ベストガード水溶剤はどうやって使う? ─トマト・なす・きゅうり・ピーマン・いちご・ねぎに付くアブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類を防除するベストガード水溶剤を徹底解説!
- 5月29日
- 読了時間: 9分

トマトやなす、きゅうり、ピーマン、いちご、ねぎなどで、アブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類といった微小な吸汁性害虫に悩まされていませんか。
これらは葉裏に隠れて薬がかかりにくく、ウイルス病を媒介する厄介な害虫です。ベストガード水溶剤(住友化学株式会社、有効成分ニテンピラム)は、浸透移行性が高く、葉裏に隠れた害虫にも効くネオニコチノイド系(IRAC 4A)の殺虫剤。
アブラムシ・コナジラミ・アザミウマ・ヨコバイ・ウンカ・カメムシ・コナカイガラムシなど幅広い吸汁性害虫に経口・経皮で作用します。
水によく溶けて調製しやすく、収穫物が汚れにくいのも現場で評価されるポイントです。本記事では、適用作物・希釈倍数・使用回数の注意点・ミツバチへの配慮・抵抗性ローテーションまで、現場で役立つ深さで解説します。
こんな方におすすめ
トマト・なす・きゅうり・ピーマン・いちご・ねぎ等のアブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類に悩んでいる方
葉裏に隠れる害虫やウイルス媒介虫を、浸透移行性のある薬剤で抑えたい方
調製が簡単で収穫物を汚しにくい吸汁性害虫向けの殺虫剤を探している方
ベストガード水溶剤の希釈倍数・使用回数・ミツバチへの影響・混用可否を知りたい方
1. 商品概要
分類 | 殺虫剤(ネオニコチノイド系、浸透移行性の吸汁性害虫向け) |
登録番号 | 農林水産省登録 第19102号(住友化学)。同一成分の「協友ベストガード水溶剤」は第21610号 |
種類名 | ニテンピラム水溶剤 |
有効成分 | ニテンピラム 10.0% |
作用機構コード | IRAC 4A(ネオニコチノイド系/ニコチン性アセチルコリン受容体競合的調節剤) |
製剤形態 | 水溶剤(青緑色水溶性細粒)。水によく溶け調製しやすい |
主な対象害虫 | アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類のほかヨコバイ類、ウンカ類、カメムシ類、コナカイガラムシ、ハモグリバエ、クロバネキノコバエ類など |
主な使用場面 | 施設・露地の果菜類、葉茎菜、果樹、茶、花き。葉裏害虫・ウイルス媒介虫の防除に |
製造販売元 | 住友化学株式会社(協友アグリ等からも同等品が販売) |
2. 特長・メリット
2‑1. 浸透移行性が高く、葉裏に隠れた害虫にも効く
ニテンピラムは植物体への浸透移行性が高いため、散布液が直接かかりにくい葉裏のアブラムシ・コナジラミ・アザミウマにも効果を発揮します。経口・経皮の両方で作用し、低薬量で幅広い吸汁性害虫に効くのが強みです。
2‑2. 調製しやすく、収穫物が汚れにくい
水溶剤で水によく溶けるため希釈・調製が簡単で、粉が残りにくく散布器具の詰まりも起きにくい設計です。収穫物が汚れにくいため、出荷直前の作物にも使いやすい点が現場で重宝されます。
2‑3. 幅広い吸汁性害虫+ウイルス媒介虫対策
アブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類はいずれもウイルス病を媒介する難防除害虫です。これらをまとめて抑えられるため、媒介虫の早期密度抑制によるウイルス病の発生リスク低減にもつながります。
ポイント
ベストガードはネオニコチノイド系(IRAC 4A)です。同じネオニコ系(アクタラ、モスピラン、ダントツ、アドマイヤー等)を続けて使うと抵抗性が発達しやすいため、作用機構の異なる剤とのローテーションが前提になります(後述)。
3. 導入例
作物名/作型 | 投入目的 | 投入量・時期 | 期待される効果 |
施設栽培トマト | アブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類の初発時防除(ウイルス媒介虫対策) | 1000〜2000倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤3回以内 | 浸透移行で葉裏害虫まで抑制。媒介虫密度の早期低減 |
