アルバリン顆粒水溶剤はどうやって使う?─アブラムシ、カメムシ、コナジラミ、アザミウマ、ウリハムシなどを防除するアルバリン顆粒水溶剤の使い方を徹底解説!
- 2 日前
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施設栽培のトマト・ナス・キュウリ・ピーマンでコナジラミやアブラムシが急増、水稲ではイネカメムシによる斑点米の発生、果樹ではカメムシ類の吸汁被害──これらの「複合的な吸汁性害虫」を1剤でまとめて抑えたいときに頼れる薬剤がアルバリン顆粒水溶剤です。
有効成分はジノテフラン(ネオニコチノイド系、IRAC 4A)で、浸透移行性に優れ、葉裏に潜むコナジラミやアブラムシにも有効。カメムシ類・アブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類・ウリハムシ・ハモグリバエ・コナカイガラムシ類など極めて幅広い害虫スペクトラムをカバーします。
本記事では、農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の登録情報とアグロカネショウ/三井化学クロップ&ライフソリューションの公式情報をもとに、アルバリン顆粒水溶剤の作物別希釈倍数・使用回数・収穫前日数、IRACローテーション設計、ミツバチ・マルハナバチへの影響、現場でよくあるFAQまで徹底解説します。
こんな方におすすめ
施設野菜のコナジラミ・アブラムシ・アザミウマを1剤でまとめて抑えたい方
水稲のカメムシ類・ウンカ・ヨコバイを斑点米発生前に防除したい方
果樹のカメムシ類・コナカイガラムシ・チャノキイロアザミウマを効率的に防除したい方
アルバリン顆粒水溶剤の作物別希釈倍数・使用回数を整理して把握したい方
1. 商品概要
分類 | 殺虫剤(ネオニコチノイド系・浸透移行性) |
種類名 | ジノテフラン水溶剤 |
登録番号 | 第20812号 |
有効成分 | ジノテフラン 20.0%(その他成分:界面活性剤等 80.0%) |
作用機構コード | IRAC 4A(ニコチン性アセチルコリン受容体競合的モジュレーター/ネオニコチノイド系) |
製剤形態 | 顆粒水溶剤(淡青緑色水溶性細粒) |
主な対象害虫 | カメムシ類、アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、ウリハムシ、ハモグリバエ類、コナカイガラムシ類、カキノヘタムシガ、ミカンハモグリガ、シンクイムシ類、ナスミバエ、ナトビハムシ、ダイコンハムシ、キスジノミハムシ、コナガ、アオムシ、ハスモンヨトウ(灌注のみ)、クロバネキノコバエ類、フタテンミドリヒメヨコバイ ほか多数 |
主な使用場面 | 水稲(カメムシ・ウンカ・ヨコバイ)、果樹(みかん・かんきつ・りんご・なし・もも・ぶどう・かき・ネクタリン等)、野菜(トマト・ナス・キュウリ・ピーマン・キャベツ・ハクサイ・レタス・ねぎ・だいこん等)、茶、花き、樹木類 |
製造販売元 | アグロ カネショウ株式会社/三井化学クロップ&ライフソリューション(販売名「三井東圧アルバリン顆粒水溶剤」) |
2. 特長・メリット
2‑1. 高い浸透移行性で「葉裏の害虫」「樹幹塗布」にも効く
有効成分のジノテフランは水に溶けやすく、散布後に葉や株の中へすばやく吸収されます。そのため、葉の表面だけでなく、葉裏や新葉にいるコナジラミ・アブラムシ・アザミウマにも効果が期待できます。
また、散布だけでなく、株元散布・灌注処理・育苗トレイ灌注・樹幹塗布など、作物や栽培方法に合わせて使い方を選べるのも特長です。
特に、ぶどうやかきでは樹幹塗布で使える登録があるため、散布作業を減らしながら害虫対策をしたい場面にも使いやすい薬剤です。
2‑2. 速効性+残効性、幅広い害虫スペクトラム
対象害虫は、カメムシ類・コナジラミ類・アブラムシ類・アザミウマ類・ハモグリバエ類・コナカイガラムシ類など、非常に幅広いのが特長です。
水稲では、害虫の種類に合わせて希釈倍数を変えることで、カメムシ類・ウンカ類・ツマグロヨコバイなどを防除できます。
特に近年問題になっているイネカメムシによる不稔籾(しいな籾)対策でも活用されており、水稲のカメムシ対策としても使いやすい薬剤です。
2‑3. ミツバチ・マルハナバチ・天敵への影響と注意点
有効成分のジノテフランは、ネオニコチノイド系(IRAC 4A)の殺虫剤です。害虫には幅広く効果が期待できる一方で、受粉用のミツバチ・マルハナバチや、天敵昆虫にも影響が出る可能性があります。
特に、イチゴ・トマト・メロンなど、マルハナバチを使う施設栽培では注意が必要です。使用する場合は、散布前に巣箱を回収・退避し、薬剤の影響が十分に下がってから再び放飼してください。
