青枯病はどうやって防除する? ─トマト、ナス、ピーマンの青枯病の防除の仕方を徹底解説!
- daikihirayama3z
- 7月9日
- 読了時間: 4分

夏場に元気だった株が突然ぐったり──そんな急激な萎れを見つけた瞬間、不安で胸がざわつきます。
原因のひとつが高温多湿で猛威を振るう青枯病。
本記事では「発生原因の見分け方」「24時間以内に取るべき行動」「長期的な防除・予防のポイント」を診断フロー形式で整理。
さらに 耐病性台木・太陽熱処理・オキソリニック酸水和剤・バチルス系生物製剤 など、現場で実践できる IPM 対策を徹底解説します。
1. 症状チェック|急激な萎れ・導管褐変の特徴
観察部位 | 初期症状 | 進行症状 |
---|---|---|
葉 | 日中に急激な萎れ、夜間回復 | 終日萎凋、灰緑色に変色 |
茎基部 | 導管付近が水浸状 | 茎を切ると褐変導管から白濁粘液 |
根 | 外観は健全に見える | 細根が褐変・壊死 |


ポイント:
茎を数センチ切ってコップに入れた水に浸すと白い細菌粘液(菌泥)が糸状に滲出すれば青枯病の可能性大。 萎凋病との判別に有効。
2. 似ている原因(病害虫)一覧
病名 | 症状一致度 | 発生環境 | 確認ポイント |
---|---|---|---|
青枯病 | ★★★ | 25–35 ℃・高湿 | 夜間、早朝は回復 |
立枯病 | ★★☆ | 20–28 ℃・やや乾燥 | 茎基部褐変、株元に発生する赤褐色の小斑点 |
半身萎凋病 | ★★☆ | 18–24 ℃・冷涼 | 株の片側全体の葉が垂れ下がる |
3. 対策ガイド
3-1. 緊急措置(24時間以内)
萎れ株と隣接株を株元から切除しハウス外で処分(畑圃場内放置NG)
3-2. 環境調整(IPMの基礎)
管理項目 | 目安値 | 効果 |
---|---|---|
地温 | 25 ℃以下 | 細菌増殖速度を半減 |
土壌含水率 | FC の 60–70 % | 過湿抑制、通気改善 |
pH | 6.5–7.0 | 緩衝で細菌生存率低下 |
3-3. 土壌消毒剤(クロルピクリン・ダゾメット系)
商品名 | 有効成分 | 使用量(目安) | 処理方法・適期 |
---|---|---|---|
クロールピクリン液剤 | クロルピクリン | 30–50 mL/㎡ | 被覆土壌くん蒸(定植2〜3週間前) |
バスアミド微粒剤 | ダゾメット | 150–200 g/㎡ | 表土混和・十分灌水後被覆(定植3〜4週間前) |
注意:
登録内容は作物・作型で異なるため最新ラベルを必ず確認。
クロルピクリンおよびダゾメット製剤は劇物または危険物に該当します。必ず保護具(防毒マスク・ゴーグル・手袋等)を着用し、施用後は被覆期間とガス抜きを十分に行ってください。
4. 予防と管理のチェックリスト
☐ 接ぎ木苗(台木例:トルバムビガー、バハリム)を使用
☐ 定植前に太陽熱処理(透明マルチで 45 ℃以上 × 4 週間)
☐ 非ナス科作物(イネ科・マメ科・アブラナ科など)との2~3 年以上の輪作を実施
☐ 圃場ごとの長靴・資材を分離し、動線を交差させない
☐ 排水溝清掃と点滴チューブの定期フラッシング(月1回)
5. 失敗しがちなNG例
発病株を抜き取らず葉だけ除去 → 根圏から二次感染が拡大
地上部だけ殺菌剤を散布 → 土壌中の細菌密度は低下せず再発
6. FAQ
Q1:青枯病菌は土の中でどれくらい生き残る?
A:土壌中では 1~3 年は生存するとされ、根残渣があるとさらに延命します。輪作で 2 年以上空けるか太陽熱消毒が推奨されます。
Q2:養液栽培なら発生しない?
A:NFT・ロックウールでも発生報告があります。給液タンク・配管に菌が増殖するため、0.1%過酸化水素または次亜塩素酸の定期殺菌が有効です。
Q3:耐病性品種で完全に防げる?
A:抵抗性台木や耐病性品種でも高温・高水分条件では発病例があります。多角的な IPM が必要です。
7. まとめ
青枯病は「高温・高湿・過湿土壌」で爆発的に広がる細菌病です。
急激な萎れと導管褐変を確認したら 24 時間以内に発病株を除去し、株元灌注で細菌密度を下げましょう。
そのうえで 地温管理・排水改善・耐病性台木・土壌消毒を組み合わせ、圃場全体のリスクを長期的に抑えることが肝要です。