ねぎ(露地) | ネギアザミウマ・ネギハモグリバエの防除 | 1000〜2000倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤3回以内 | 吸汁・食害性害虫を同時抑制。調製が簡単で広面積でも扱いやすい |
いちご(施設) | アブラムシ類・コナジラミ類と土壌害虫(チビクロバネキノコバエ)の防除 | 2000倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤3回以内 | 収穫物が汚れにくく出荷直前にも使いやすい |
4. 使い方・適切な散布/設置手順
準備物:
動噴・背負い等の噴霧器、計量器、農薬用マスク・手袋・長袖長ズボン。水溶剤なので溶けやすく調製は容易です。
希釈倍率 or 設置個体数:
果菜類は1000〜2000倍、いちご・レタス・カリフラワー等は2000倍、果樹は1000〜2000倍が目安です。ラベル記載値と異なる場合は必ずラベルを優先してください。
タイミング:
発生初期の密度が低いうちに。ウイルス媒介虫対策としては、媒介前の早期処理がとくに重要です。
手順ステップ:
水に規定量を溶かす→よく撹拌→葉の表裏に丁寧に散布(浸透移行性はあるが付着も大切)→薬液は使い切る→器具・容器の洗浄水は河川等に流さない。
注意点:
ボルドー液など強アルカリ性薬剤との混用は分解のため不可。ミツバチ・マルハナバチに影響があるため放飼中の施設・果樹園では使用回避。桑にかかると蚕毒(かかった場合15日間給桑しない)。ぶどうの袋かけ直前は果粉溶脱に注意。使用回数は作物ごとに1〜4回以内と差があり、「ニテンピラムを含む総使用回数」(育苗・定植時処理を含む)の制限にも注意が必要です。
Tip:
浸透移行性があるとはいえ、コナジラミやアザミウマは葉裏・新芽・生長点に集まります。薬液をそれらの部位に行き渡らせ、発生初期に処理することが効果を最大化する近道です。
作物別適用表(FAMIC農薬登録情報提供システム調査結果ベース)
作物名 | 適用害虫名 | 希釈倍数 | 使用液量 | 使用時期 | 本剤の使用回数 | 使用方法 |
トマト・ミニトマト | アブラムシ類/コナジラミ類/アザミウマ類 | 1000〜2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
なす | アブラムシ類/コナジラミ類/ミナミキイロアザミウマ/カメムシ類 | 1000〜2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
きゅうり | アブラムシ類/コナジラミ類/ミナミキイロアザミウマ | 1000〜2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
ピーマン | アブラムシ類/コナジラミ類/ミナミキイロアザミウマ | 1000〜2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
いちご | アブラムシ類/コナジラミ類/チビクロバネキノコバエ | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
レタス | アブラムシ類 | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 |
ブロッコリー・カリフラワー | アブラムシ類/アザミウマ類 | 2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
ねぎ | ネギアザミウマ/ネギハモグリバエ/クロバネキノコバエ類 | 1000〜2000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
たまねぎ | ネギアザミウマ | 1000倍 | 100〜300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
かんきつ | アブラムシ類/アザミウマ類 | 1000〜2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