また、チリカブリダニ・スワルスキーカブリダニなどの天敵カブリダニ類にも影響する可能性があります。天敵を使っている圃場では、放飼後の使用はできるだけ避け、放飼前の防除計画の中で使うのが基本です。
IPMで使う場合は、「天敵や受粉昆虫を入れる前に使う薬剤」として位置づけると安全です。
ポイント
アブラムシ・コナジラミ防除では、同じ系統の薬剤を続けて使わないことが大切です。
そのため、以下のようにIRACコードの異なる薬剤を順番に使うことで、抵抗性対策につながります。
アルバリン顆粒水溶剤(4A)→ コルト顆粒水和剤(9B)→ チェス顆粒水和剤(9B)→ モベントフロアブル(23)→ アファーム乳剤(6)
ポイントは、アルバリンなどのネオニコ系だけに頼らず、効き方の違う薬剤をローテーションすることです。
これにより、ネオニコ抵抗性のアブラムシ・コナジラミの発生を抑えながら、安定した防除につなげやすくなります。
3. 導入例
※以下は適用表と一般的な防除暦をもとにした典型的な使用シナリオです。
作物名/作型 | 投入目的 | 投入量・時期 | 期待される効果 |
水稲 | カメムシ類による斑点米対策+ウンカ類・ヨコバイ同時防除 | カメムシ類2000倍/ウンカ・ヨコバイ3000倍、60〜150L/10a、収穫7日前まで、本剤3回以内 | 出穂期〜糊熟期の吸汁を抑え、斑点米等級落ちを回避 |
施設栽培トマト・ミニトマト | コナジラミ類(タバココナジラミ等)+カメムシ類の防除 | コナジラミ2000〜3000倍/カメムシ2000倍、100〜300L/10a、収穫前日まで散布2回以内 | 葉裏のコナジラミ卵・幼虫まで浸透移行で抑制 |
キャベツ・ブロッコリー | 定植時のアブラムシ類・コナガ・アオムシ・ハイマダラノメイガ同時防除 | 育苗トレイ灌注50〜100倍、定植前日〜定植時、本剤1回 | 定植直後の初期害虫を一括ブロック、省力化 |
ねぎ | アザミウマ類・ハモグリバエ類・シロイチモジヨトウ・タネバエ・ネギコガの同時防除 | 50倍灌注/2000倍散布/400倍株元灌注を使い分け、収穫3日前まで、合計4回以内 | 定植時から収穫期まで体系的に防除 |
かんきつ(みかん含む) | チャノキイロアザミウマ・コナカイガラムシ類・カメムシ類の同時防除 | 1000〜2000倍、200〜700L/10a、収穫前日まで、本剤3回以内 | 果実の吸汁被害・スリップス痕・カイガラムシ寄生を抑制 |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
動力噴霧器または背負式噴霧器、灌注ノズル(株元灌注時)、計量カップ・スプーン、攪拌棒、保護眼鏡・農薬用マスク・手袋。施設栽培ではマルハナバチ巣箱の回収用具。
希釈倍率(代表例):
稲カメムシ2000倍/稲ウンカ・ヨコバイ3000倍/野菜のコナジラミ2000〜3000倍/アブラムシ3000倍/アザミウマ・カメムシ・ウリハムシ2000倍/キャベツ・ねぎの育苗トレイ灌注50倍など、用途・施用方法で希釈倍数が大きく異なるため必ずラベル確認。
タイミング:
害虫の発生初期に散布するのが基本。水稲カメムシは出穂期〜糊熟期、施設野菜のコナジラミは初発時、ハクサイ・キャベツのアブラムシ・コナガは定植時の育苗トレイ灌注が最も効率的です。
手順ステップ(散布):
①所定量の水を計量 → ②規定量の本剤を投入し、よくかき混ぜて溶解(細粒なのですみやかに溶解します) → ③葉表・葉裏ともに薬液が届くよう散布 → ④散布後は噴霧器内を十分に水洗。
手順ステップ(育苗トレイ灌注):
①セル成型育苗トレイ1箱またはペーパーポット1冊(30×60cm・使用土壌約1.5〜4.0L)当り0.5Lの薬液を均一に灌注 → ②そのまま定植 → ③定植後は浸透移行で長期間防除。
注意点:
①収穫前日数の厳守(多くの野菜で前日〜3日前、稲・かんしょは収穫7日前/3日前等)、
②本剤の使用回数とジノテフランを含む農薬の総使用回数を別管理(粒剤・液剤・水溶剤など他剤型と合算)。
③ミツバチ・マルハナバチへの強い影響(30日以上の残効)を念頭に、訪花期の散布回避と巣箱退避を徹底。
④天敵カブリダニ放飼後の使用は避ける。
作物別適用表(FAMIC農薬登録情報提供システム・農薬インデックス調査結果ベース)
※ アルバリン顆粒水溶剤は適用作物・対象害虫・施用方法(散布/灌注/株元散布/土壌混和/樹幹塗布)が極めて多く、下表は代表例の抜粋です。最新の使用基準は必ずアルバリン顆粒水溶剤のラベル/FAMIC「農薬登録情報提供システム」(https://pesticide.maff.go.jp/)でご確認ください。
作物名 | 適用害虫名 | 希釈倍数 | 使用液量 | 使用時期 | 本剤使用回数 | 使用方法 |
