

施設栽培トマト

定植後のコナジラミ類・アブラムシ類の初発時密度抑制(黄化葉巻病等の媒介虫対策)

4000倍希釈、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤3回以内

速やかな吸汁停止で増殖と媒介を抑制。天敵導入前後にも使いやすい

かんきつ

アブラムシ類・カイガラムシ類・チャノキイロアザミウマの同時防除

アブラムシ4000倍/カイガラムシ2000〜3000倍、200〜700L/10a、収穫前日まで、3回以内

カメムシ目害虫を幅広く抑制。ネオニコ抵抗性個体にも有効

いちご(施設)

アブラムシ類・コナジラミ類対策と天敵との併用

3000〜4000倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、3回以内

天敵に影響を与えにくくIPM体系に組み込みやすい

4. 使い方・適切な散布/設置手順

  1. 準備物:

    動噴・背負い等の噴霧器、計量器、農薬用マスク・手袋・長袖長ズボン・保護メガネ(眼刺激性あり)。広範囲は能力の高いスプレイヤー推奨。


  2. 希釈倍率 or 設置個体数:

    果菜類は4000倍が基本、いちご・かんきつのアブラムシは3000〜4000倍、カイガラムシ類は2000〜3000倍など対象により異なります。ラベル記載値と異なる場合は必ずラベルを優先してください。


  3. タイミング:

    発生初期の密度が低いうちが最も効果的。速効的に吸汁を止めるため、ウイルス病の媒介虫対策としては早期処理が有効です。


  4. 手順ステップ:

    水で規定倍率に希釈→よく撹拌→葉の表裏にかけ残しなく丁寧に散布(浸透移行が弱いため)→薬液は使い切る→散布器具・容器の洗浄水は河川等に流さない。


  5. 注意点:

    石灰硫黄合剤・ボルドー液などアルカリ性の強い薬剤との混用は避けるミツバチに影響があるため放飼中の施設・果樹園では使用回避水産動植物(甲殻類)に影響があるので河川・養殖池への飛散流入に注意。ぶどう幼果期以降は果粉溶脱、西洋なし「ル レクチエ」は薬斑、おうとうは果実の汚れに注意。使用回数は作物により2〜3回以内(ピーマン・とうがらし類・茶・たばこ・にら等は2回以内)と差があります。

Tip

浸達性は高いものの「全身に回る浸透移行剤」ではないため、コナジラミ・アブラムシが潜む葉裏や新芽を狙って薬液を行き渡らせることが、効果を最大化する一番のポイントです。


作物別適用表(FAMIC農薬登録情報提供システム調査結果ベース)

作物名

適用害虫名

希釈倍数

使用液量

使用時期

本剤の使用回数

使用方法

トマト・ミニトマト

アブラムシ類/コナジラミ類

4000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

なす

アブラムシ類/コナジラミ類/カスミカメムシ類

4000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

きゅうり・メロン・すいか

アブラムシ類/コナジラミ類

4000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

ピーマン

アブラムシ類/コナジラミ類

4000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

2回以内

散布

いちご

アブラムシ類/コナジラミ類

3000〜4000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

かんきつ

アブラムシ類

4000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

かんきつ

コナジラミ類/チャノキイロアザミウマ

3000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

かんきつ

カイガラムシ類(アカマルを除く)

2000〜3000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

りんご

アブラムシ類

3000〜6000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

りんご

カイガラムシ類/リンゴワタムシ

3000〜4000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

なし

アブラムシ類/チュウゴクナシキジラミ

4000倍

200〜700L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

キャベツ・レタス・ブロッコリー

アブラムシ類

3000〜4000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

散布

ねぎ

アブラムシ類/ネギアザミウマ/ネギハモグリバエ

2000倍

100〜300L/10a

収穫3日前まで

3回以内

散布

クワシロカイガラムシ/チャノミドリヒメヨコバイ/チャノキイロアザミウマ ほか

2000〜3000倍

200〜400L/10a(クワシロは1000L)

