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ゲッター水和剤はどうやって使う?─イチゴ、キュウリ、ナス、トマトの灰色かび病、炭疽病、黒枯病を防除するゲッター水和剤の使い方を徹底解説!

  • 5 日前
  • 読了時間: 10分

施設栽培のイチゴ・トマト・ナス・キュウリで、灰色かび病や炭疽病が止まらない──現場でよく聞く悩みです。原因の多くは、長年のMBC剤連用による耐性菌の蓄積です。


ゲッター水和剤は、まさにこの問題を解決するために設計された混合殺菌剤で、灰色かび病・炭疽病・菌核病・葉かび病・黒枯病など複数病害を1剤で同時防除できるのが最大の特長です。


本記事では、農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の登録情報とメーカー公式情報をもとに、ゲッター水和剤の有効成分・適用作物別の希釈倍数・使用時期・回数、IPM適合性、ローテーション設計、現場でよくあるFAQまで徹底解説します。


注意:以下の内容は2026年5月時点で公開されている情報をもとにまとめたものです。実際に使用される際は必ず最新のゲッター水和剤のラベル・農林水産省「農薬登録情報提供システム」・メーカー公式情報をご確認ください。


こんな方におすすめ

  • イチゴ・トマト・ナス・キュウリの灰色かび病や炭疽病を1剤で同時に抑えたい方

  • MBC剤(トップジンM等)の効きが落ちてきて耐性菌対策を強化したい方

  • ゲッター水和剤の希釈倍数・使用回数・収穫前日数を作物別に整理して把握したい方


1. 商品概要

分類

殺菌剤(保護+治療+耐性菌対応の混合剤)

種類名

ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤

登録番号

第17697号(住化ゲッター水和剤)/第17698号(日曹ゲッター水和剤)/第23366号(協友ゲッター水和剤)

有効成分

ジエトフェンカルブ 12.5%+チオファネートメチル 52.5%

作用機構コード

ジエトフェンカルブ:FRAC 10(β-チューブリン重合阻害/MBC剤と負相関交差耐性)/チオファネートメチル:FRAC 1(MBC剤=β-チューブリン重合阻害)

製剤形態

水和剤(類白色水和性粉末)

主な対象病害

灰色かび病、菌核病、葉かび病、炭疽病、褐斑病、黒枯病、そうか病、黒星病、紫斑病、輪紋病、落葉病、灰色腐敗病 など

主な使用場面

施設・露地の野菜(イチゴ・トマト・ミニトマト・ナス・キュウリ・ピーマン・レタス・キャベツ・ハクサイ等)、果樹(みかん・かんきつ・ぶどう・うめ・かき)、豆類(だいず・いんげん・あずき・えだまめ等)

2. 特長・メリット

2‑1. MBC剤耐性菌にも効く「負相関交差耐性」を活用した設計

  • チオファネートメチル(FRAC 1)は古くから使われるベンズイミダゾール系(MBC剤)で、感受性菌には強力ですが、長年の連用でMBC剤耐性菌が問題化してきました。

  • ジエトフェンカルブ(FRAC 10)は同じβ-チューブリン重合阻害ですが、結合部位が異なり、MBC剤耐性菌に対しては感受性菌より強く効く(負相関交差耐性)という性質があります。

  • この2剤を混合することで、感受性菌・耐性菌のどちらが優占する圃場でも灰色かび病・菌核病に対して安定した効果を発揮します。


2‑2. 予防効果と治療効果を両立、混発する複数病害を同時防除

  • 本剤は予防効果と治療効果に優れ、残効性および浸透移行性等の諸特性を備えています。

  • チオファネートメチルは幅広い殺菌スペクトラムを持つため、灰色かび病と混発する炭疽病・菌核病・葉かび病・褐斑病・黒枯病などを同時に抑えられます。

  • イチゴでは炭疽病、トマトでは灰色かび病・菌核病・葉かび病、キュウリでは褐斑病・炭疽病・灰色かび病・菌核病、ナスでは灰色かび病・菌核病・黒枯病、ピーマンでは黒枯病、と1剤で複数の主要病害をカバーできます。


2‑3. IPM適合性・天敵・受粉昆虫への影響

  • ゲッター水和剤は殺菌剤であり、殺虫剤と比べると天敵昆虫(チリカブリダニ、ククメリスカブリダニ、スワルスキーカブリダニ等)への直接的な影響は一般的に低いとされます(最新のメーカー影響表を必ず確認してください)。

  • イチゴ・トマトのマルハナバチ/ミツバチ受粉体系でも、過去から広く使用されてきた殺菌剤ですが、散布時は念のため巣箱の出入口を閉じる、または巣箱を一時的に退避させるのが安全です。最新のマルハナバチ影響表(メーカー公開)で「影響日数」を必ず確認してください。