稲 | カメムシ類 | 2000倍 | 60〜150L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
稲 | ウンカ類/ツマグロヨコバイ | 3000倍 | 60〜150L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
かんきつ(みかん含む) | チャノキイロアザミウマ/コナカイガラムシ類 | 1000〜2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
かんきつ | アブラムシ類/ミカンハモグリガ/カメムシ類/コナジラミ類/チャノミドリヒメヨコバイ ほか | 2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
りんご・なし | アブラムシ類/シンクイムシ類/カメムシ類/コナカイガラムシ類/キンモンホソガ/ギンモンハモグリガ ほか | 2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
もも・ネクタリン | モモチョッキリゾウムシ/アブラムシ類/モモハモグリガ/シンクイムシ類/カメムシ類 | 2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
かき | カメムシ類/コナカイガラムシ類/カキノヘタムシガ/アザミウマ類 | 2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
かき | コナカイガラムシ類(樹幹塗布) | 本剤1g当り水1mL | 20〜40g/樹 | 発芽前〜発芽期 | 1回 | 塗布 |
トマト・ミニトマト | コナジラミ類 | 2000〜3000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
トマト・ミニトマト | カメムシ類 | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
なす・ピーマン | コナジラミ類/アブラムシ類/アザミウマ類/カメムシ類 | 2000〜3000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 合計3回以内 | 散布 |
きゅうり | コナジラミ類/アブラムシ類/アザミウマ類/ウリハムシ/カメムシ類 | 2000〜3000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 合計4回以内 | 散布 |
キャベツ | アブラムシ類/コナガ/アオムシ/ハイマダラノメイガ(育苗トレイ灌注) | 50〜100倍 | 0.5L/箱 | 定植前日〜定植時 | 1回 | 灌注 |
キャベツ | アブラムシ類(散布) | 2000〜3000倍 | 100〜300L/10a | 収穫3日前まで | 2回以内 | 散布 |
ねぎ | アザミウマ類/ハモグリバエ類/シロイチモジヨトウ/タネバエ/ネギコガ | 50倍 | − | − | 合計4回以内 | 灌注ほか |
ねぎ | アザミウマ類(散布) | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫3日前まで | 2回以内 | 散布 |
だいこん | ダイコンハムシ/キスジノミハムシ | 1000〜2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫7日前まで | 合計2回以内 | 散布 |
茶 | チャノホソガ/チャノミドリヒメヨコバイ/チャノキイロアザミウマ/ツマグロアオカスミカメ/コミカンアブラムシ | 2000倍 | 200〜400L/10a | 摘採7日前まで | − | 散布 |
Tip:
育苗トレイ灌注は、定植から1ヶ月程度の初期害虫(アブラムシ・コナガ・アオムシ・ハイマダラノメイガ)を一括防除でき、散布回数を大幅に削減できる「省力化+早期防除」の決定打です。
5. 関連資材との相乗効果
商品名 | 組み合わせ目的 |
コルト顆粒水和剤 | アルバリンとは効き方が異なるため、アブラムシ・コナジラミ対策で連用を避けたいときのローテーションに使えます。 |
モベントフロアブル | 植物体内に移行して効くタイプの薬剤で、アブラムシ・コナジラミの追加防除に使いやすい薬剤です。 |
アファーム乳剤 | アルバリンとは系統が異なるため、アザミウマ・ハモグリバエなども含めて、幅広い害虫対策のローテーション候補になります。 |
6. FAQ
Q1:アルバリン顆粒水溶剤は水稲のカメムシに何回まで使えますか?