もも・りんご・なし | アブラムシ類 ほか | 1000〜2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
ぶどう | コナカイガラムシ類/アザミウマ類 | 1000〜2000倍 | 200〜700L/10a | 収穫30日前まで | 3回以内 | 散布 |
茶 | チャノキイロアザミウマ/チャノミドリヒメヨコバイ | 1000〜2000倍 | 200〜400L/10a | 摘採7日前まで | 2回以内 | 散布 |
たばこ | アブラムシ類/タバコノミハムシ | 2000倍 | 100〜180L/10a | 収穫10日前まで | 1回 | 散布 |
5. 関連資材との相乗効果
商品名 | ベストガード水溶剤との使い分け・組み合わせ目的 |
コルト顆粒水和剤 | アブラムシ・コナジラミ対策に使いやすい薬剤です。ベストガード水溶剤とは効き方が違うため、同じ系統の連用を避けたいときのローテーションに使えます。 |
ウララDF | アブラムシ対策に使いやすく、天敵への影響も比較的小さい薬剤です。ベストガード水溶剤と交互に使うことで、抵抗性対策につながります。 |
モベントフロアブル | コナジラミ・アブラムシ・コナカイガラムシ類の幼虫対策に使いやすい薬剤です。ベストガード水溶剤だけで抑えにくい場合の別系統の候補になります。 |
ディアナSC | アザミウマ類に使いやすい薬剤です。ベストガード水溶剤とは効き方が違うため、アザミウマ対策のローテーションに使えます。 |
スワマイト | コナジラミ・アザミウマを食べる天敵資材です。害虫が少ないうちに放飼し、ベストガード水溶剤などの化学剤と役割分担して密度を抑える目的で使います。 |
6. FAQ
Q1:ベストガード水溶剤は何回まで使えますか?収穫何日前まで使えますか?
A:多くの果菜類で本剤の使用回数は3回以内、使用時期は収穫前日までですが、たまねぎ・茶は2回以内、たばこは1回、レタスは収穫3日前、果樹は収穫7〜30日前など作物ごとに大きく異なります。さらに育苗・定植時の処理を含む「ニテンピラムを含む総使用回数」の制限もあるため、必ず最新ラベルでご確認ください。
Q2:ベストガードはミツバチやマルハナバチ、天敵と併用できますか?
A:ベストガードはミツバチ・マルハナバチに影響があります。受粉用に放飼中の施設・果樹園では使用を避け、巣箱周辺にかからないようにしてください。ネオニコ系は一般に天敵への影響も大きいため、天敵を利用する圃場では影響の小さい剤との使い分けが必要です。
Q3:ベストガードは他剤と混用できますか?
A:ボルドー液など強アルカリ性の薬剤とは混用しないでください(有効成分が分解します)。その他の混用可否はメーカーの混用情報とラベルで個別に確認してください。また桑にかかると蚕毒があるため、近くに桑園がある場合は飛散に十分注意してください。
Q4:ネオニコが効きにくくなってきました。どうローテーションすればいいですか?
A:ベストガードはIRAC 4Aです。同じネオニコ系(アクタラ・モスピラン・ダントツ等)への切り替えは抵抗性対策になりません。コルト顆粒水和剤(IRAC 9B)、ウララDF(IRAC 29)、モベントフロアブル(IRAC 23)、アザミウマならディアナSC(IRAC 5)など作用機構の異なる剤と交互に使ってください。
Q5:効果が出にくいときに見直すべきポイントは?
A:①発生密度が高くなりすぎていないか(初期防除が基本)、②葉裏・生長点まで薬液が届いているか、③希釈倍数が薄すぎないか、④同じネオニコ系を連用して抵抗性が発達していないか、⑤強アルカリ性資材と混ぜて分解させていないか、を見直してください。抵抗性が疑われる場合は作用機構の異なる剤に切り替えます。
7. まとめ
ベストガード水溶剤は、浸透移行性が高く葉裏の害虫まで効くネオニコチノイド系(IRAC 4A)の殺虫剤で、アブラムシ類・コナジラミ類・アザミウマ類をはじめ幅広い吸汁性害虫に効果を発揮します。
水によく溶けて調製しやすく、収穫物が汚れにくい使い勝手のよさが魅力です。
一方でネオニコ系のため連用による抵抗性とミツバチ・天敵への影響には十分配慮し、作用機構の異なる剤とローテーションしながら、発生初期に葉裏まで丁寧に散布することが上手な使い方のコツです。