ポイント

灰色かび病防除では、ゲッター水和剤を連続して使用せず、作用性の異なる薬剤とローテーションして使うことが重要です。例えば、ゲッター水和剤の後に、セイビアー、アフェットフロアブル、シグナムWDG、フルピカフロアブルなどを組み合わせることで、耐性菌の発生リスクを抑えながら、防除効果を安定させやすくなります。


3. 導入例


作物名/作型

投入目的

投入量・時期

期待される効果

施設栽培イチゴ(促成)

収穫期に入る前の炭疽病・灰色かび病の初発抑制

1000倍希釈、100〜300L/10a、収穫開始21日前まで、本剤使用回数3回以内

育苗〜定植直後の炭疽病潜在感染の発症抑制、開花期の灰色かび病初発回避

施設栽培トマト・ミニトマト

下葉の葉かび病・灰色かび病・菌核病の同時防除

トマト1000〜1500倍/ミニトマト1500倍、100〜300L/10a、収穫前日まで散布可(本剤3〜5回以内)

株元のかび病初発を抑え、果実への二次伝染を遮断

施設栽培ナス

灰色かび病・菌核病・黒枯病の同時防除

灰色かび病・菌核病:1000〜1500倍/黒枯病:1500倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤5回以内

密植・多湿条件下での複数病害を1剤でカバー

施設・露地キュウリ

褐斑病・炭疽病・灰色かび病・菌核病の同時防除

1500倍、100〜300L/10a、収穫前日まで、本剤5回以内

梅雨期〜秋雨期の多発条件で複合病害を抑制

※以下は適用表と一般的な防除暦をもとにした典型的な使用シナリオです。実際の防除設計は地域の普及指導員・JAの防除暦に従ってください。

4. 使い方・適切な散布/設置手順

  1. 準備物:

    動力噴霧器または背負式噴霧器、計量カップ(10mLメスシリンダー等)、攪拌棒、保護眼鏡・農薬用マスク・手袋、必要に応じて展着剤(ダイン・アプローチBI・まくぴか等/メーカー混用事例表で確認)。


  2. 希釈倍率 or 設置個体数:

    多くの野菜で1000〜1500倍、ピーマン黒枯病のみ3000倍、いちご・なす・ハクサイ・キャベツなどは1500倍が中心。必ずラベルの作物別希釈倍数を確認してください。


  3. タイミング:

    灰色かび病・炭疽病ともに発生初期(できれば予防的)に散布。多湿・低温が続く前の予防散布が最も効きます。発症してからの後追い散布では治療効果はあるものの効きが落ちる場合があります。


  4. 手順ステップ:

    ①所定量の水を計量 →②規定量の本剤を加え、ダマがなくなるまで攪拌 → ③ノズルを葉裏まで届くように上下から散布 → ④散布後は噴霧器内を十分に水洗し、残液は河川・養殖池に流さず適切に処理。


  5. 注意点:

    アルカリ性薬剤との混用は事前にメーカー混用事例表で必ず確認。気温30℃以上の高温時散布は薬害リスクがあるため、朝夕の涼しい時間帯に散布する。


作物別適用表(FAMIC農薬登録情報提供システム・メーカー公式適用表ベース/最新事項変更登録日 2024年8月28日)