摘採7日前まで

2回以内

散布



5. 関連資材との相乗効果

商品名

コルト顆粒水和剤との使い分け・組み合わせ目的

アルバリン顆粒水溶剤

アブラムシ・コナジラミを早めに抑えたいときに使いやすい薬剤です。コルト顆粒水和剤とは効き方が違うため、ローテーションに使えます。

ウララDF

アブラムシ対策に使いやすく、天敵への影響も比較的小さい薬剤です。コルト顆粒水和剤と系統が違うため、同じ薬剤の連用を避けたいときに使えます。

モベントフロアブル

コナジラミ・カイガラムシ・アブラムシの幼虫対策に使いやすい薬剤です。コルト顆粒水和剤だけで抑えにくい場合の別系統の候補になります。

アプロード水和剤

コナジラミやカイガラムシの幼虫対策に使いやすい薬剤です。卵からふ化した幼虫が出る時期に、コルト顆粒水和剤と役割分担して使えます。

スワマイト

コナジラミ・アザミウマを食べる天敵資材です。害虫が少ないうちに放飼し、コルト顆粒水和剤などの薬剤と組み合わせて密度を抑える目的で使います。



6. FAQ

Q1:コルト顆粒水和剤は何回まで使えますか?収穫何日前まで使えますか?

A多くの作物で本剤の使用回数は3回以内・使用時期は収穫前日までですが、ピーマン・とうがらし類・茶・たばこ・にらなどは2回以内、茶は摘採7日前、たばこは収穫10日前、はくさい・ねぎは収穫3日前など作物ごとに異なります。必ず最新ラベルでご確認ください。

Q2:コルトはミツバチや天敵カブリダニと併用できますか?

A天敵(ナミテントウ、タイリクヒメハナカメムシ、チリカブリダニ、ミヤコカブリダニ等)への影響は小さいとされIPMに向きます。一方でミツバチには影響があるため、受粉用ミツバチを放飼中の施設・果樹園では使用を避ける必要があります。周辺で養蜂が行われている場合は関係機関へ情報提供を。

Q3:コルトは他剤と混用できますか?

A石灰硫黄合剤やボルドー液などアルカリ性の強い薬剤との混用は避けてください。その他の混用可否は、メーカーの混用情報とラベルで個別に確認するのが安全です。

Q4:ネオニコが効かなくなってきました。どうローテーションすればいいですか?

AコルトはIRAC 9Bでネオニコ(4A)と作用機構が違うため、抵抗性個体にも有効です。さらにウララDF(IRAC 29)、モベントフロアブル(IRAC 23)、アプロード水和剤(IGR・IRAC 16)など異なる作用機構の剤と交互に使ってください。同じ9Bのチェス(ピメトロジン)はローテーション相手になりません。

Q5:効果が出にくいときに見直すべきポイントは?

Aコルトは浸透移行性が弱いため、①葉裏・新芽までかけ残しなく散布できているか、②発生密度が高くなりすぎていないか(初期防除が基本)、③希釈倍数が薄すぎないか、④アルカリ性資材と混ぜていないか、⑤散布から効果発現(吸汁停止後に時間をかけて死亡)まで待てているか、を見直してください。

7. まとめ

コルト顆粒水和剤は、吸汁・摂食をやめさせるIRAC 9Bの昆虫行動制御剤として、ネオニコ等に抵抗性のついたアブラムシ類・コナジラミ類・カイガラムシ類・アザミウマ類に効果を発揮し、速効性・3週間以上の残効・幅広い適用作物・天敵にやさしいという現場で使いやすい特長を兼ね備えています。


浸透移行は弱いので葉裏まで丁寧に散布し、作用機構の異なる剤とローテーションして長く効かせましょう。ミツバチへの影響とアルカリ性薬剤との混用回避だけは必ず守ってください。



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