A:稲のカメムシ類は2000倍希釈、60〜150L/10a、収穫7日前まで、本剤の使用回数3回以内です。ジノテフランを含む農薬の総使用回数は4回以内(育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布・空中散布・無人航空機散布は合計3回以内)。粒剤や液剤の他剤型と合算でカウントするので注意してください。
Q2:アルバリン顆粒水溶剤とミツバチ/マルハナバチ/天敵カブリダニとの併用は大丈夫ですか?
A:ジノテフランはネオニコチノイド系(IRAC 4A)でミツバチ・マルハナバチへの影響が大きい剤です。メーカー(アリスタライフサイエンス/アグロカネショウ)の影響表によればマルハナバチに30日以上の残効、ミツバチ訪花活動にも数十日(アルバリン粒剤で40日の報告)の影響があります。施設のマルハナバチ受粉体系では、散布前に巣箱を回収・退避し、影響日数を確実に空けて再放飼してください。天敵カブリダニにも影響があるため、放飼後の散布は避け、放飼前の体系散布に組み込むのが基本です。
Q3:アルバリン顆粒水溶剤と他剤・展着剤は混用できますか?
A:多くの殺虫剤・殺菌剤・展着剤と混用可能で、アグロカネショウから「混用事例集」が公開されています。ただし強アルカリ性の薬剤(ボルドー液、石灰硫黄合剤等)との混用は避けるのが原則。詳細は最新の混用事例集で必ず事前確認してください。
Q4:ネオニコ抵抗性が発達した気がします。どうローテーションすればいいですか?
A:タバココナジラミ・モモアカアブラムシ・ミナミキイロアザミウマ等でネオニコチノイド抵抗性が問題化しています。IRAC推奨は「同一IRACグループの薬剤を世代を超えて連用しない」こと。アルバリン(IRAC 4A)→ コルト/チェス(9B)→ モベント(23)→ アファーム(6)→ 天敵(スワルスキー・チリカブリダニ)のように、作用機構と防除手段をぐるりと回してください。
Q5:効果が出にくいときに見直すべきポイントは?
A:①散布タイミングが遅すぎないか(密度が爆発してからでは浸透移行型でも追いつかない)、②育苗トレイ灌注を活用しているか(定植時の初期害虫はトレイ灌注50倍が最も確実)、③葉裏・新芽部分まで薬液が届いているか、④同IRACの薬剤を連用していないか(粒剤・液剤・水溶剤の他剤型と合算で過剰使用していないか)、⑤展着剤の添加などを順に確認してください。
7. まとめ
アルバリン顆粒水溶剤は、ジノテフラン20%を有効成分とする浸透移行性の高いネオニコチノイド系(IRAC 4A)殺虫剤で、水稲・果樹・野菜・茶・花きにわたり、カメムシ類・アブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類・ウリハムシ・ハモグリバエ・コナカイガラムシなど極めて幅広い吸汁性・食害性害虫を1剤でカバーできる頼れる薬剤です。
散布・株元散布・育苗トレイ灌注・樹幹塗布など多彩な施用方法を使い分け、IRAC 9B・23・6・天敵剤とのローテーションを徹底することで、ネオニコ抵抗性害虫の発達リスクを抑えつつ高い防除効果を維持できます。
一方でミツバチ・マルハナバチ・天敵カブリダニへの影響が大きい剤でもあるため、訪花期・天敵放飼期間中の運用には十分な配慮が必要です。