作物名

適用病害名

希釈倍数

使用液量

使用時期

本剤使用回数

成分総使用回数 

いちご

炭疽病

1000倍

100〜300L/10a

収穫開始21日前まで

3回以内

ジエトフェンカルブ6回/チオファネートメチル4回(は種後3回)以内

トマト

灰色かび病/菌核病/葉かび病

1000〜1500倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

5回以内

ジエトフェンカルブ6回/チオファネートメチル6回以内

ミニトマト

灰色かび病/菌核病/葉かび病

1500倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

同上

なす

灰色かび病/菌核病

1000〜1500倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

5回以内

ジエトフェンカルブ5回/チオファネートメチル6回以内

なす

黒枯病

1500倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

5回以内

同上

きゅうり

褐斑病/炭疽病/灰色かび病/菌核病

1500倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

5回以内

ジエトフェンカルブ5回/チオファネートメチル6回以内

ピーマン

黒枯病

3000倍

100〜300L/10a

収穫前日まで

3回以内

ジエトフェンカルブ3回/チオファネートメチル4回以内

レタス

菌核病/灰色かび病

1500倍

100〜300L/10a

収穫7日前まで

2回以内

ジエトフェンカルブ5回/チオファネートメチル4回以内

キャベツ

菌核病

1500倍

100〜300L/10a

収穫7日前まで

2回以内

ジエトフェンカルブ3回/チオファネートメチル3回以内

はくさい

菌核病

1500倍

100〜300L/10a

収穫7日前まで

2回以内

ジエトフェンカルブ2回/チオファネートメチル3回以内

たまねぎ

灰色腐敗病

1000倍

100〜300L/10a

収穫7日前まで

5回以内

ジエトフェンカルブ5回/チオファネートメチル7回以内

ぶどう

灰色かび病

1000〜1500倍

200〜700L/10a

収穫45日前まで

1回

ジエトフェンカルブ3回/チオファネートメチル5回以内

みかん

灰色かび病

1000〜2000倍

200〜700L/10a

開花期

5回以内

ジエトフェンカルブ5回/チオファネートメチル8回以内

かき

灰色かび病/落葉病/炭疽病

1000〜1500倍(炭疽・落葉は1000倍)

200〜700L/10a

収穫7日前まで

3回以内

ジエトフェンカルブ3回/チオファネートメチル10回以内


5. 関連資材との相乗効果

商品名

組み合わせ目的

セイビアーフロアブル20

ゲッター水和剤と効き方が違うため、連用を避ける時のローテーションに使えます。

アフェットフロアブル

うどんこ病・灰色かび病対策として、ゲッター水和剤と交互に使いやすい薬剤です。

シグナムWDG

灰色かび病・炭疽病対策として、作用の異なる薬剤を組み合わせたいときに使えます。

フルピカフロアブル

低温多湿期の灰色かび病対策として、ゲッター水和剤から切り替える候補になります。

ダイン

薬液の広がりや付着をよくし、散布ムラを減らす目的で使います。

6. FAQ

Q1:ゲッター水和剤はイチゴの炭疽病に何回まで使えますか?

Aイチゴの炭疽病については、1000倍希釈・収穫開始21日前まで・本剤の使用回数は3回以内です。ジエトフェンカルブを含む農薬の総使用回数は6回以内、チオファネートメチルを含む農薬の総使用回数は4回以内(種子への処理は1回以内、は種後は3回以内)と決められています。必ず最新ラベルを確認してください。

Q2:ゲッター水和剤とミツバチ/マルハナバチ/天敵カブリダニとの併用は大丈夫ですか?

Aゲッター水和剤は殺菌剤であり、殺虫剤と比べるとマルハナバチ・チリカブリダニ・スワルスキーカブリダニ等への直接的な影響は一般的に低いとされます。ただし、メーカーの最新マルハナバチ・天敵影響表で「影響日数」を必ず確認し、散布時は念のため巣箱を一時退避またはハッチを閉じる運用が安全です。

Q3:ゲッター水和剤と他剤(殺虫剤・展着剤・銅剤)は混用できますか?

A多くの殺虫剤・殺ダニ剤・展着剤と混用可能ですが、アルカリ性の強い薬剤(石灰硫黄合剤、ボルドー液、IC ボルドー等)との混用は避けるのが原則です。

Q4:MBC剤連用で耐性菌が出てしまった圃場でも、ゲッター水和剤は効きますか?

Aはい。ゲッター水和剤は、MBC剤に耐性を持つ菌にも効果が期待できるように設計された薬剤です。有効成分のひとつであるジエトフェンカルブが、MBC剤耐性菌にも効くため、感受性菌と耐性菌が混ざっている圃場でも効果を発揮しやすい特徴があります。 ただし、ゲッター水和剤だけを続けて使うと、今度はゲッターに効きにくい菌が増える可能性があります。そのため、使用回数を守り、シーズン中はセイビアー、アフェット、シグナム、フルピカなど、作用の異なる薬剤とローテーションして使うことが大切です。

Q5:効果が出にくいときに見直すべきポイントは?

A散布タイミングが遅すぎないか(灰色かび病・炭疽病は発生してから抑えるより、予防散布が最も効きます)、②葉裏・花房・果梗周辺まで薬液が届いているか、③水量が少なすぎないか(イチゴ・トマトなら100〜300L/10aを目安に十分量を散布)、④展着剤の添加で付着性を上げられないか、⑤連用回数オーバーで耐性菌が選抜されていないかを順に確認してください。

7. まとめ


ゲッター水和剤は、ジエトフェンカルブ+チオファネートメチルの混合によりMBC剤耐性菌にも効くという独自の設計を持ち、イチゴ・トマト・ナス・キュウリ・レタス・キャベツなど主要野菜で灰色かび病・炭疽病・菌核病・葉かび病・黒枯病を1剤で同時防除できる頼れる殺菌剤です。


FRAC 7・9・11・12剤とのローテーションを徹底し、最新ラベルを守って使うことで、耐性菌リスクを最小化しつつ高い防除効果を維持できます。


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